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世界のコワーキングスペース 8つの最新トレンド

[November 07, 2017] BY Kazumasa Ikoma

2018年のWeWork日本上陸に伴い、日本国内のコワーキング市場はさらなる注目を集めている。それと同時に、日本も世界のコワーキングブームに本格的に参入しようとしている。今回はそんな世界のコワーキング業界における8つのトレンドを紹介する。

これは、ドイツ・ベルリンでコワーキングスペースに関するトピックを中心にオンラインマガジンを運営するdeskmag社とベルギーのSocialWorkplace社により、2016年11月9日から12月23日まで1876人を対象に行われたオンライン調査に基づいたものである。

1. コワーキング市場の成長は今も続く

第1回目の調査が行われた2010年からコワーキングスペースの数は年々増加し、今年も昨年比で2500ヶ所増えた約13800ヶ所のスペースが世界に存在している。それに伴い、メンバーの数も昨年から34万5千人増え、今年は118万人に達している。成長率こそ減少傾向にあるが、市場としての成長はまだまだ見られる。

2. スペースの機能はもはや「共働」だけではない

市場の競争が激しさを増していく中で、コワーキングスペースはもはや単なる「共働スペース」だけに留まらない。すでに79%のコワーキングスペースが「共働スペース」以上の機能を備えている。その中で最も多いのが、イベントスペースとしての要素。コワーカーのために確保したスペースをイベントスペースとしても貸し出すことで収入を得ることができる他、イベント内容によっては入居メンバーのネットワーク構築サポートに繋げることもできる。実際にそれで生計を立てるコワーキングスペースは今では少なくない。

インキュベーターやアクセラレータ施設として入居者のサポートを行うコワーキングスペースもまた近年増えている。コワーキングの本場、サンフランシスコで特に人気のスペースとして知られるGalvanize(ガルバナイズ)は、データサイエンティストによる講座やコーディングのクラスを提供し、ラーニングコミュニティを形成している。さらにIBMとも提携を行い企業が持つリーンスタートアップやアジャイル開発手法を教える機会も提供している。

関連記事:アメリカの企業がオフィスを選ぶときの3つのポイント

さらに、カフェを併設したコワーキングスペースも増加傾向にある。昨年にサンフランシスコでオープンした新進気鋭のコワーキングスペース、Covoは「カフェで作業する人がコーヒーを飲み終わった後に長居しづらい」という問題に着目し、美味しいコーヒーを提供しながら1時間単位でスペースが利用できるサービスを提供。基本的に月単位のメンバーシップ契約が必要なコワーキング業界の中で、ふらっと入れる使いやすさと意心地の良さを用意している。

夕方からワインやビールを提供するCovoのバースペース。ここで作業をするメンバーも多い

3. 口コミは新規メンバー獲得に最も効果的

新規入居者がスペースを知るきっかけとなった理由1位は口コミだった。他人とのコラボレーションを期待するメンバーが多いだけに、入居を検討するにも人との繋がりは重要のようだ。

同調査で入居者がコワーキングスペースに求めているものは依然としてコミュニティであり、Forbes Japanの記事でもWeWorkのCEO、クリス・ヒル氏は同社のサービスをコワーキングスペースではなく、グローバルネットワークのコミュニティだと述べている。コミュニティを中心とした概念はこれからのコワーキングの中心になるだろう。

4. 利用者の3人に1人は修士以上

コワーキングスペース利用者の多くは高学歴だ。全回答者の85%は大学レベル以上の教育を終了、うち41%が学士号、もう41%は修士号、残りの4%が博士号を持っている。2017年報告のOECDのデータ上で、加盟国において大学教育以上を受けた人の割合が平均29%であるのと比べると、コワーキングスペースは高い教育を受けた人の社交場となっていることが分かる。

5. IT、PR、営業がコワーカー市場を支配

IT関連に携わるメンバーが依然としてコワーキング業界のメイン顧客となっており、昨年から2%増の22%となっている。しかしながらそれを追う形で大きな成長を見せているのがPRやマーケティング、営業社員の入居者。昨年の8%から14%まで増え、その存在感を見せ始めている。

先日の記事内で紹介したMicrosoftニューヨークオフィスは実際に営業チームの70%の社員、およそ300人にWeWorkのメンバーシップを提供している。自由な働き方を社員に推奨すると同時にスタートアップのカルチャーを学んでもらう目的で実施しているようだが、大企業によるコワーキングスペースの利用はこれからも増えそうだ。

6. より多くの女性がコワーキングスペースを利用

2010年の第1回目調査から常に見られる傾向がこの女性メンバーの増加である。女性比率が2010年では32%だったが毎年その数を少しずつ増やし、今年は44%まで成長した。この増加はこの数年のコワーキング入居者数の増加傾向を特に支えている理由の1つだという。雇用者よりもフリーランサーがまだ多いようである。

しかしながら30−50代の間での女性のメンバー比率は低下傾向にあり、deskmag社は子育てがこの結果に関連していると見ている。第1子出産後も仕事を続ける女性が多い一方、第2子の出産を機に女性メンバーの数は急激に下がるという。このような女性向けに今後子育てサービスをつけるコワーキングスペースが生まれるかどうか見所だ。

7. 結婚相手を見つけやすい?

コワーキングスペースのメンバーは入居することで従来の仕事とは違った自由や独立性といったものを得られるが、プライベートに関しては逆に落ち着きを求める傾向にあるようだ。メンバーの約30%はすでに交際相手がおり、さらに別の30%以上は既婚者である。1人でコワーキングスペースを利用するメンバーは特にパートナーを見つける傾向にあるという。

35歳以上では2人に1人のメンバーが結婚し、それよりも若い年齢層では、独身の男性(26%)よりも女性(35%)の方が相手を見つけやすいようだ。大都市にあるコワーキングスペースほどそのチャンスは大きくなるとdeskmagは伝えている。

8. 半数近くのメンバーが海外出張へ

少なくとも世界の入居者の45%は年に1週間以上海外出張があり、その平均は2.4週間となっている。国内出張を含めるとその数は7週間と増えるようだ。入居者のメンバーシップ期間が長くなるほど海外で過ごす時間も多くなるという結果も出ており、より多くのロケーションでのスペース確保が入居者の利便性につながりそうだ。

先月4日にリリースされたBloombergの記事によると、世界で民泊サービスを提供するAirbnbはWeWorkと提携し、出張者向けに滞在場所と仕事場所を一緒に提供するサービスを計画しているようだ。まずはシカゴ、ニューヨーク、ロサンゼルス、ワシントン、ロンドン、シドニーの6都市で試験的に導入されるとのこと。世界でサービスを提供するこの2大スタートアップの提携で、コワーキングの注目度はさらに高まりそうだ。

以上が2017年の最新コワーキングスペース事情8つである。今日では、コワーキングスペースで提供されるサービスがより充実し、利用者も多くの年齢層や業種に広がりつつある。これからますますコワーキングから目を離せない。

参照:

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この記事を書いた人

Kazumasa Ikomaサンフランシスコのエクスペリエンスデザイン会社btraxでオフィスマネージャーを務める傍ら、西海岸のオフィスデザインや企業文化・働き方についての記事を多数執筆。企業や従業員にとって居心地がよいオフィスとは何か、日々リサーチし自社で実践している。

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