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ワクワクしない働き方改革になってませんか?攻撃は最大の防御!オフェンシブな働き方改革のススメ

[February 27, 2018] BY Shinji Ineda

サンフランシスコやシリコンバレーなど、西海岸のワークスタイルやオフィス環境に関する情報を中心にお届けしている本ブログであるが、今回はここ数日で裁量労働制についてのニュースが飛び交っていることもあり、最近働き方改革の最前線にいて感じることを、少しお伝えしたいと思う。

広がる働き方改革

2016年9月に「働き方改革実現推進室」の設置とともに安倍晋三内閣総理大臣により働き方改革の取り組みが提唱されて以降、様々な企業が自社の「働き方改革」に向けて取り組みを行っている。

関連記事:「働き方改革」の先にあるオフィスとは

デロイトトーマツコンサルティング合同会社ヒューマンキャピタルディビジョンが実施した、「働き方の実態調査2017 ~Future of Workを見据えて~」によると、働き方改革を実施済み/実施中と回答した企業は73%と、2013年の30%、2015年の34%と比較して倍増しており、働き方改革への関心が高まっていることが分かるとした。

ここ数日で話題となった裁量労働制

また、いま話題になっているのが裁量労働制だ。裁量労働制とは、実際に働く時間とは関係なく労働者と使用者であらかじめ協定によって定めた時間を、働いたとみなして労働賃金が払われる労働形態のことである。つまりは労働時間の管理は労働者にて行うことになり、労働者の裁量に委ねられることになるため裁量労働制という。現在は、適用業務の範囲として厚生労働省が定めた業務に限定されており、研究開発職やデザイナー、プロデューサー、建築士、会計士などが当てはまる。その裁量労働制をもっと広い職種に拡大しようというのが、現在国会で議論されている内容となる。そのような中で厚生労働省のデータに不備があったことで、今後の行く末が気になる方もきっと多いことだろう。

では気になる各企業の実施施策は?

さて先述の調査では、各社の取り組みについても調査を実施している。実施施策として最も各社が取り組んでいたのが「長時間労働の是正(残業時間制限、有給取得奨励等)」で86%、その次が「業務の見直し(標準化、プロセスの簡素化、業務廃止・統合等)」で62%となっている。 

デロイトトーマツコンサルティング合同会社ヒューマンキャピタルディビジョン「働き方の実態調査2017 ~Future of Workを見据えて~」より

ここで捉えておきたいのが、働き方改革に向けた各施策の方向性だ。長時間労働の是正や業務の見直し以外にも、在宅勤務・オフィス外勤務の促進、既存システムの見直しなどが上位を占めており、労働環境改善つまり足回りを整備するようなディフェンス強化の施策がとても多いように感じる。

施策と目的に感じる違和感

労働環境改善はもちろん企業にとって重要なことであるが、一方で各社が掲げる働き方改革の目的と照らし合わせると少し違和感も感じる。働き方改革の目的も見てみると、1位が生産性の向上、3位が従業員満足度の向上、4位が多様な人材の維持・獲得となっている。多くの企業が生産性やES(Employee satisfaction=従業員満足度)の向上という目的を掲げているが、現在各社で実施されているようなディフェンス強化の施策が、それらにどこまで直接的な効果を見込めるかは疑問だろう。

労働環境改善だけが働き方改革の全てではない

会社によって細かい定義もあると思うが、大枠として「生産性=成果/時間」とすると、現在よく行われている施策には、分母の「時間」を短縮することで生産性を向上させるというものが多いと感じる。しかし生産性の上げ方は分母のスリム化だけではない。分子を増やしていくことでも実現できる。新事業や既存にないサービスを創出することで優位性を作り、高利益な収益構造を実現していくこともまた、働き方改革のオフェンシブな施策として重要なはずだ。当たり前のようにも聞こえる話かもしれないが、働き方改革においてこのようなオフェンシブな施策とディフェンスブな施策を合わせて意識している企業は意外と少ない。

イノベーションへの取り組みも働き方改革のひとつ

皆さんもご存知の通り、シリコンバレーやサンフランシスコには事業の優位性や新しいビジネスを展開する企業がとても多い。もちろんサービスが軌道にのるまでに多くの苦労が伴うのは日本と同様であるが、軌道に乗った瞬間から働き方に余裕が持てるのは、ビジネスモデルに競合がおらず(若しくは少なく)、優位性のもとに高利益を獲得できるからだ。近年西海岸のオフィスや働き方に注目が集まっているが、単純に真似たからといって働き方が変わるわけではない。日々新しいビジネスを生み出していくカルチャーやマインドがあってこそだと言える。イノベーション創出への取り組みは、まさに働き方改革のオフェンシブな施策の一つだろう。

どうせやるなら楽しさワクワクがあってもよいのでは

日本国内で行われている働き方改革系とイノベーション創出系のイベント、目的は同じ生産性の向上でも、雰囲気に大きな差を感じる時がある。前者は抱えている大きな問題への憂慮、後者はこれから向かう新世界への期待だ。長年で構築してきた業務フローを見直し、不要なものを探し削っていくことには限界がある。また競合他社との競争の中にいては葛藤も大きく、自分たちの首を絞めていくことにもなりかねない。

どうせ取り組むのであれば、既存事業の外を見て新しいものに挑んでいく楽しさや、これまでにないものを生み出すワクワク感があっても良いのではないだろうか。

 

(参考文献)

・デロイトトーマツコンサルティング合同会社ヒューマンキャピタルディビジョン「働き方の実態調査2017 ~Future of Workを見据えて~」(https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/about-deloitte/articles/news-releases/nr20170905.html

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この記事を書いた人

Shinji Ineda フロンティアコンサルティングにて設計デザイン部門の執行役員を務める。一方、アメリカ支社より西海岸を中心としたオフィス環境やワークスタイルなどの情報を、地域に合わせてローカライズ・ポピュラーライズして発信していく。



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