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未来のビルディング:進化を続けるスマートビル ー WORKTECHレポート

[February 10, 2022] BY Worker's Resort Editorial Team

新しい世界が求める、新しいワークプレイス

ワークプレイスの進化とともに、ビルの機能も進化している。アプリ、5G、センシング、AI、AR……。今、新しいテクノロジーによって、私たちの働き方は大きな影響を受けている。

2021年12月7日、ロンドンで「SMARTBUILDINGS21」が開催された。「不動産」「テクノロジー」「イノベーション」「未来の働き方」に関わるプロフェッショナルに向けた、一日限りのカンファレンスだ。Accenture、Cisco、BCG、CBREといったグローバルブランドからオピニオンリーダーが集い、「最新テクノロジー」「現在のトレンド」「未来予測」「ワークプレイスのウェルビーイング」「従業員の生産性」など、ビジネスリーダーが学ぶべきことについて意見が交わされた。

とりわけ重要なものとして取り上げられたテーマは、次の3つだ。

・データの収集と活用
・従業員体験の優先順位
・適応性と機敏性を備えたテクノロジーの導入

本記事では、各テーマにフォーカスしながらカンファレンスの概要を紹介する。​​

データ活用の重要性 

スマートオフィスの可能性を最大限に引き出すうえで、「データの収集とその活用」は最も重要な鍵となる。

スマートビルでは、センサーデータやフィードバックを活用することで、ビルが自ら学習や改善を行っている。ロンドンにあるSouthworksは、データを活用するスマートビルの一例だ。同ビルでは、会議室の室内温度、空調、照明、占有率といったデータを収集し、センサーで混雑状況を確認している。ビル自体が各部屋の使用状況や使用頻度を把握して、より快適な室内環境を実現しているのだ。

ロンドンのテムズ川南岸・サウスバンクに位置する、サステナブルな新規開発プロジェクトEdge London Bridgeもスマートビルの一つ。同ビルでは、スマートインフラを利用して、室内の空気環境、混雑状況、電力消費量、換気システムや音響を管理している。換気が必要な場合や、室内のCO2濃度が高すぎる場合は、ユーザーに警告を発することも可能だ。

BCG Smart Environments Practiceのリーダーであるクリスティン・ウールジー氏は、こうしたデータ活用の推進派だが、次のようにも指摘する。「スマートビルにはデータが不可欠だが、ユーザーの同意を得ることが難しい場合がある」。ユーザーからデータ提供の承認を得るには、ユーザーがインセンティブを感じる付加価値が必要だ。例えば、パフォーマンスと利用パターンを関連付けることで、感覚的な空間を提供できる点もメリットとなるだろう。こうしたデータ分析により、ユーザーは自分自身に関する情報を入手できると同時に、様々なスペースが仕事にどのような影響を与えるかを知ることができる。

「データ活用でワークプレイス体験が改善されるのなら、ユーザーは積極的にビルの管理者に協力するだろう」と、ウールジー氏は続ける。そこで重要なのは、双方の「コラボレーション」だ。つまり、私たちユーザーはスマートビルとコラボレーションして、ギブ・アンド・テイクのような互恵的な関係を築く必要があるのだ。

従業員体験の優先順位

スマートビルは、より快適で、よりパーソナライズされた従業員体験の提供を求められている。Zaha Hadid Architects社のウーリッヒ・ブルム氏は、近年は「複数のビルが融合する」「複数のタワーを一つの巨大なビルにする」といったように、床面の拡大傾向があると指摘する。

床面を大きくすることで、イノベーションやコネクションの機運が高まれば、より発展的でより快適なコミュニケーションにつながる。さらに、ブルム氏は「情報やコミュニケーションは近接することで広がり、床面を大きくすることで人と人とのつながりもより深まるだろう」と付け加える。

前述のSouthworksビルでは、ワークプレイス・アプリを通じて、より快適な従業員体験の実現にも努めている。こうしたアプリには、「セキュリティ機能」(非接触型チェックアウト、エレベーター管理、清掃状況のアップデート、ソーシャルディスタンス情報、空気のモニタリングなど)、「ディスカバリー機能」(ワークスペース・同僚・駐車場の探索など)、「パーソナライズ機能」(快適な温度、照明など)、「コミュニケーション機能」(社員フィードバック、ニュース&ポリシーのアップデート)が備わっている。

英国のLandmark Space社は、デジタルジャーニーとカスタマージャーニーに着目し、在宅よりもオフィスのほうが優れている面が多いことを保証する。「協働しやすいスペースの確保」「ウェルネスの優先」「営業担当者と顧客がコミュニケーションできる環境」、そして「テクノロジーの活用」がそれだ。

従業員のためには、「コミュニティ感覚」の醸成も推進していきたい。前述のEdge London Bridgeでは外に公園をつくり、地域や近隣の人々に開放している。同ビルでは、エレベーターやエスカレーターよりも階段を多く使うように設計されているため、運動や社会的な交流を促す仕組みになっている。​​また、「ウェルネス」も同ビルの中心的な要素で、テナント用の駐輪場、フィットネスジム、シャワーが併設されている。

Cisco社Digital Workplace Transformation部門のグローバルヘッドであるキエラン・ヒギンズ氏も、物理的なオフィスは必要だと考える。リモートワークに伴う燃え尽き症候群を回避し、従業員同士の文化的つながりを維持するためだ。したがって、「オフィスは、人々にとって行くのが楽しみな場所であるべきだ」と説く。もちろん、自宅とオフィス、どちらでの仕事を選ぶにせよ、選ぶ権利は従業員に与えなくてはならない。従業員がリモートワークを選択する場合には、自宅環境にも「快適性」(適切なハードウェアと機器がある)と「持続可能性」(燃え尽き症候群や孤独感を回避できる)が必要だ。

WORKTECHアカデミーのディレクターを務めるジェレミー・マイヤーソン氏は、スマートオフィスは新しいフェーズに移行したと考えている。人々はもはや週5日オフィスに行くことはなく、ワーカーは従来よりも柔軟性を求めるようになった。「ハイブリッドワーク」は新しいコンセプトであり、スマートオフィスはこうした新しい現実への適応を求められているのだ。

適応性と機敏性

スマートオフィスは、ニーズの変化、個人の嗜好、技術革新に柔軟に対応できるものでなければならない。

Zaha Hadid Architects社のブルム氏は、ビルの融和という観点から柔軟性について語っている。次世代ビルは「自然と人工」「インドアとアウトドア」、さらに「異なる機能」を融合させたものになるだろう。すべてがシームレスにつながり、ユーザーのニーズや好みに合わせて変化していくはずだ。

WORKTECHアカデミーのマイヤーソン氏は、デジタルとフィジカルの二元性が必要だと考えている。ビルのスペースは、アクティビティごとに別々のエリアに配置するよう再設計しなければならない。例えば、「集中して仕事ができる静かなスペース」「チームワークやアイデアのためのコラボレーションスペース」、そして「プレゼンやカジュアルなチャット、簡単な打ち合わせなどのためのマルチファンクションスペース」などだ。

Accenture社は、特に接続性とスマートビルの未来に注目している。同社のIntelligent Buildings UK and Europeのリーダーであるハリー・モルファキス氏は、現在のビルテクノロジーのほとんどはインターネット接続がされていない孤立した状態だと主張する。そのため、入退室管理、照明、エレベーター、CCTV、電源などは、すべて個別に操作が行われている。一方、スマートビルでは、こうした機能のすべてを接続させることで、コスト削減と効率化を実現している。

また、スマートビルには、ユーザージャーニーに着目した「人中心のデザイン」であることも求められている。ビルは、5GやBluetoothアクセスコントロールなど、未来のテクノロジーに適応できなければならない。ワイヤレス化とIoT技術の導入が進めば、必然的にビル内のケーブルの数も減っていくだろう。企業は今からその準備を行い、積極的に行動するべきだ。

デベロッパーやビルオーナーに向けては、重要なことが二つある。一つ目は「まずはじめに従業員体験について考え、テクノロジーがこれをどう改善していくのかを考えること」。二つ目は、「変化しつづける技術的なニーズや好みに対応できるよう、柔軟性を念頭に設計すること」だ。

スマートビルの未来

ハイブリッドワークの普及に伴い、ビルはユーザーに対して付加価値とすばらしい体験を提供するよう求められている。新しいアイデアや技術が急速に定着するなかで、ワークプレイス体験は再構築されようとしているのだ。「データの収集と活用」「パーソナライズされた従業員体験」「適応性の高いテクノロジー」は、業界のオピニオンリーダーのあいだで今後ますます注目を集めるトピックとなっていくだろう。

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