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ニューノーマル時代の”場所に縛られない”働き方を代表するABWの真髄

[October 08, 2020] BY Kazumasa Ikoma

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2. ITツールの重要性

アクティビティ・ベースド・ワーキングを実践する上で物理的な空間の使い方と共に重要なのが、ITツールの存在だ。先述の通り、アクティビティ・ベースド・ワーキングでは、従業員は信頼され、自社オフィスの内外関係なくどこからでも仕事ができるようになる。ただし、これはITツールが適切に用意されてこそ成り立つものであり、多くの企業ではこのITの分野に関しても大きな変化が求められる。

アクティビティ・ベースド・ワーキングにスムーズに移行するためには、ペーパーレス(日本では特に脱ハンコやデジタルストレージなどを活用したシェアリングソリューションへの移行が課題)やノートパソコンの活用はもちろんのこと、固定電話に縛られないスマートフォンの内線化や、オンライン会議ツール・デジタルコラボレーションツールの導入、さらにはデータセキュリティの徹底などが重要な要素として挙がる。言わずもがなだが、非常に複雑なのだ。

今や多くの企業がアクティビティ・ベースド・ワーキングを採用しようとしているが、実際には従業員がそれぞれ異なる場所や方法でも一緒に作業できる環境を整える上で必要とされる、IT導入にいたるまでのロードマップの作成や脱・紙文化を考え直す準備ができていないところがほとんどだ。しかし、企業がこれを乗り越えデジタルな働き方に順応すれば、自ずと意思決定のスピードや生産性が向上するだけでなく、従業員から発せられる自由なアイデアや提案が増えたり、さらには彼らの学びの増加にもつながったりするとミーハン氏は語る。

テクノロジーはさらに組織内の階層間やチーム間におけるサイロ化の解消にも寄与するとミーハン氏は付け加える。特にコロナ禍でリモートワークを経験している人からすれば、この問題の解決がいかに重要であるかは想像に難くないだろう。ITツールを駆使することは、実は多くの声を拾い上げるという”人的な”解決につながるのである。

3. 組織のマインドセットとカルチャー

これら2つの要素に加え、アクティビティ・ベースド・ワーキング導入において最も重要な柱が、マインドセットと行動の変化を起こすことだ。 ここでも非常に複雑なプロセスが取られるのではないかと推察しそうだが、ミーハン氏によると、考え方と行動の変化を組織内で広めるのに必要な要素は限られているという。その要素を次のように挙げている。

明確な理由

会社が働き方を変えようとしているのは何故か?経営者から中間管理職、そして従業員に至るまで働き方を見直そうとするのはどういった背景があるのか?組織として達成したいことは何か?これらの問いに対する答えが全社でしっかりと説明され、なおかつ認識されているかが、アクティビティ・ベースド・ワーキング導入における重要なファーストステップとなる。

明確性、信頼性、成果に基づくチームマネジメント

監視し指示を与えるというアプローチは、アクティビティ・ベースド・ワーキングの原則ではうまく機能しない。ここで注意しておきたいのは、組織のヒエラルキーはもはや重要ではなく消えるべきだ、ということではなく、あくまで自身の仕事に対する責任を持つことが大切で、その上で周囲からの信頼を築くとともに、自分も他人の仕事に対して可能な限り信頼することが重要なのである。

組織内の全部署・全階層による協力

アクティビティ・ベースド・ワーキングは、不動産設計やオフィスデザインプロジェクトではなくビジネス戦略であるからこそ、企業の代表がITや、HR、不動産部門と一緒になって組織全体に変化を促す努力をする必要がある。

リーダーやロールモデルの存在

これまでとは異なる新しい方法で効果的かつ創造的な仕事をすることをまわりに促すロールモデルやリーダー的存在の人をつくりだす必要がある。さらにリーダーシップには、他人のアイデアに耳を傾けるカルチャーを育てる素質も含まれる。

忍耐力

メンバー全員がそれぞれ自分のペースで変化に順応できるように皆が忍耐力を持つことが重要である。お互いにサポートする雰囲気を保つことで、結果的に変化が個人だけでなくチーム全体で受け入れられるようにする。

(後編「ABW導入でよくある6つの失敗」に続く)

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この記事を書いた人

Kazumasa Ikomaオフィス業界における最新情報をリサーチ。アメリカ・サンフランシスコでオフィスマネージャーを務めた経験をもとに、西海岸のオフィスデザインや企業文化、働き方について調査を行い、人が中心となるオフィスのあり方を発信していく。

    
    
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