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健康経営にも役立つ、効果的なランチタイムの使い方 “Lunch & Learn” とは

[March 10, 2020] BY Chinami Ojiri

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ランチ・アンド・ラーンの取り入れかた

1. トピックを選ぶ

ランチ・アンド・ラーンにおいて、最も重要になるのが言うまでもなくイベントのトピックだ。イベントのスタイルやトピックはその都度異なり、外部講師を招いた講演会や社内ミーティング、専門知識を深める為のセミナーなど、数週間にわたって行われる場合もある。また、イベント内容はビジネスに限られる必要はなく、心身の健康促進やボランティア活動、アートやカルチャーに関する内容も含まれ、多岐に渡る。

また、ランチ・アンド・ラーンは社員の関心事と会社の人材育成の方向性を兼ね合わせ、新たな人材育成の1つとして利用することもできる。

トピック例

<ビジネス>

  • ワークライフバランスの管理方法
  • コミュニケーションスキル研修
  • タイムマネジメント研修
  • ビジネス系アプリを用いた仕事効率化
  • プレゼンテーションの組み立て方

<健康>

  • メンタルヘルスや生活習慣病対策
  • ストレスマネジメントの方法
  • 健康診断に基づいた相談会

<その他>

  • アドバイスやカウンセリングを含んだ福利厚生を活用する方法
  • 社内レストラン/カフェメニュー開発
  • その他社員が個人の興味として持っている知見の共有

イベントの価値を高め、より効果的なものにする為に社員に事前アンケートをとり、どんな知識やスキルを得たいか、また仕事外でどのような事柄に関心があるかなど、様々な対象者に合わせてトピックを調整できるようにするのが良いだろう。

2. イベントスタイルを選ぶ

・セミナースタイル

ランチ・アンド・ラーンのなかで、よく取り入れられているのがセミナースタイルだ。セミナーは社内発信に限らず、外部から講師やスピーカーを招き、社員の新たな知識やスキルなど、学びを得られる機会や環境の提供を主な目的とする場合が多い。

冒頭でも紹介したStudio Blitzも「定期的に外部から講師やスピーカーを招いて、社員のランチも提供しながら何か学べる機会を作っている」と語るように、オフィスで「学ぶ」という環境づくりを行う企業は増えている。日本dねは「労働時間の短縮」「効率化」が叫ばれる中で、学びの時間も効率良く行わなくてはならない。

(画像: Austin Distel on Unsplashより)

また、セミナースタイルは外部主催のケースも多い。例えば、製品メーカーや販売代理店、販売会社など、企業紹介や新商品の営業・宣伝目的でもランチ・アンド・ラーンは開催される。以前筆者が働いていた米系企業でも様々な家具メーカーや商材メーカーがオフィスに訪れ、1週間に1〜2回程のペースでランチ・アンド・ラーンが行われていた。実際、イベント後に商品や商材のオーダーをかけたり、次のプロジェクトに関する相談が始まったりと、欧米でのランチ・アンド・ラーンは社員の学びを保証した上で、外部企業との効果的な交流の1つとしても取り入れられていた。

・ミーティングスタイル

カジュアルな社内ミーティング、社内プレゼンやプロジェクト発表の場として、ランチ・アンド・ラーンが利用される場合もある。

例えば、各部署が現在取り組んでいるメインプロジェクトを多部署に向けてプレゼンする機会として利用することで、部署間の横の理解を深めることができる。また、普段プレゼンを行う機会の少ない、新入社員や若手社員が何かしらのテーマについてプレゼンテーションを行い、上司や先輩社員からアドバイスを得ながら、パブリックスピーキングを訓練するプラットフォームにするのも良いだろう。

・社内文化交流

多文化共生の欧米では、外国人参加者が食べ物や飲み物を持ち寄るポットラックパーティーや社員の誕生日パーティーなど、ランチタイムを利用した交流会が頻繁に行われる。

ある企業では、新人インターンの初仕事として、自国又は地元の文化を伝えるプレゼンが行われるという。自国の言語や伝統料理、音楽やアートなど様々なアプローチでプレゼンを行い、プレゼン後には新しい文化理解に質問があがったり、共通点のある者同士が集まったり、自然と異文化交流が始まるそうだ。

日本でも年々外国人採用が増えているが、日々業務を行うなかで外国人社員の文化や言語などに触れ、理解を深める機会はなかなか少ない。そんな外国人社員との交流を深める場としてランチ・アンド・ラーンを利用し、多様性を尊重した職場づくりをしてみてはいかがだろうか。

3. ランチ内容を選ぶ

ランチ・アンド・ラーンは社員のお昼休憩を利用したイベントであり、言い換えれば「お昼のネットの時間」よりも優先して参加することになる。そのため、よりポジティブな雰囲気と共に、たくさんの社員の参加を促すため、社内発信、外部発信、どちらの場合も主催者が無料のランチを提供するケースが多い。

主催者によっては企業文化をアプローチする場として、ランチの内容にこだわりを見せる場合も少なくない。例えば、人材多様性に富む外資系企業では自国を代表するメニュー、環境保全に取り組む企業はオーガニック食材や地産地消食材を扱うメニューなど、ランチの内容から会話やプレゼンが始まるという工夫も面白いだろう。

欧米では、Uber Eatsなどの食事のデリバリーサービスが日常的であるが、ランチ・アンド・ラーンに対応したオフィス向けサービスやケータリングなどもあり、選択肢は幅広い。例えば、ニューヨークを拠点にオフィスランチのケータリングサービスを展開するSTADIUMは100店以上の飲食店と提携しており、300種以上のメニューから、ランチ・アンド・ラーン、チームミーティング、顧客ミーティング、社内ミーティングに対応したランチ内容をオフィスへデリバリーオーダーすることができる。

(画像: STADIUMウェブサイトより)

近年、健康経営が注目を集める日本においても、様々なオフィス向けサービスが誕生しており、『マップで解説 健康経営に役立つオフィスサービスまとめ【2019年版】』でも紹介したように、実に多くのサービスが利用可能だ。

4. フィードバックを募る

各セッションの参加者の満足度を測定し、受け取ったフィードバックに基づいて必要に応じてその後のプログラムを調整する。「多くの学びや刺激を得て、お昼休みの時間を有意義に過ごすことができた」と参加者が感じられるような企画を続けることで、会社としても社員の成長を促し続けることができるのだ。

最後に:健康経営へのポジティブな影響

ランチ・アンド・ラーンは、オフィスで社員に仕事以外のことに触れてもらうきっかけとして効果的な施策だ。日本での導入が進むとしたら、やはり健康経営が影響すると思われる。

近年、様々なかたちで健康経営を導入している企業が増えているが、「健康経営優良法人」や「健康経営銘柄」に選出されること自体を目的としたり、表面的な取り組みを行うだけでは健康経営の成功とは言えない。企業全体が社員の心身の健康維持や生活の質の向上により積極的に取り組み、社員一人ひとりの意識を高め、かつ楽しく働ける環境を整えることが必要となるだろう。

健康経営を「企業文化」として定着させるための具体的な取り組みとして、比較的取り入れやすいランチタイムを活かした新たな学びと交流の場、ランチ・アンド・ラーンの導入を検討してみてはいかがだろうか。

<その他参考記事・文献>
https://www.milkandhoneywellness.com/corporate-nutrition

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この記事を書いた人

Chinami Ojiriフロンティアコンサルティングで設計デザイン部に勤めた後、渡米。経験と知識を広げる為、現在はNYの美大にてインテリアデザインを学んでいる。

    
    
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