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経営者がこだわるオフィス ー 「ABW」「バイオフィリックデザイン」「五感の刺激」「データ分析」で最先端オフィスを構築するOKAN

[February 17, 2020] BY Kazumasa Ikoma

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データ収集・分析で「最も使われるオフィス」目指し、常に微調整する

ABW、五感の刺激、バイオフィリックデザインと続き4つ目の特徴となる点は、データ収集・分析を行いながら日々環境の改善を行っているところにある。

人の動きが多いABW型オフィスの各所にはセンサーを設置し、社員の動線を把握できるようにしている。そして稼働率の高いゾーンは低いゾーンと入れ替える形で追加し、オフィス効率を高めていると沢木さんはいう。

実際に社員が打ち合わせをよく行うHIROBAエリアは、その稼働率の高さから計画よりも多く追加された空間の1つ。またソファ席も稼働率を見ていく中で増やしたという。当初執務デスクエリアの利用率が高くなると予想されていたが、データを通じて実際の使われ方を把握し社員が最も使いやすいベストな環境を常に整えているのだ。「オフィスを再度作り変えると言っても、ゾーンを切り取って変えればいいだけなので直しやすい」と沢木さんは話す。

多くの打ち合わせが行われるHIROBAエリア

このように常に微調整を行い最適な環境の構築を行った結果、人材への影響が良い形で見え始めているという。社員の活動をトラッキングしたデータと⾃社サービス『ハイジ』のスコアを連動させることで、空間と社員パフォーマンスの関係性を見た結果、社員のエンゲージメントスコアやリフレッシュ環境スコアは向上していると沢木さんは話す。人材という視点におけるオフィスへの投資対効果は着実に表れているようだ。

まだ専門的なデータ分析チームは社内に存在しないが、今後の設置を沢木さんは現在検討しており、オフィス環境の研究開発機能の強化を進める方向で動いている。業界ではピープルアナリティクスへの注目が高まる中で、OKANがどのように先進的事例を作り出していくのか興味深い。

経営者自らがオフィスにこだわる理由

これだけのオフィス構築を沢木さんは特定の部署に権限を委譲することなく、自ら決定権を持って推し進めたようだ。環境が健康や人間関係に大きな影響を及ぼすものであることは変わらず、加えて近年では働く環境に対する社員の優先順位も上がっている。企業の成長という観点から人材への影響を左右するオフィスは戦略的投資の対象であり、経営者が意思決定しなければいけない、と沢木さんは語る。

経営の観点からオフィス投資を考える時、PL脳ではなくBS脳で捉えると、オフィスは「何かしらの価値を生み出さなければならないもの」であり、その目的設定が必要となる。しかし、先述にある通り、オフィス環境は多額の投資になりつつも科学的な効果測定はできていない領域。だからこそオフィス投資の効果を可視化できるようにすることが経営者にとって重要な意味を持つというのだ。経営とオフィス環境の関係性が近くなった今日、沢木さんは経営視点からオフィス構築を考えるという一大プロジェクトを自社オフィスで進めているのである。

「OKANが自社サービスでも手がける人材領域自体が、そもそも定量的に図っていくことが苦手な領域。」と語る沢木さん。しかし近年はOKANが事業展開している『ハイジ』や株式会社リンクアンドモチベーション提供の『モチベーションクラウド』といった組織改善ツールの導入が進んだことで、この分野でのPDCAサイクルを回すことが可能になり、人材に対する投資効果が少しずつ見えるようになった。オフィスも組織、人のために存在する以上、同じようなPDCAサイクルを回せるようになることが求められるだろう。

「オフィスにかけた投資額はこの企業規模では多い方だと思う」と沢木さんが語った理由にも納得がいく。オフィスに戦略的投資を行う企業はこれから増えそうだ。

最後に

「オフィスは従業員に対する投資」という視点で環境を構築するOKAN代表の沢木さん。労働人口が減り、転職市場が活発になる中で、オフィスはリテンションマネージメントという文脈で語られるだろう、と今後のオフィスのあり方を話す。オフィスは仕事だけの場所ではなく、家庭両立や良好な人間関係の構築、健康経営など、人間の生活にとって必要な要素まですべてに紐付けられる存在。そして総務やファシリティマネージャーという役割の本質も今後変わってくるだろう、という将来像とともに取材を締めくくった。

仕事環境を変革する企業が本気で取り組むオフィスは多くの興味深いポイントで溢れていた。今後OKANのオフィスがロールモデルとしてどのような影響をオフィス業界に与えるのか、注目していきたい。


今回取材した株式会社OKANの沢木恵太さんは、2020年2月17日〜20日まで福岡で開催されるICCサミット FUKUOKA 2020のセッション「成長企業のオフィス戦略〜そこに込めた思い、狙いとは?」にご登壇予定です。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。詳細は公式ページをご覧ください。

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この記事を書いた人

Kazumasa Ikomaフロンティアコンサルティングにてリサーチャーを務める。アメリカ・サンフランシスコでオフィスマネージャーを務めた経験をもとに、西海岸のオフィスデザインや企業文化、働き方について調査を行い、人が中心となるオフィスのあり方を発信していく。

    
    
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