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入社後すぐの自宅待機 新人研修の実態と新入社員の本音を取材

[May 12, 2020] BY Hiroto Matsuno

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コロナ禍で外出自粛に多くの企業が取り組むことになった今年の春、新入社員が入社後すぐに自宅待機を命じられるケースが多く見られた。会社や同期の状況が把握できず、先行きの読めない現状に不安やストレスを抱える様子は想像に難くない。

今回筆者は新卒採用人数の規模が異なる企業の新入社員7名に「入社後すぐの自宅待機で実感していること」と「各企業で行われた研修・ケア」について取材した。話を聞いた全員の研修は各社でオンラインで行われているものの、7名中6名が不安が残ると回答し、自宅待機による彼らへの影響はやはり大きいことがわかる。一方、企業の人事や教育担当者もこれまで経験したことない事態の中で対策を迫られ暗中模索したと推察する。そこで、この記事では取材した内容からコロナ禍で行われた新人研修の実態と新卒社員の本音を拾い、今後につながる改善策のヒントを探る。

話を聞いた人:

Aさん:女性・商社(新卒入社50名)
Bさん:男性・IT(新卒入社200名)
Cさん:男性・IT(新卒入社70名)
Dさん:女性・建設(新卒入社20名)
Eさん:女性(新卒入社250名)
Fさん:男性・製造(新卒入社400名)
Gさん:男性・建設(新卒入社5名)

前代未聞の環境下でもオンライン研修に前向きに取り組む新入社員

今回取材を行った7名全員が「研修はどのように行われるのか?」と戸惑いを感じる中で、7名が勤める企業各社は共通してオンライン上で対応していた。「先輩たちと同じ研修を受けられないことで、これまでの新入社員に比べて遅れが生まれないか不安」という不安の声も挙がったが、「オンライン研修中に少しでも力を付けたい」といった前向きに研修に取り組む姿勢は全員に共通して見られた。

一言にオンライン研修といっても様々な種類がある。彼らの不安を拭うために企業はどのようなオンライン研修を用意したのだろうか?

・講義形式は7名の企業全社で実施、社会人としての基礎やビジネスマナーを学ぶ

社会人としての基礎やビジネスマナーは、リアルタイムのオンライン講義を通じて教えるところが多いようだ。

例えばEさんの会社では人事や教育担当者が新入社員全員をWEB会議で集め、一斉に講義形式で研修を進めているという。講義内容はビジネスマナーや社会人基礎力、会社の事業内容の説明など幅広くカバー。画面越しに身だしなみも確認されるため緊張感のある講義が行われているようだ。質問があればマイクのミュートを切って発言することができるので講義に置いていかれる心配もない。各自が好きな時間に確認できる社内共通の基礎講座の資料もあるが、リアルタイムで教われるオンライン講義の方が知識が定着しやすいと語ってくれた。

また、Fさんの会社では新入社員のために制作された研修動画を講義形式で決められた時間に見ることが義務付けられている。すべての動画はカリキュラムのように組まれ遅刻などは厳しくチェックされるため、社会人として当たり前である時間厳守の姿勢を自宅にいても身に付けなくてはいけないという気持ちになる、とFさんは語る。講義中に感じた疑問は新入社員5名+先輩社員1名で行われるWEB会議で解消できているという。

・PC支給が間に合わない企業では個人のスマホアプリで見れるように対応するところも

一方、Cさんの会社ではビジネスマナーや社会人基礎力の研修をスマホアプリでカバーしている。1講義3分ほどで構成されており、また自分のペースで進められることから何度も見直すことでき、プレッシャーを感じることなく知識を身に付けられるという。会社で本来支給されるはずだったPCやiPadなどの機器の配布が済んでおらず、その対応策としてスマホでできる研修アプリは助かるとCさんは語る。

また、スマホアプリではないが毎年新入社員用に作っている資料にアクセスできるよう公開している会社は複数存在した。Dさんなどは時間をかけて資料を読み込むことができ、会社情報や事業内容を理解できたと語る。スマホアプリなど柔軟な対応が可能な企業は限られるかもしれないが、資料へのアクセス公開は最もシンプルで対応しやすい工夫だ。

・同期とのつながりはWEB会議を利用した朝礼やグループワークで育む

在宅で受講する研修は社員がそれぞれ孤立して行うため、同期入社した社員を意識する機会が少なくなる。今後苦楽を共にする大切な仲間とつながる機会は、WEB会議を利用した朝礼やグループワークで毎日顔を合わせることで補うところが多いようだ。

Gさんの会社では毎朝9時から新入社員5名+人事1名で朝礼を行う。内容はシンプルで、人事がその日の連絡事項を伝えた後に新入社員が1人ずつその日の予定を発表する。この朝礼のポイントは何を話すかよりも毎朝顔を合わせること自体にあり、社員として疎外感を感じることはないとGさんは語る。

しかし人数が多くなると話は変わる。Eさんの会社でも朝礼を行っているが新卒入社が250人もいるというその人数の多さから全員の顔と名前が一致しないと苦労を語ってくれた。同期間で横とのつながりを作ることを目的とすると、社員数が多い場合は毎日参加者をランダムで複数の小さなグループに振り分け、小分けにして朝礼を行うといった工夫が必要になるかもしれない。

ちなみに、毎日15分ほどのグループワークをWEB会議で行うFさんの会社では、そこで話し合った内容をその日の終わりに先輩社員に発表しているが、短い時間でのWEB会議ではなかなか突っ込んだ議論ができず苦戦しているという。それでも、今後テレワークの普及でオンラインでのやりとりが一般的になった時に必要な経験になるからこそ慣れておきたいと将来の働き方像も見据えながら語ってくれた。コロナ禍で育つ新卒世代はオンラインでつながりを育むスキルを身に付けるかもしれない。

・先輩社員との1対1の個別研修・面談を行う企業は一握り?

企業にとって例年通りの研修実施が難しくオンラインでのカバーが必死な状況である中、新卒社員側から高い評価を受けたのが個別面談の存在だ。新入社員が同期や先輩の姿から学ぶ機会がかなり制限される中で、先輩社員による個別指導まで実施できていた企業は今回の取材内でほんの一握りだった印象が窺える。

今回の取材を通して唯一先輩社員がメンターに付いてマンツーマンで研修を進めていたのが、新卒入社が200名もいるBさんの会社だ。同社ではケーススタディの課題が出され回答を提出するという研修方法を採用しており、濃密なフィードバックがもらえるとBさんは満足している。むしろ課題の量が多いと言っており、自宅待機を強いられている現状では嬉しい悲鳴だ。

また、採用人数が少ないGさんの会社でも個別に課題が出され、それぞれにフィードバックをもらえているという。渡された課題図書を参考にしながら人事と実際のシーンを想定したメールのやり取りや電話対応を実践する。実際の業務に役立つ研修を希望していたGさんは、この状況下でも個別で実践的な研修が行えているとして満足している。また、週に1回人事と1対1で1時間ほどオンライン通話する機会が別であり、孤独な自宅待機期間中の励みになると語ってくれた。非常事態での在宅勤務となった今、個別でのケアは新卒社員の大きな支えとなっている。

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この記事を書いた人

Hiroto Matsunoオフィス業界に飛び込んだばかりの20卒の新入社員です。オフィスデザインや働き方において素直に感じたことについて調査を行い、楽しく働いている人たちのあり方を発信していきたいと思います。

    
    
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