シェアオフィス、コワーキングスペース…4つの違い分かりますか?働き方改革に有効なオフィス比較!
記事作成日:[November 29, 2017]
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記事更新日:[February 21, 2019]
BY Haruka Nakamoto
働き方改革の推進と共に日本にも多様な働き方が広まってきました。シェアオフィスやコワーキングスペース等を活用して働き方の多様化を目指したり、効率化を模索したりしている企業も多いのではないでしょうか。しかしうちの会社には何があっているの?導入して何が得られるの?ということを的確に把握できている人は少ないかもしれません。そこで、サテライトオフィス、シェアオフィス、コワーキングスペース、レンタルオフィスの分かりそうで分からないこれらの違いをお伝えし、どのような場合にどの施設を利用するのが適切なのか解説いたします。
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1.サテライトオフィス
サテライトオフィスとは、企業または団体の本拠から離れた所に設置されたオフィスのことです。本拠を中心としてみた時に衛星(サテライト)のように存在するオフィスとの意から命名されました。※1 一般的には地方に設置されることが多く、地方創生というテーマと共に議論されることも多いですね。しかし近年では働き方に向けた取り組みが各企業で積極的に行われるようになり、少しでも通勤や移動の時間を短縮するという目的で、都心やその周辺に本拠がある企業でも比較的近い距離にサテライトオフィスを設置するというケースも見受けられます。
地方にサテライトオフィスを設置するのは、都会ではなく自然豊かな環境で暮らしたいという考えを持つ人にあった働き方に対応できるのはもちろん、東日本大震災以降意識されているBCP(Business Continuity Plan・事業継続計画)対策になる他、都会でオフィスを賃貸するよりも賃料が安く済むというメリットがあります。
徳島県神山町にサテライトオフィスを構える株式会社えんがわ。当初BCP対策のためサテライトオフィスを導入しましたが、現在は遠隔での仕事を行うためITツールをフル活用することで東京本社も神山町サテライトオフィスもどちらも効率化。
郊外にサテライトオフィスを設置する場合、在宅勤務では上手く働けない人に力を発揮してもらえることがあります。たとえば、家の中だとメリハリをつけられず成果が出せないという人もいますが、サテライトオフィスでしたら通勤時間は短く済み程よい緊張感の中で落ち着いて働けるでしょう。また、特殊な設備が必要という場合でも、本社・支社のような設備にはかなわずとも、その業務に適した設備をサテライトオフィスでしたら提供できます。
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サテライトオフィスは今までアプローチすることができなかった場所の人や、自宅の近くで働きたい、働かざるを得ない人を受け入れることができ、多様で優秀な人材の確保・維持につながります。
サテライトオフィスの難しい点の1つは、開設する場所です。移動時間の削減を一つの目的とするため、どこに開設するかが重要となります。しかし、誰もにとってアクセスのいい場所はありませんから、どのような人向けに開設するかはっきりさせることが重要です。また、サテライトオフィスとの相性の悪い職種も多いでしょう。業種にもよりますが地方のサテライトオフィスは、顧客接点が少なく創造性を多く必要とする技術職には向いている一方、顧客が都心に集中している営業職には利用が難しい場合があります。逆に都心のサテライトオフィスは維持費等はかかるものの、営業効率の向上に加え、日常の刺激や交流という点で思わぬ効果を生み出す可能性があります。
2.シェアオフィス
一方、シェアオフィスとは、自社だけではない複数の利用者がフリーアドレス形式で使用するものです。レンタルオフィスが個別の占有スペースがあるのに対し、シェアオフィスには基本的にはありません。安価で利用でき、仕事場として高い機能を持ちます。
自社でサテライトオフィスを抱えている企業では、利用場所が固定されてしまいますが、シェアオフィスだといくつかのオフィスから自分の働きたい場所を選択できるのが魅力ですね。また自前で設備を整える必要がないので、より短い時間で導入できますし、保守の心配がありません。
一方で、個室がないため機密情報の取り扱いに注意を払わなければなりませんし、電話の度に移動しなければいけないので仕事内容によってはストレスに感じる人もいるかもしれません。
全国で78拠点(提携店含む)を有する東京急行電鉄株式会社の「NewWork」では、多くのシェアオフィスが月額などの定額料金を設定しているのに対し、利用拠点や時間を記録することで、使った分だけ請求されるシステムがあります。また利用履歴を確認できることから、企業としては労務管理もしやすく、利用分の一括請求により支払いも円滑に行うことが出来ます。
シェアオフィスは、移動時間の短縮や外出先で仕事場の確保をしたい営業パーソンなどに向いており、大企業・中企業によるエンタープライズ契約が進んでいます。
NewWork 自由が丘
3.コワーキングスペース
シェアオフィスと似ているため混同されることがあります。明確な線引きはありませんが、シェアオフィスがどちらかというと作業の場であるのに対し、コワーキングスペースは利用者同士が交流を図り、コミュニティを形成することでビジネスを後押しすることができます。それをよく表す言葉が、2018年に日本に上陸するWeWork Japanのクリス・ヒルCEO(最高経営責任者)の「WeWorkはコワーキングスペースではなく、グローバルコミュニティなんだ。」※2という言葉です。今まで日本ではコワーキングスペースは個人利用が多かったのに対し、今後は社外リソースとの協業やアントレプレナーシップの醸成を目指す大企業含め法人での利用が加速されそうです。
2018年オープン予定のWeWork Ark Hills Southの完成予定図
もちろん、コミュニケーションが活発に交わされるため、静かなところで作業をしたいという人には向いていないかもしれません。
コワーキングスペースは企業や事業の規模に関わらず、コミュニティを形成したい人、新しい事業・アイディアを創造しビジネスに活かしたい人に向いているでしょう。
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4.レンタルオフィス
サービスオフィスともいい、必要なオフィスの設備が予め用意されており、個室でセキュリティも確保される上、入居したらすぐに仕事ができるのが魅力です。自分で事務所を賃貸する際に生ずる様々なわずらわしい手続きが不要で、高いサービス力が人気です。また、都心の一等地は賃貸で事務所を借りようとしても大規模でないと借りれず、離れたペンシルビルなどにせざるを得ません。しかし、レンタルオフィスでしたら、信頼を得られる一等地のハイグレードビルに入居することができます。有名なのは、リージャス、サーブコープでしょう。
多様な働き方に対応する働き方改革の手段としてよりも、海外から展開する際の拠点としてや、士業含め開業の拠点としての利用レンタルオフィスは向いています。
Servcorpのトライセブン ロッポンギ デイ・スイート
まとめ
これらの中で混同しやすいシェアオフィスとコワーキングスペースの違いは、目的を仕事の作業場とするか、コミュニティ形成かということになるでしょう。運営団体によって運営方法や利用形態が異なるため複雑化しているこれらのサービスですが、現状では次のようなイメージではないでしょうか。
自社にとって求めていることは移動時間の削減、仕事の効率化、多様な人材の受け入れ...等目的を明確にし、自社の働き方にあったものにトライすることで、働き方の選択肢が大きく広がります。それによって既存の従業員に恩恵があるだけではなく、採用の面でも大きくアドバンテージが得られます。それぞれお試しで利用できるサービスもありますので、まずは体験することから始めてみてはいかがでしょうか。
参照:
※1 http://www.soumu.go.jp/satellite-office/
※2 https://forbesjapan.com/articles/detail/17936/2/1/1
この記事の執筆者
Haruka Nakamoto オフィスコンサルティングファームであるフロンティアコンサルティングで広報を務める傍ら、働き方改革プロジェクトに属し推進している。