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西海岸で働く日本人アクセラレータのワークマインド。そして活躍するアントレプレナーに感じる共通点とは【小豆澤祐インタビュー#2】

[October 31, 2017] BY Shinji Ineda

大学在学時に海外のアクセラレータやスタートアップに魅せられ、日本を飛び出した小豆澤氏。その後ビジネススクールに通いながら、ドバイという地でアクセラレータとして大きな経験を得ることができた。米国へ戻った後にさらなるスキルアップを望んで活動をするが、厳しい現実に直面する。

関連記事:「日本でアントレプレナーシップの文化を根付かせたい」小豆澤祐はどうやってアクセラレータになったのか【小豆澤祐インタビュー#1】

もう少しでホームレス。意を決して経歴書を片手にアルケミストへ

米国では日本と異なり通年採用がベースとなっている。都度ポジションが空くごとに募集は行われるが、実務経験が重要視されている。それは学生であっても同様で、学生時には実務を積むための長期インターンシップが欠かせないとされている。ドバイで2ヶ月の実務経験をしていたものの、職探しに難しさを感じていた小豆澤氏。また当時貯えが十分にあったわけでなかったため、翌月の家賃を払うか、航空券を購入して帰国するか、という切羽詰まった状態にまでなったという。家賃を払って滞在を継続しても、その後結果が伴わなければ残るはホームレスだ。

Photo by Miguel Á. Padriñán from Pexels https://www.pexels.com/photo/cash-currency-dollar-finance-585292/

「アクセラレータのランキングで毎年上位に入っている企業があって、すごく気になっていました。」現在籍を置くアルケミストとの出会いをこのように話す。事前にWEBサイトで情報を得ていた小豆澤氏は、経歴書を持ってアルケミストへ足を運んだ。

アルケミストはコワーキングスペースのロケットスペースと提携しており、プログラム参加企業は自由に利用できる。

アルケミストがオフィスを構えるRocketSpaceに入り、COO(Chief Operations Officer)を見つけた小豆澤氏は、その場で入社の交渉をしたという。「空いているポジションが無いという理由で一旦は断られました。しかしアルケミストにとって新たなポジションの必要性を私は感じていました。」アクセラレータは日常的にDemo Dayや交流会などのイベントを開催しているが、当時のアルケミストのイベントについて更なる改善が見込めると考えていたという。小豆澤氏はその運営を担当するポジションと自身の必要性を伝えた。その結果、イベントコーディネーターとして雇用された小豆澤氏は、その後アクセラレータにとって非常に重要なプログラムのマネジメントを担当するようになり、現在もその業務に従事している。

アルケミストのプログラムに参加するスタートアップ

日頃、関わりを持っているスタートアップやアントレプレナー(起業家)について聞いてみた。「プログラムに参加している企業の方々皆さん、雰囲気は結構ゆったりしていますよ。」と意外な答えが返ってきた。スタートアップと聞くと、寝る間も惜しんで自分の全てをビジネスに注ぎ込み、成功に向けて一心不乱に挑戦を続けているというイメージではないだろうか。そのギャップの理由は、プログラム参加への審査基準にあるという。アルケミストでは審査基準をチームメンバー重視にしている。より具体的に言うと、スタートアップとして成功する能力があるか、柔軟なピボットを可能とする様々な能力がチームに備わっているか、という点を念入りに確認している。そのような審査基準を用いた結果、参加企業には一度イグジットしている起業家や、豊富な経験を持つ人が集まり、自然と比較的生活や気持ちに余裕がある人が多くなっているとのことだ。アクセラレータの審査基準が、プログラムに参加する企業の属性やタイプに大きな影響与えていることがよく分かる。

またアクセラレータの違いについていうと、一昔前はビジネス全般を網羅したアクセラレータが多い印象だったが、最近は特定の分野や事業に特化したアクセラレータが増えてきている。アルケミストはB2Bのスタートアップに特化した活動をしている。UBERやAirbnb、メルカリなどは消費者間取引(C2C)なので、よく皆さんも耳にすることだろう。しかしB2Bは自身がその当事者企業に属していないと、あまり存在を知ることはない。「B2Bって地味なイメージですが、その分専門的な知識やノウハウが必要で、勉強になることが多くあります。」と小豆澤氏。

B2CやC2Cと比べて、同じアクセラレータプログラムに参加したクラスメイトが2〜3年以内に、自身のクライアントになるケースが多いのもB2Bの面白い特徴だといえる。これは日本のB2Bビジネスにおける起業家コミュニティでも同様だろう。

「喜んで欲しいから」

個人の働き方についても触れた。小豆澤氏は休日でもプログラム参加企業へのレスは極力早めに応対することを心懸けているという。その真意はこうだ。「普通に考えれば休日に仕事する必要はないのですが、関わっている仲間としてアントレプレナーに純粋に喜んでほしいし、成功して欲しいと思っています。」また休日を承知で連絡をしてくるのだから、よっぽどの問題なのであろうと考えているという。”喜んで欲しいから”という理由がとてもシンプルであり、様々なサービスの根底にあるからこそ、その思いがダイレクトに感じられる。また「最近は、より正確で洗練されたアウトプットの機会が多くなり、積極的にアクティブレストを確保していく必要があると感じています。」と現状を語った。

Alchemist Acceleratorのワークスペースと小豆澤氏

自分のアイデンティティを大切に

常にどのようなことを大切にしているか尋ねると「能力を日々磨いて、個人として何ができるかということを意識しています。」と小豆澤氏は答えた。米国は転職を当たり前としている文化のため、自身の価値を常に磨き続ける必要がある。また企業より個人にフォーカスしている見方は、日本と米国の名刺を比較すると違いが分かりやすい。日本の名刺はだいたいが「会社名・役職・氏名」の順で表記されているのに対し、米国の名刺では、「氏名・役職・会社名」の順になっている。このことからも、会社と個人のどちらに価値を置いているか、それぞれの文化の違いを感じ取ることができる。日本でも企業に属せずプロジェクトベースで働く働き方が増えているが、社会に出たときの自身の価値を常に考えていくことは、どのような働き方にも関わらず重要である。

成長するスタートアップや人々の共通点

日本にも優秀なアクセラレータは存在するが、大手企業が運営するアクセラレータの中には顧客基盤を活用した支援を行うスケーラレーターとしての役割を担っているところが多いように感じる。少子高齢化による国内のマーケット縮小を目の前にし、海外展開を前提としたビジネス構築を、小豆澤氏のような人々が今後日本でも活性化していくことだろう。

小豆澤氏は様々なスタートアップや人々との接点を通して、成長し飛躍する企業や人々に次のような共通点を感じているという。「活躍できる人は皆、”将来何をしたいか”や”どうなりたいか”など、明確なビジョンを持っています。」これはアントレプレナーでも駐在員でも決して変わらないとのことだ。

最後に、小豆澤氏が年齢問わず出会う人に向けてよく投げかけるという質問を、この記事の締めくくりにしようと思う。

将来、あなたは何がしたいですか?

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この記事を書いた人

Shinji Inedaフロンティアコンサルティングにて設計デザイン部門の執行役員を務める。一方、アメリカ支社より西海岸を中心としたオフィス環境やワークスタイルなどの情報を、地域に合わせてローカライズ・ポピュラーライズして発信していく。

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