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ABWの導入はHackから

記事作成日:[June 27, 2017]
/ 記事更新日:[December 27, 2019]
BY Shinji Ineda

ABW(Activity Based Working)という言葉を御存知ですか?

社内で同じような席のタイプをみんなで共有するフリーアドレスシステムと混同されがちなのですが、ABWはさまざまなタイプの働く場所が用意されていることを示します。カフェや自宅など、社外もワークスペースとしての選択肢に含まれます。それにより、クリエイティブな発想を生み出す環境に繋がります。

つまり働く環境の選択肢を増やすことで、その時の仕事にあったスタイルを選べるようにするのがABWです。昨年から多くの企業がABWに取り組んでいますが、検討の結果、実施に至らない事があります。

理由としては...「選択肢を増やすほどオフィスが広くない」ということ。なんとも日本のオフィスらしい悩みです。

固定席を削減すれば選択肢を増やせますが、固定席を減らすのって簡単なことではありません。またそのような状況で増やす選択肢はコミュニケーションのためのスペースという場合が多いです。そのため、おのずと集中は個人席、その他はワイガヤスペースという図式となり、さほど多くの選択肢に至らないというのがよくあるケースではないでしょうか。

そこで、活躍するのがHackです。

Hackというと技術系やIT関連でよく使われる言葉ですが、今回はそのHackではなく、ドイツ人デザイナーのKonstantin Grcic氏と、スイスの家具メーカーのVitraが共同開発した家具の「Hack」をご紹介します。

Hackとは?

Hackとは家具の名称です。下の画像をご覧ください。3枚のOSB(木片チップボード)が箱型に組まれており、その中でデスク天板を上下できる機能があります。

簡単に折り畳みができるこのデスクは、いつでもどこにでも席を用意することができます。それは一般的な執務室内はもちろんのこと、利用していない会議室や多目的スペース、そしてスペースに余裕があれば廊下でも使えます。時間帯によって利用率が低下する場所に設置し、集中ブースや作業テーブルとして活用することが出来ます。

そして折り畳むと幅23cm程度となり、キャスター付きドーリーによって移動ができます。また、上下昇降は電動でなく手動です。

電源がないところで使えることに着目した設計

Hackの優れている点ですが、まずは先ほどの上下昇降機能が電動ではないということ。「これって不便じゃない?」って思うかもしれませんが、「一日で昇降させる回数」より「電源がないところでも使える利便性」を優先させたのが、Hackの特徴です。

箱型デザインで、集中用のスペースとして利用可能

一般的に普及している上下昇降デスクの場合は、隣で吊り下がっているものや下に置いた荷物が気になりますが、Hackの場合は3枚のボードによって外からの見た目も揃い、気になりません。上下昇降デスクは健康によいとされ、ドイツやアメリカを中心とした各企業で導入されてきました。Hackは同じ上下昇降デスクですが、シリコンバレーやサンフランシスコのIT企業、スタートアップからインスピレーションを得て開発されています。それは急激な成長や縮小・レイアウト変更などを可能にし、あえて未完成の要素を残すことで現代のオフィスにフィットさせるという考え方です。

オフィスの面積や規模感はそれぞれでも、利便性と柔軟性を求めるのは日本も同じ。ABWの選択肢のひとつとしてオフィスの家具を工夫する方法もあるのです。

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この記事の執筆者

Shinji Ineda フロンティアコンサルティングにて設計デザイン部門の執行役員を務める。一方、アメリカ支社より西海岸を中心としたオフィス環境やワークスタイルなどの情報を、地域に合わせてローカライズ・ポピュラーライズして発信していく。

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