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経営者がこだわるオフィス ー 「ベンチャーはユニークさの追求」をオフィスで体現するFringe81

[February 10, 2020] BY Kazumasa Ikoma

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さらに部署間で分けた執務スペースの間に存在する巨大な通路・廊下スペースは、Fringe81の営業・コンサルティング部門と開発部門をつなぐ重要な空間。この2部署間を行ったり来たりできるレイアウトは、リーン型で新しいサービスを生み出す企業として田中さんがこだわるポイントの1つである。実際に筆者が訪問した時も多くの社員が社内会議スペースとしてこの空間を活発に利用していた。

執務スペースにつながる動線にはこのように打ち合わせできる空間が何種類も用意されている

この動線設計重視のデザインを担当したのは、世界的なインテリアデザイナーとして知られる森田恭通さん。店舗設計を中心に手がけることの多い森田さんだが、役職を考慮せずに多数の社員の交流を促すというFringe81の目的を叶える上ではまさに適役なデザイナーだった。

度重なる移転でも同じオフィスコンセプトで働く環境の知見を蓄積

森田さんがFringe81のオフィスデザインを担当するのはこれが初めてではない。これまでのオフィスでも移転時に田中さんが要望をまとめ、それをもとに森田さんがデザインするというプロセスを取ってきた。オフィスのコンセプトはその都度一から新しいものではなく、過去のオフィスで得られた知見を追加していく形を取ることで、Fringe81の企業形態に合う最適なオフィスを複数の移転にわたって探ってきたのである。

導入したものの1年経たずに変更し後悔をしたことも多くあったが、それを経て今のオフィスに辿り着いている。そのため今回の新オフィスは、過去のオフィスで学んだことや効果があると感じられたものを反映させた、同社の現段階における「集大成オフィス」といっても過言ではない。例えば先述した社長デスクの配置は、コピー機の前に置いていた以前のオフィスレイアウトから引き継いだものである。

モニターに資料を投影しながら同じ壁面に書くことができる点は田中さんが重視したポイントの1つ。書いたものを指でこすって消すことができるかまで素材にこだわった。

広く取った大会議室は規模の大きいイベントでの利用が可能。広告代理業としてはあまり必要ではないが、SaaSの企業としてはセミナー開催が多いことから用意したという。

森田さんと長期間、複数のオフィスにわたって二人三脚でオフィスを構築し、また社員の声も反映させながら進めることで、洗練されたオフィスの構築を進めてきた。「オフィスは『人間の才能が最高に発揮できる場所』であるべき」と考える田中さんが形にした空間の最新版を、Fringe81では目にすることができるのである。

社長が率先して行う、オフィスでのトライ&エラー

Fringe81が細部にわたってオフィスの知見を蓄積できたのも、会社が掲げる「ユニークさ」をもとに社長が自ら積極的に新しい働き方に挑戦し、模索してきたからだろうと筆者は見ている。

もともと毎日同じ時間に同じ場所で働くワークスタイルに疑問を持ち、それにとらわれない自由な会社になることを目指している田中さんは、鎌倉にサテライトオフィスを作ったり、京都の町家を借りようとした(こちらは実現はしなかったが)りと、「オフィス環境」よりもさらに俯瞰的な「働き方」という目線でこれまで様々な施策を試してきた。この積極的にトライ&エラーを繰り返す姿勢が同社オフィスにおける「機能性」と「ユニークさ」の両立を支えてきた。

動線にこそ色々な仕掛けをつくる森田さんと田中さんのこだわり

次ページ:なぜそこまでユニークさを追求するのか?

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この記事を書いた人

Kazumasa Ikomaフロンティアコンサルティングにてリサーチャーを務める。アメリカ・サンフランシスコでオフィスマネージャーを務めた経験をもとに、西海岸のオフィスデザインや企業文化、働き方について調査を行い、人が中心となるオフィスのあり方を発信していく。

    
    
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