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入社後すぐの自宅待機 新人研修の実態と新入社員の本音を取材

[May 12, 2020] BY Hiroto Matsuno

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「もっとこうして欲しい」新入社員の希望の声

新卒採用人数の規模が異なる企業の間でも社員から好評だった取り組みには共通点がみられた。一方で、研修に取り入れてほしい取り組みについての希望の声もいくつか聞かれた。筆者が取材を行った時点で新卒社員が入社してから3週間以上経過、自宅での研修にもある程度慣れて余裕が生まれるタイミングで挙がったニーズは、例年では聞かれない興味深いものが並ぶ。

・グループワークの時間を十分に設けて、同期と一緒に学ぶ一体感を強めたい

新入社員は毎日の朝礼やグループワークで同期間のつながりを築くと先述したが、中にはさらに同期と共有する時間を作って欲しいという声も挙がる。

「同期ともっと研修で学んだことやグループワークの感想を共有したい!」と切実な想いを語ってくれたのはFさん。Fさんが務める企業は今回取材した中で最も多い新卒入社400人という規模だが、毎日行われるグループワークは15分程度で、それ以外で同期と研修の感想を気楽に話せる場はないという。そのためオンライン研修全体を通して同期の存在は実感するものの、同期と一緒に学べているという一体感までは得られず、孤独を感じている様子だった。新入社員の人数が多いにもかかわらず、グループワークの時間が限られていては、同期との関係性構築も難しくなるのは理解できる。

逆に新入社員250人規模の会社で、オンライン上でグループで話す時間が1時間以上あるというEさんからはそのような発言はない。オフィスで一緒に研修を受けていたならば隙間時間に感想を共有できる時間もあるが、オンライン研修ではそうはいかない。Eさんの会社のように同期と会話できる時間を十分に設けることは大事な要素であるようだ。

新入社員が横のつながりを築けるか否かは、大企業になるほど勤める社員たちにとって今のコロナ禍における大きな課題となる。その溝を埋める取り組みが今後の改善策の1つになりそうだ。

・実践的な研修を増やしてほしい

先述のようにオンライン研修下でもビジネスマナーや社会人としての基礎が学べるのは、画面越しでも服装を注意してもらえる機会があったり、時間遵守の指摘がある環境が用意されていたりと、オンラインでも新卒社員が自ら実践できることが前提となっている。一方、それが難しい環境ではちゃんとしたマナーを身に付けることができず、新入社員は不安を覚える。

会社が新卒社員用に公開している資料を読み込むことで研修を進めているDさんも「オンライン研修は自分のペースでできるため必要な知識は十分身につく」と前置きしつつ、名刺交換やお辞儀など実際に対面で指導がないと身に付けるのが難しいマナーは実践的な研修を用意してほしいと語った。たしかにビジネスマナーや姿勢などは本を読んだだけでは身に付きにくい部分だ。一方で、Gさんの会社は電話対応も実際に練習できる環境が用意されており、大きな学びとなっているようだ。このような実践形式の研修をオンラインでどのように行うか工夫することで、新入社員の不安は1つ解消されるかもしれない。

・現場の先輩社員と面談する機会が欲しい

先述の通り、先輩社員との個人面談の存在は新卒社員の大きなニーズとなっている。

今回の取材を通して現場の先輩社員と直接やりとりできていたのは新卒社員数200人の企業に務めるBさんだけだった。1対複数の形式なら現場の先輩社員と話す機会があるというFさんだが、その形に満足しているわけではない。各事業部のことをさらに詳しく知りたいというGさんも、やはり現場の先輩社員と話したい気持ちは強かった。

しかし、これは一筋縄ではいかない問題でもある。対面の面談に比べて雰囲気やジェスチャーも含めたコミュニケーションに制限があるオンライン面談では初対面の新入社員と先輩社員の間で話したいことの意図をお互いに正確に伝えることが難しく、特に人間関係の構築ができていない間柄では満足いく効果は得られないだろうという人事の意見もある。実施するなら毎日行うことが好ましいが、なかなか予定を合わせるのも難しいところだ。

先輩社員の話を聞きたいと考えている新入社員が多くいるというのは紛れもない事実。オンライン研修のマンネリを防ぐという意味でも、サプライズ的に先輩社員を招いたWEB会議などをたまに開くと新入社員に驚きと安心を与えられるかもしれない。

・社内の対策や現状を教えてほしい

入社後すぐに自宅待機を命じられた新入社員にとって、オフィスに足を踏み入れた経験はほとんどなく、会社の状況も分からずに不安を覚えるケースは多くある。その中で、人事や先輩社員が社内の状況を細かく伝達すること自体が新入社員の不安を取り除くための取り組みの1つと十分なり得る。実際、Gさんの会社では人事が定期的に社内の感染状況や対策を共有しており、勤めている会社が感染を抑え込めている事実は新入社員に安心感を与えてくれたという。入社した会社の社内状況やコロナ対策に関する情報を伝える人事や先輩社員の真摯な姿勢は、それだけで新入社員の不安を取り除く。

新入社員が自宅待機中の時間を使って取り組んでいること

自宅待機に環境下で企業が例年通りの新卒研修を十分に提供できない中、その不足分を補う形で新入社員が自宅待機でできた時間を活用して自己研磨のために学習に取り組んでいることも今回の取材でみられた。実はここが新卒社員の間でお互いに気になるところ。取材してみると以下のような定番どころが挙がった。

・英語や資格の勉強をする

まず挙がったのが英語や資格の習得につながるための勉強だ。

自宅待機中に英語の勉強を進めたいとBさんは話す。受験勉強で英語力に自信があったが、大学4年間で忘れてしまったことを思い出すため、社内の英語学習アプリを使わせてほしいと会社にかけ合っているとのことだった。自己投資にお金は惜しまないというが、新生活が始まってお金があまりないという新入社員にとって支出は抑えたいというのが本音だろう。他にも業務に関する書籍を読み進めたいということもあり、会社側が今回の事情を考慮してどこまで対応できるかが新入社員の自発的な学びを左右する要因の1つということが明らかになった。

また、Dさんは業務に役立つ資格を自ら考えて勉強を始めたという。基礎的な部分だけでもこの自宅待機中に身に着けたいという考えだ。同じくCさんも先輩社員たちが業務で使っている言語を習得することが業務理解につながるとの考えから新しくプログラミング言語を覚えているという。

学ぶべき分野が見えている新入社員は自発的に動きやすいが、苦労するのはそれが見えてこない社員だ。Fさんも今回の自宅待機で浮いた時間を何かしらの学びに利用したいと考える一方、業務に役立つ資格などがわからず困惑している様子だった。こういった事態があると先輩社員と話せる機会があることは時間を有効活用するための情報収集を行う上でやはり大事だ。

・PCスキルの上達を目指す

PCスキルは仕事を手早く進める上で基本的かつ重要なスキルの1つ。大学時代にPCに触れる機会があまりなかったというEさんはPCのタイピング速度の向上やエクセルの使い方を身に着けたいと正直に語ってくれた。

・生活習慣を整える

生活習慣を整えたいと語ったのはGさん。夜22時に寝て朝5時に起きる生活を守り、早寝早起きを心がけている。早く起きた時間は英語の勉強などに充てているようだ。自宅待機が解除され、オフィスに出社できるようになったときに生活リズムを変えなくて済むための努力だという。新入社員のみならず一般のワーカーの間でも在宅勤務で生活リズムがこれまでと変化したという話は多く聞くが、生活習慣を整えるのはテレワーク時代でも自身のパフォーマンスをしっかりと発揮するための準備として大事な心構えだろう。

また、Fさんも生活リズムを整えることを心がけているという。睡眠はもちろん、運動も取り入れ、会社で導入されている健康アプリを活用しながらその扱いに今から慣れておきたいという狙いもあるようだ。従業員の健康を重視し健康アプリを導入する企業が増えているが、このような自己管理の姿勢は会社が理想とする今後の従業員のあるべき姿の1つだと言えるだろう。その姿勢を今のうちから取り入れることは新入社員からできることの1つだ。

まとめ

今回、入社してすぐに自宅待機を命じられた新入社員7名に取材を行った。取材の結果、全員がオンライン上の研修に前向きな気持ちで取り組んでいた。また、前例のないこの事態に対して、オンラインで業務を行っていく際の予行演習にしたいなど、強かにこの事態を乗り越えていくという新入社員の力強さを感じた。

前例のない新入社員の自宅待機となったが、この事態下でも新入社員の成長につながる機会が少しでも増えることを望むばかりだ。

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この記事を書いた人

Hiroto Matsunoオフィス業界に飛び込んだばかりの20卒の新入社員です。オフィスデザインや働き方において素直に感じたことについて調査を行い、楽しく働いている人たちのあり方を発信していきたいと思います。

    
    
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