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アフターコロナで本格化する「オフィス × テレワーク」 5年のノウハウを蓄積する株式会社ニットの事例

[June 09, 2020] BY Kazumasa Ikoma

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テレワークで大事なのは気軽なコミュニケーションを取れる機会を維持すること

一般的にテレワークを始めると、オフィスにいるときよりも社員間のコミュニケーション量が減少する傾向にある。業務上のコミュニケーションはまだ比較的維持されつつも、強く影響を受けるのはちょっとした雑談などのカジュアルなコミュニケーションだ。このカジュアルな会話の有無がテレワーク環境における仕事の効率性が大きく左右することは海外含め多くの企業で示唆されている。

それはニットでも例外ではなく、その対策として同社は積極的にオンライン飲み会やオンライン雑談の機会を設けている。秋沢さんが必要と考える理由は以下の2つだ。

オンライン飲み会・雑談を取り入れる理由①:孤独さを解消

秋沢さん曰く、在宅勤務を始めて最初に突き当たる壁は寂しさを感じること。秋沢さん自身も自社サービスのHELP YOUで働く人を含め、多くの人が孤独感を感じる場面を見てきたという。4月下旬に株式会社あしたのチームが公表した調査結果で「テレワークを始めて管理職の3割が寂しいと感じている」という実態も明らかになり話題を呼んだが、組織である以上、孤独さというネガティブ要素を解消して従業員が前向きに仕事に取り込めるように仕組みづくりを行うことは大切であるようだ。

オンライン飲み会・雑談を取り入れる理由②:テレワークでテキストのみのやりとりでも、相手の「本当に伝えたいこと」が読み取れるように

カジュアルな雑談から社内メンバーと信頼関係を築けるか否かでテレワークにおける仕事の質は大きく変わる。テレワークは一般的に、個人作業を行う上で高い集中力を維持しやすく生産性の高い仕事をする上で効果的。しかし、チームメンバーとコミュニケーションを取る場面では、相手がどのような背景や文脈で会話しているのかテキストだけで把握する必要があり、通常のオフィスワークより高度な会話スキルが求められる。その時に相手の好きなことや趣味、休日の過ごし方など、何気ない会話から相手の性格や話すときの癖、ひいては為人を知っておくと、テキストからでも相手が伝えたい内容を読めるようになる。メッセージだけの会話による不必要なすれ違いを防止する上でオンライン飲み会や雑談は効果的だという。

忘年会では社員とHELP YOUアシスタント合わせて100名以上が参加。

オンラインでの勉強会も定期的に行っている。

人が集まれるオフィスという場を設けておきながら、オンライン上でも気軽に話す機会を積極的につくるのは、人と人の間に物理的な距離が開く現代の働き方の中でも従業員が上手な人間関係を構築できるようにするためだ。

年に2回の合宿は、オフラインでの交流の機会

テレワークができる環境下で積極的にオンラインでの会話を促すのと同じく、対面での会話も重要視するニットでは全社員が参加する1泊2日の合宿を半年に1度開催している。オフィスワークよりもテレワークの比重が大きいニットの社員にとっては他の社員全員と顔を合わせる貴重な機会だ。

この合宿のポイントは、普段はオンラインだけでしかコミュニケーションをとらないことが多い社員同士が1泊2日でオフラインでのコミュニケーションで関係性を深めることにある。準備を進める社員たちはビデオ会議で話し合い、合宿当日にはオフラインで直接会って様々な議論を交わすことで、組織のビジョン・ミッションやバリューを改めて共有する。また仕事とは関係がない話をこの合宿でし合うことでお互いのより深く知ることができ、その後のコミュニケーションも円滑に進めやすくなる。

企画を任される社員も合宿の準備を始める段階から合宿実施までのプロセスでオンライン・オフライン共にあらゆるコミュニケーションを取りながら成長する。今後社員数が増えてカルチャーの醸成が課題となる時も、この合宿は大切な取り組みになると秋沢さんは考えている。

2019年に行った合宿の様子。

オフィス / テレワークの実現は代表自らの考えがあったから

企業がオフィスとテレワークの併用を始めるきっかけはコロナ対策や働き方改革の一環など様々だが、ニットの場合は代表である秋沢さんの思いがベースとなっている。

新卒から勤めてきたベンチャー企業を32歳で退職した秋沢さんは自身の今後の人生プランを考えるために1年間の”夏休み”を取って海外を回り、フリーランスとしてテレワークをしながら生活した。その経験が日本でサラリーマンとして働いていた時期を振り返るきっかけになったという。当時は仕事中心の生活で、有給を取るのも大変、海の近くに住みたいという理想も通勤を考えると難しく、「働くことに縛られた人生だった」と秋沢さんは語る。その縛りから解放され自分がしたい働き方を自由に選択できるようにしたいという気持ちが会社立ち上げの原動力となった。

実際にHELP YOUや自社での人材募集を進める中で、これまで積み上げたキャリアを維持したい一方、配偶者の転勤や子育てなどの事情で自分に合ったキャリアステップや働き方が見つからないという悩みを抱える人が多くいることがわかった。改めて働き方は人生の中で重要なファクターだと再認識した秋沢さんは、人が抱える「自分はこういう人生を選択したい」という気持ちをサポートすることでより多くの人の働き方の支援を行いたいという。そのように各々が働き方の選択肢をもてる社会を創っていきたいと力強く語る。

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この記事を書いた人

Kazumasa Ikomaオフィス業界における最新情報をリサーチ。アメリカ・サンフランシスコでオフィスマネージャーを務めた経験をもとに、西海岸のオフィスデザインや企業文化、働き方について調査を行い、人が中心となるオフィスのあり方を発信していく。

    
    
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