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従業員満足度の秘訣は360°のコミュニケーションにあり!満足度に一番影響するのは誰?

[August 30, 2017] BY Haruka Nakamoto

日頃大事、大事と言われるコミュニケーション。アメリカ西海岸では、コミュニケーションが活発になるよう、クローズなオフィスを捨て、オープンプランに設計されたオフィスの様々な場所で仕事をするようになってきています。その結果、よりイノベーティブで、より多くのアイデアが生まれます。

関連記事:【Primo Orpillaインタビュー#1】Studio O+AのPrincipalに聞く、西海岸流オフィスデザインの原点とは

日本でも、従来の固定席で島型といったオフィスから、フリーアドレス制を取り入れたり、コミュニケーションスペースを設けたりしてコミュニケーションの活性化を狙ったオフィスが増えています。たとえば、2016年に東京ガーデンテラス紀尾井町へ本社移転をしたヤフーでは、机を不規則に配置したフリーアドレスで、よりコミュニケーションが生まれる仕掛けとしています。

(写真はYahoo!JAPAN Corporate Blogより引用)

そのようなレイアウトを取り入れることで、今まで話す機会のなかった人と話す機会が増えたといった声を聞いたこともあるかもしれません。

Worker’s Resortではコミュニケーションが従業員の満足度にどのような影響を与えるか調査を行いました。

調査は、日本国内の経営層(経営者、役員等)13.8%、中間層(部長、課長、マネージャー等)23.5%・一般社員62.8%の400名を対象に行いました。※従業員というと経営層は一般的に含みませんが、本調査では含めています。

また、調査は以下の3つの観点を中心に行いました。

1.身を取り巻く社内関係者とは、どのぐらいコミュニケーションが取れていると感じているか
2.仕事以外の社外活動に参加しているか
3.会社に対して満足しているか(以下の10の質問の平均から独自に満足度を設定)

  • あなたの会社では、企業や部署・チームの方向性やビジョンを共有できていると感じますか。
  • あなたの会社では、日頃から気遣いや挨拶が交わされ、良好な人間関係が築けていると感じますか。
  • あなたの会社では、心理的な負担やストレスに対し、互いにフォローしあえる関係が築けていると感じますか。
  • あなたの会社では、社内のルールや規則が全体に浸透していると感じますか。
  • あなたの会社では、日頃から新しいアイデア生まれ、取り組みがされていると感じますか。
  • あなたは、社内で自身の考えや感じたことを心置きなく意思表示できますか。
  • あなたは、一緒に働いている仲間に価値を感じますか。
  • あなたは、自身の成果や業務が評価されていると感じますか。
  • あなたは、組織に貢献できていると感じますか。
  • あなたは、現在勤めている会社で長期的に働けると感じますか。

社員間のコミュニケーションがとれているほど、従業員満足度は高い

コミュニケーションと従業員の満足度について人数比率を示した図

組織に貢献感を感じたり、一緒に働く仲間に価値を感じたり、成果や業務が評価されていると感じたりする「満足感」は、全体的に社員間のコミュニケーションがとれていると感じている人ほど高いといえます。「十分コミュニケーションがとれている」と回答した人の内、「仕事に非常に満足している」が46%、続いて「比較的満足している」が46%、「比較的コミュニケーションがとれている」と回答した人では、「満足している」が61%で最も多く、次に「あまり満足していない」が29%という結果でした。

一方、コミュニケーションがとれていないと感じている人ほど、満足感は低いことが判明しました。「コミュニケーションがあまりとれていない」と回答した人では、「あまり満足していない」が58%、「比較的満足している」が25%、さらに「コミュニケーションが全くとれていない」と回答した人では、「全く満足していない」が最も多く79%、次に「あまり満足していない」が19%という結果になりました。この結果には、所属する組織の従業員数や役職による意識の違いは見られません。

次に、どのような人とのコミュニケーションが従業員の満足度に影響を与えるかについても細かく分析してみました。

同部署とのコミュニケーションが満足度のカギ

調査の結果から、他部署や同僚とのコミュニケーションよりも、同部署でのコミュニケーションが最も満足度に与える影響が大きいということが分かりました。「上司と十分コミュニケーションとれている」と回答した人の満足度は74%、「部下と十分コミュニケーションとれている」と回答した人の満足度は79%と双方高い一方、「上司とコミュニケーションが全くとれていない」と回答した人の満足度は19%、「部下とコミュニケーションが全くとれていない」と回答した人の満足度は15%と、コミュニケーションがとれているかいないかで満足度に大きな開きが出ます。これは、同部署とのコミュニケーションが仕事をする上で必須になるからだと思われます。

他部署とのコミュニケーションでは、同部署に比較すると満足度の開きは小さく、影響は大きくありません。これは他部署とのコミュニケーションがとれていないことが仕事に直結しづらいため影響力が小さいと思われます。しかし、であるからといって他部署や同僚とのコミュニケーションをおろそかにしていいわけではありません。「他部署の上席者と十分コミュニケーションとれている」と回答した人の満足度は78%、「他部署の末席者と十分コミュニケーションとれている」と回答した人の満足度は84%と、同部署と比較して満足度が高いことが分かります。他部署とのコミュニケーションは更なる満足感を生むのです。

まずは、同部署内でコミュニケーションをとれるような施策をうつことが最重要課題といえるでしょう。その上で、他部署とのコミュニケーションを生む仕組みが更なる満足度向上へと導くでしょう。

360°のコミュニケーションが従業員満足度にどのように影響を与えるか示した図。
中心から放射線上にコミュニケーションの対象者とし、縦軸が組織の縦の人間関係、横軸に横の人間関係を示している。グレーサークルの外側に行くほど、仕事では各対象者とコミュニケーションがよくとれており、またプライベートでは社外活動への参加を示している。円柱が高いほど満足度が高くなる。

社外活動をしている人の方が従業員満足度が高い

また、社外活動の参加有無を聞いた結果、社外活動をしている人が満足度58%、社外活動に参加をしていない人が49%と、社外活動に参加している人の方が従業員満足度が高いという結果が出ました。社外活動を行っている理由としては、「自己の成長のため」、「奉仕のため」、「視野を広げるため」などといった強制されてではなく、積極的な理由が多くみられます。

コミュニケーションを活性化させつつも多様な環境を

同部署・他部署・同僚といった社内でのコミュニケーションはもちろん、プライベートの時間である社外活動を含む、360°のコミュニケーションが従業員満足度を向上させることが本調査によりわかりました。社内コミュニケーションが円滑になるような施策を行うのはもちろん、プライベートでの社員の自由な活動をサポートすることでより高い従業員満足度が実現できるといえるでしょう。とはいえ、オープンなコミュニケーション環境は仕事の内容よっては集中を阻害し、ストレスに感じる時もあります。そのためには従業員や業務内容にそれぞれあった多様な環境を提供することも忘れてはいけません。

 

■従業員満足度に関する調査概要

  • 調査時期:     2017年7月19日~21日
  • サンプル数:    400名(男性:315名、女性85名)
  • アンケート方式:  インターネット調査
  • 対象者:      20代~50代の全国の会社経営者・役員/会社員・団体職員(正社員)
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この記事を書いた人

Haruka Nakamoto オフィスコンサルティングファームであるフロンティアコンサルティングで広報を務める傍ら、働き方改革プロジェクトに属し推進している。



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