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コロナで変わる飲み会事情 リアルとオンラインの飲みニケーションを整理

[May 27, 2020] BY Hiroto Matsuno

緊急事態宣言がついに解除され多くの企業でオフィス出勤が少しずつ再開する中、街中の居酒屋も本格的な営業再開の準備を始め、従来のリアルな場で行う飲みニケーションが活気を取り戻そうとしている。自粛期間を経てWEB会議ツールなどを利用して同僚や友人と飲む「オンライン飲み会」が注目を集めているが、先日の記事で紹介した通りオンライン飲み会は直接会って話せる「リアル飲み会」と比べて物足りなさを感じがち。結果、自粛解除後にリアル飲み会に戻りたいという声は高まっている。

しかし、オンライン飲み会が下火になるかと聞かれればそうとは言い切れない。多くの専門家が感染の第2波を警戒しているように、自粛解除後もしばらくは以前のような居酒屋での大規模な飲み会の開催は避けられるだろう。さらにコロナ禍を機に一定の企業がテレワークを今後も継続する姿勢を見せていることからも、オンライン飲み会の人気は続くと予想される。となれば、ウィズコロナ、アフターコロナ時代の「飲みニケーション」はその目的に応じてリアルとオンラインを柔軟に使い分けることが重要になるだろう。この記事では「リアル飲み会」と「オンライン飲み会」の特長を整理し、これからの時代の飲み会についてヒントを探る。

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リアル飲み会とオンライン飲み会の特長比較

1. 初対面の人との関係構築に適するリアル飲み会 vs. 親しい人の意外な一面が発見できるオンライン飲み会

リアル飲み会とオンライン飲み会の使い分けは、まず一緒に飲むメンバーとの親密度によって判断するとよさそうだ。

これから人間関係を構築したい初対面の人との飲み会であればリアル飲み会の方がおすすめ。たとえば、上に挙げた記事でも取り上げたが、筆者がほぼ初対面の同期たちとオンライン飲み会を行った際、画面越しでは相手の反応がいまいち掴めずつらい沈黙がたびたび発生していた。リアル飲み会なら自然に目に入ってくる言葉以外からの非言語情報(仕草や表情、ジェスチャー)は画面を通すと読み取りにくいことが要因の1つとしてある。

人と関係を構築する初期段階では、話す相手がどのようなコミュニケーションスタイルをとるのか、それからどのような性格や為人なのかを互いに知ることが重要だ。そのためには表情や仕草も含めたあらゆる情報を相手から得ることに加え、同じ空間を共有している一体感も感じ取りながら円滑にコミュニケーションを進めることが必要である。社内外の歓迎会や親睦会など、初対面のメンバーが多いときはリアルタイムで相手の反応がわかるリアル飲み会が適しているだろう。

一方、すでに気心知れている人との飲み会にはオンライン飲み会を活用するといい。私生活が垣間見えるオンライン飲み会では親しい人の意外な一面を発見できるからだ。女性向け総合メディアLipPopの調査(2020年4月26日)によると、会社のオンライン飲み会でそれぞれの家族やペットとの関係、垣間見える部屋が意外だったりと、より親しみを覚えたという声が挙がる。リアル飲み会なら何度も一緒にしている仲間の意外な側面をオンライン飲み会の機会に初めて知る、なんてこともあるかもしれない。仕事を進める上でチームの親密度を上げる良いきっかけにもなりそうだ。

2. 相談や深刻な話もしやすいリアル飲み会 vs. 歓談ツールが豊富なオンライン飲み会

先述のように表情やジェスチャーといった言葉以外の情報(=非言語情報)を共有しやすい、つまり心情の機微を感じ取りやすいリアル飲み会の方が、深刻な相談などの話をしたいときに向いている。熱量のある話し合いやセンシティブな会話で相手との相互理解を深めるのに直接会った方が話しやすいと感じる人は多いはずだ。

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リアル飲み会と比べると、画面越しのコミュニケーションに留まるオンライン飲み会で扱えるトピックには限界がある。一方で「画面」を使うからこそ、リアルな飲み会にはない要素がオンライン飲み会には存在する。それは飲み会を楽しくできるツールを盛り込めること。

実際にオンライン飲み会を積極的に行う企業では、事前に作成したスライドで会社に関するクイズを出したり、「今までで一番大変だったプロジェクト」といったようにお題を参加者にふってお互いの仕事の経験を振り返るように語ったり、また、オンライン会議の背景や顔のエフェクトを変更して笑いのネタを仕込むなど、楽しみ方が豊富にある。筆者のまわりでもオンライン飲み会を通じて「リアルな場で会いたくなった」「リアル飲み会も開催したい」という声が多数挙がるほど、参加者は気兼ねなく飲み会を楽しむことができる。オンライン飲み会は会社の同僚やチームのメンバーと直接会って話したいと前向きな気持ちを促進するのに効果的だ。

3. おいしい食事を共有して「ランチョン・テクニック」を活用できるリアル飲み会 vs. 手軽に好きな料理を持ち込めるオンライン飲み会

人はおいしい食事を共有することで会話が弾み、食事会全体が楽しく感じられるとともに互いに仲良くなれたという認識を覚えるという。この心理的効果は「ランチョン・テクニック」と呼ばれ、会社の飲み会やビジネスシーンの交渉時にも活用される。しかし、リアル飲み会とオンライン飲み会でそのテクニックを駆使するにはそれぞれ勝手が異なる。

リアル飲み会の場合、食事のおいしいお店を調べて予約することで飲み会の質を高めることができる。また、「おいしい食事を食べられるなら」と飲み会が苦手な人やお酒が飲めない人も参加しやすい。出費がそれなりにかさむかもしれないが、親睦を深めるという目的を達成するには奮発することも必要。良いお店選びは信頼されるビジネスパーソンの条件の1つだ。

逆にオンライン飲み会の場合は自分の好きな料理やお酒を持参するため、予算を抑えて参加できるというメリットがある。こちらもまた、お酒が苦手な人も自分で飲み物を用意できるため参加しやすい。しかし、自分で食事を用意するのが面倒という人も一定数存在するほか、さらには「ちゃんとした飲み会としてお店を予約して一緒に食事をするわけではない=自宅での個人的な時間をわざわざオンライン飲み会に使いたくない」とネガティブな意見を持つ人もまたいる。食事の質と手軽さのどちらを優先するかはメンバーを見て判断する必要があるだろう。

4. 時間の区切りをつけやすいリアル飲み会 vs. 飲み会終了後すぐに就寝できるオンライン飲み会

飲み会に参加するにあたり、翌日に影響が出るまで飲みすぎないようにすることは注意しておきたいことの1つ。ついつい話が盛り上がり遅くまで飲みすぎて翌日後悔した経験は、お酒好きな方ほど多いだろう。リアル飲み会、オンライン飲み会問わず飲み会を切り良く終わらせることは心がけたいところだ。

リアル飲み会の場合は居酒屋を利用すると、会計時が締めるタイミングとなるので飲み会に区切りをつけやすい。しかし、2件目のお誘いがあると断りづらく、帰りが遅くなるというケースは往々にしてある。一緒に飲む相手への配慮がもちろん必要となるが、それ以前に帰宅が遅くなることが心配な場合はリアル飲み会を休みの前日に行うか、平日中日であれば割り切ってオンライン飲み会にシフトするのも手段の1つだ。

一方、自宅から参加できるオンライン飲み会の場合は飲み会が終わったらそのままベッドにダイブして就寝できて楽だという意見が多い。しかし、飲み会を締めるタイミングがなくいつまでも飲み続けてしまうという話も多く、オンライン飲み会こそ深酒に注意してほしいと呼びかける専門家もいる。オンライン飲み会では終了時間を決めておくことが必要だ。

総括すると、アルコールを翌日に残さず、また相手の予定や体調に配慮することの大事さはリアル飲み会、オンライン飲み会ともに変わらない。しかし、どちらのスタンスで行うかで参加者が飲み会で使うエネルギーや気軽さは変わるため、自分の体調と飲みたい量を考えながら決めると良いだろう。

特長が異なるリアル飲み会とオンライン飲み会、具体的にどう使い分けるか?

リアル飲み会とオンライン飲み会の特長を比較してみると、より親密な関係を築けるリアル飲み会と気軽にコミュニケーションを図れるオンライン飲み会という2つの構図が見えてきた。

たとえば、社員同士の一体感を増すことやより深い信頼関係を構築することを目的とした場合、同じ空間を共有できるリアル飲み会に軍配が上がる。しかし、何らかの理由で直接会うことができないときは、顔を合わせる機会をつくりやすいオンライン飲み会が有効だ。またオンライン飲み会で話が弾めば直接会って話したいという気持ちは高まり、リアル飲み会の価値を上げることもできる。飲み会をスマートに活用するためには目的に応じてリアル飲み会とオンライン飲み会を柔軟に使い分けることが必要だ。

「飲み会は居酒屋で」がデフォルトではなくなった今、まさに飲みニケーションのあり方を見直す良いタイミングかもしれない。アフターコロナの飲み方として、具体的に次のような飲み会の開催も今後検討できそうだ。

その1. 社内のオープンスペースでオフィス飲み、離れた拠点をオンラインでつなげて談笑も

リアル飲み会を実施したいが、不特定多数の人がいる場所はまだ避けたい。そんなときはオフィスでの飲み会が手段の1つになるだろう。先述の通り、企業は今後も感染症対策を継続し、社員の健康を守ることを優先する。それに応じた対策として、社内のオープンスペースや会議室を利用するのは現実的な方法だ。

「オフィス飲み」のメリット自体は以前から取り上げられている。お酒や食事は自前で用意すれば場所代を含めた出費を抑えることができ、ケータリングを活用しても予算を超えるようなことはない。また仕事に関する話をする際も居酒屋のように周りを気にする必要がなく、ざっくばらんに相談や話し合いをすることができる。さらにオフィスでの開催は開始時間を早めたり、いつでも抜けて帰宅して良い雰囲気を作りやすかったりするため、より多くの人の参加が期待できる。このような利点から近年オフィスにちょっとしたバーエリアをつくる企業が増えていることも理解できる。もちろんオフィスで飲むことのデメリットも先日の記事で紹介したように存在するが、一度考慮してみる価値はありそうだ。

関連記事:結局オフィスで飲酒はアリなのか?今も賛否両論の社内アルコール問題

また、他拠点にいる社員やテレワークで作業をするメンバーとはモニターを繋いでオンラインで飲みながら談笑することもできるだろう。リアル飲み会とオンライン飲み会のハイブリッドで新たな飲みニケーションが実施できそうだ。

ちなみに、このようにオフィスを使った飲み会の実施はオフィススペースの活用機会を広げる方法と捉えることもできる。「空間とデザイナーの『再定義』が生む、ミレニアル世代のオフィスとは」記事でも取り上げたように、オフィスは今後ますます“曖昧”になっていく。たとえば「会議をする場所」だったオフィスの会議室を「飲み会もできる場所」と再定義することで新しいコラボレーションが期待できる。生活しながら働く「ワーク・ライフ・インテグレーション」の観点からも、オフィスの機能が広がっていくことは今後テレワークの浸透でオフィスの価値が見直される中、新しい可能性を予感させる。

その2. オンライン飲み会で働く親のストレス解消。育休中の社員とのコミュニケーション手段としての活用も

オンライン飲み会が浸透したことで、これまでリアル飲み会には参加できなかった人も気軽に飲みニケーションを参加しやすい社会になった。その対象者の代表例の1つが、子育てしながら働く社員だ。たとえば、子供の送り迎えや家事などで飲み会への参加機会が制限されてしまい、仕事に関するストレスをはきだす機会がなかったり、他の社員とコミュニケーション量に差が出ることに懸念したりする人は多かっただろう。しかしオンライン飲み会なら子供と一緒に自宅から参加でき、また子供を寝かしつけた後でも入ることができる。

さらに、オンライン飲み会は育休中の社員と現場社員をつなげる役割も期待できる。育休明けの現場復帰に対する不安の声は大きく、ベビーシッターサービスを展開する株式会社キッズラインが2019年2月に行った調査によると、現場復帰を果たしたワーキングマザーのうち96%が復職に不安を抱いていた。オンライン飲み会など、現場社員との交流の場を用意することで育休中も現場の雰囲気を把握できるだけでなく、逆に育児の大変さを現場社員に伝えることで育休の不安を緩和することや円滑な職場復帰につなげられそうだ。

その3. オンライン飲み会は新卒人材獲得の手段となるか?全国に点在する内定者フォローへの活用が肝

オンライン飲み会で飲みニケーションへの参加が見込まれる層には、これから企業に入社する内定者も含まれる。新卒採用を行う人事担当者に話を聞いてみると、オンライン飲み会を内定者フォローに活用する方法が挙がった。

たとえば、全国で幅広い採用活動を行っている企業は全国各地に内定者を抱え、懇親会を開きたくても交通費やホテルの宿泊費など費用が掛かり頻繁に開催することができない。その点、オンライン飲み会なら出費を抑えて開催でき、内定者も自宅から参加できる。

また、採用活動が通年化してきたことも相まって人事のスケジュールに空きはなく、内定式を10月に行った後は内定者同士の交流をセッティングできずに入社式を迎える、というケースも珍しくない。移動時間を必要としないオンライン飲み会はこの点でも活用しやすい。また、先述の通りオンライン飲み会はリアルで対面するまでの「つなぎ」の役割を持つ。オンライン飲み会を通して内定者の課題の進行状況などをカジュアルに共有することで入社までのモチベーション維持も期待できるだろう。

まとめ:オンライン飲み会を利用すればリアル飲み会の効果も高まる

緊急事態宣言が解除されても私たちの生活は元通りにならないと言われている。その1つとして飲み会の形も変わり、以前のように大人数が膝を突き合わせて行う飲み会を今後また開催するには時間がかかるかもしれない。自粛期間中にはオンライン飲み会が世間に浸透したが、それ故に実際に会って話せるリアル飲み会の価値に気付く人は増え、それを待ち望む声も大きくなった。貴重なリアル飲み会を有意義なものにしたい、という意識の変化は企業の人間関係をより強固にするための1つの要素になるかもしれない。

ソーシャルディスタンスが求められる今、「人と距離を取ることはまた人とつながる社会に戻るための一番の近道」とも言われる。なかなか人と会って飲み会を開くという行動は取りにくいが、オンライン飲み会を活用することや「オフィス飲み」を導入するなど、できる工夫はまだまだありそうだ。今後はリアル飲み会・オンライン飲み会の両方を上手に活用することが重要で、そのためには今回触れたそれぞれの飲み会の特長を押さえておくと良いだろう。

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この記事を書いた人

Hiroto Matsunoオフィス業界に飛び込んだばかりの20卒の新入社員です。オフィスデザインや働き方において素直に感じたことについて調査を行い、楽しく働いている人たちのあり方を発信していきたいと思います。

    
    
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