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障害者がテレワークで必要とするサポートとは?すぐに実践できる6つのポイントを紹介

[July 07, 2020] BY Stefanie Saki Kinjo

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4. オンライン会議は15分前から準備時間を設ける

オンライン会議は障がいのある社員の多くにとって、テレワーク環境下で最も対策が必要な課題の1つ。その問題点として挙げられているのは、視覚や聴覚に障がいがある社員が利用する読み上げ機能(音声文字変換)のソフトや点字ディスプレイが、オンライン会議のツールによって正しく起動・反応しないことだ。

他にも画質の悪さや映像と口の動きのズレで読唇が行えなかったり、音質の悪さや音の途切れで内容が理解できなかったりと、会議への参加が難しくなってしまう課題が数多く存在する。このような状況をできるだけ回避するために事前に準備時間を設けることを推奨する。

会議参加者たちのネットワーク環境に問題はないか、音声に問題はないか、また特別な機械やソフトを使用する場合は正しく反応しているかを確認する。可能であれば読み上げソフトや点字ディスプレイに対応しているオンライン会議ツールを固定化してしまうことで接続トラブルは減らせるだろう。また、オンライン会議ツールの中には誰が話しているかを分かりやすくするために話手の枠に色が付いたり、点滅する機能があったりするのでその機能もぜひオンライン会議ツールを決める際に参考にしてほしい。

さらにこの15分間を利用して、会議の概要、参加人数、可能であれば参加者の名前や使用するスライドなどを併せて確認しておくと、スムーズにオンライン会議に入りやすくなる。

5. オンライン会議のルールの制定

障がいのある社員と他の社員がともにスムーズに会議を進めるためには、会議開始15分前の準備以外にも社内共通ルールを制定することをお勧めする。

(例)
・事前に会議の概要をメールでシェア、資料などもあればそれもシェア
・1度に複数の人数が話さない
・司会進行役をつける
・議事録をつけて、会議後に内容を共有
・質問は発言制だけでなくチャットに書き込む形も取り入れる

上記のルール例は筆者が作成したものだが、意識したポイントは下記の3つ。障がいのある社員がオンライン会議でよく直面する問題点から特に重要なものを厳選している。

①発言者を絞る

聴覚障がいなどを持つ社員が読み上げ機能(音声文字変換機能)を使用している場合、会議で複数人が同時に話すと画面に表示される文章が混ざってしまう。また知的障がいのある社員は複数人で会話が行われると誰の話に耳を傾ければいいか分からなくなり、話の内容が理解しにくくなる。発言者を絞るために、1度に複数人話さないことを義務付け、司会進行役を付けることでオンライン会議の会話が複雑化しないようにする。

②障がいのある社員が発言できる機会を作る

障がいのある社員の中にはオンライン会議の内容についていくことに集中し発言する余裕がない、また発言したいが十分な声量が出せず発言しても埋もれてしまうなどの悩みを抱えている社員も少なくない。

Microsoft Teamsの最新機能として追加された挙手ボタン

そのような状況下でも発言の機会を作るために質問は直接ではなくチャットに入力する形式やオンラインツールによっては挙手ボタンがあるものを使用することで工夫が可能だ。

③議事録を取る

毎回の会議で議事録担当者などを事前に決めておき、会議後に参加者全員に内容を共有する。そうすることで会議の内容が上手く聞こえなかったときや途中理解できない箇所があったとしてもあとで議事録で確認することが出来る。またリアルタイム議事録としてチャットに議論の内容を打ち込み、「会議を見える化」することで、その場での内容理解度を高めることもできる。

6. スライド作成・説明のポイントを押さえておく

実はスライドの作り方と説明にも障がいの種類によっては改善・工夫できる点がいくつかある。

スライド作成

例えば、発達障がいのある従業員を考慮したスライド作成で意識すべき点は、文字数を減らすこと。文字が多いスライドや資料だと情報量が多すぎて内容を理解するまでに時間を費やし混乱してしまうケースが多い。端的に箇条書きや2・3行で文章をまとめることを意識するとよい。文字数を減らすために画像や図を積極的に取り入れる方法もある。またグラフも効果的ではあるが情報量やグラフが複雑化すると意図が伝わりにくくなるので、伝えたい情報が一目で分かるように目盛線や単位などの細かい情報は極力省略する。

他の例として視覚障がいは等級によってスライド作成の工夫する点が変わってくるが、今回は読みにくさ・理解しづらさを回避するポイントを世界盲人連合(WBU)のアクセシブルなパワーポイントのガイドラインよりいくつか抜粋して紹介する。

【フォント】
・ひげ飾りのついたフォントを利用しない。(Helvetica、Arial、Verdanaを推奨)
・1枚のスライドに2種類以上のフォントを使用しない
・イタリック体は避ける
【色】
・テキストには明るい色を使用(白の背景に黒い文字が一番良い組み合わせ)
・赤と緑は重ならないようにする(赤の背景に緑の文字、緑の背景に赤文字は避ける)
・赤は極力使わない
【口頭説明】
・会議が始まる前に質問を受けるタイミングを先に伝える
・スライドで紹介されているテキストは省略せず読み上げる
・スライドのどの部分を話しているのかを説明

余談だが、マイクロソフトもOfficeサポートとして視覚障がい・読書障がい・色覚障がいがある人をメインとしたパワーポイントの作成方法を紹介している(障碍のある方のためにアクセシビリティの高い PowerPoint プレゼンテーション)。ここではスライド作成時に修正すべきポイントとアクセスビリティを向上させる効果的なパワーポイント機能を学ぶことができる。

スライド説明

障がいのある従業員がオンライン会議に参加する場合、言葉の表現方法や言い換えが必要となる。例えば、視覚障がいのある従業員が参加するオンライン会議ではスライドを説明する際に抽象的な言葉や「あれ」「これ」「それ」などの指示語を避けることが必要不可欠だ。先述のWBUは、スライドを利用した話し方のコツとして、話し手は自らをラジオパーソナリティと意識して話してみると分かりやすいと紹介している。例えば、「この図でも表しているように」ではなく、「スライド5枚目の前年度と今年度売上高の比較の図で表しているように」とより具体的に何枚目にどのような内容の図を利用しているかと説明できることが理想だ。

最後に

障がいのある従業員とのリモートワークを円滑に進めるために6つのポイントを紹介したがすべてを必ず行う必要があるわけでない。ただどれか1つ取り入れてみる、社員同士で意識してみることで彼らにとってはリモートワーク環境下でより仕事がしやすくなる。もしくはこの記事をきっかけに障がいのある従業員とどういう環境が必要なのか、どのような工夫が必要なのか話してもらえたら嬉しい。

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この記事を書いた人

Stefanie Saki KinjoWalt Disney Worldでインターンシップののち大手外資系ホテルに入社。自らの経験から日本とアメリカの働き方の違いに強く関心を持ち、主に海外ニュースを中心に最新のオフィス環境やワークスタイルを発信する。

    
    
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