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ケロッグが取り組む「働く人の朝食改革」

[April 09, 2019] BY Kazumasa Ikoma

読者の皆さんは仕事前に朝食をしっかりと摂られているだろうか。朝食の有無はその日一日の作業効率を大きく左右するとされ、摂れば労働生産性の向上や健康増進、抜くと集中力や記憶力、やる気の低下、さらに肥満になりやすい等の健康リスクがあると指摘される。近年私たちの生活は朝食を抜きがちだと言われており、生活習慣関連の話題になることが多い。

そんな中、シリアルで有名なケロッグがこの朝食の欠食問題を解決するために、オフィス向けシリアル販売サービス「オフィス ケロッグ」を今年2月から開始。企業オフィス内のラウンジやキッチンスペースといった場所にシリアル用のディスペンサーを設置し、社員食堂がない企業でも気軽にシリアルを食べられるようにする。また外部パートナーとの連携で、シリアルの配送以外にも牛乳やカップ・スプーンといった付属品の提供や定期メンテナンスまでカバーする。

オフィスに設置されるディスペンサー(左)。全17種類ある豊富な商品ラインナップ*(右)から月毎にシリアルを変更することも可能で、社員は飽きなく朝食を楽しむことができる。*取材時点のラインナップ数

働き方改革の影響で時短や作業効率の向上が叫ばれる中、これまでも働く男女に向けたシリアル製品を展開してきたケロッグが、私たちのワーク・ライフにさらに一段と密着した製品・サービス提供を推し進める。日本での発売開始から今年で56年、幅広い層からの認知度を誇るケロッグがシリアルを通じて日本の働き方改革をサポートするその背景について、日本ケロッグ合同会社の営業部・セールスストラテジーグループ 業務用トレードマーケティングマネージャーの小栗貴大さんに話を聞いた。

なぜ人は朝食を食べないか?

日本で働く人の朝食問題は私たちが思っているよりも深刻だ。

厚生労働省が公表した平成29年国民健康・栄養調査結果によると、日本の朝食の欠食率は20代〜40代の男性で20%以上、女性でも15%以上で、20代の男性に限っては30%以上に達する。欠食の理由は人によって様々だが、ケロッグの調査によると、起きる時間が遅い、またはギリギリまで寝ていたいと回答する人が最も多かった。さらに忙しい毎日で朝にゆとりを持てないという回答者も多い。連日遅くまで仕事が続いて夕食を摂る時間が遅くなり、その結果朝も時間がない上に空腹感もなく、それが習慣化してしまうのが現代の朝食問題の一番の原因のようだ。

ケロッグが調査した、働く人の欠食理由

実際にこの傾向は、朝食にかける時間について調べた調査でも明らかとなっている。インターネット調査会社の株式会社アスマークが2016年2月に行った調査によると、朝食にかける時間が「10分以内」と回答した人は、男女ともに20代から50代までのすべての年代で50%を上回り、特に男性に至っては年代が上がるほど朝食にかける時間が減る傾向にあった。

また市場調査メディア・ホノテの調査では朝食を摂る726人の大人のうち90%以上が自宅で朝食を食べると回答している一方で、ケロッグの調査では特に都内の女性は通勤時の満員電車の中でお腹が押され気分が悪くなることもあるということが判明。そもそも女性では起床後すぐは食欲が湧かないということも欠食の理由になることが多いようだが、どちらもオフィスで朝食を摂ることで解決できそうな問題だけに、オフィスでの朝食文化は欠食の解決策の1つになりそうだ。

働き方から見た朝食シリアルの効果

このような現状がある中で、オフィスにおけるシリアル朝食の強みは手軽さと栄養素の高さの2つだと小栗さんはいう。

手軽さ

先ほどのデータにもあるように、日本人の多くは朝食に多くの時間をかけていない。その中でも朝食を摂れる環境を用意するために、シリアルの手軽さはうってつけのようだ。「(シリアルは)夜遅くまで働いて朝食を軽めにするという生活を送る人に合った食べ物」と小栗さんは語る。例え寝る時間を優先し、ギリギリの時間に出社してもオフィスで手軽に食べられる朝食が備えられていれば、作業効率の低下につながる朝食欠食は避けられる。

また通勤時間が長い人は例えば6時ぐらいで朝食を摂り、オフィス到着後に小腹が空くといったことも少なくない。自宅ではなくオフィスで朝食を摂りたいというニーズは、すでに朝食習慣のあるユーザーからも挙がる。

さらに小栗さん曰く、今の働き方トレンドの観点から、女性の欠食率の高さを解決することが最近重視されているとのこと。子育てや家族の朝ごはん準備の負担が女性側に回ることがまだ日本では多く、働く女性ほど効率的な時間の使い方において最も大変な思いをする。実際にケロッグの朝食シリアルサービス導入の話も女性の働き方改革に進む企業ほど刺さるようだ。

栄養素の高さ

限られた時間の中で朝食を摂り、なおかつ健康面にも配慮した食事に気をつけたいときにこそ、シリアルはその価値を発揮できるようだ。実際に企業内にいる保健師などが勧めることもあって、導入がスムーズに進むケースも度々あるという。

さらに2019年1月に発売された「大豆プロテイン グラノラ」は、1食で20gのたんぱく質*を手軽に摂取することができるため、朝食時におけるたんぱく質摂取の啓発・応援プロジェクトに利用されている。たんぱく質は、筋肉、血液、髪の毛など身体を構成するのに必要不可欠な栄養素だが、体に溜めておけないため毎食バランスよく摂取する必要があるとされる。ケロッグの調査によると、特に成人女性は朝にたんぱく質が不足がちになる傾向があるという。同製品はオフィスケロッグをすでに導入している企業からの人気が高く、ユーザーからの反応も上々のようだ。

*1食分(60g)+低脂肪乳200gの場合

福利厚生として企業がシリアル提供を行う価値

今日働き方改革や人材獲得戦略の1つとして福利厚生に力を入れる企業は増えているが、オフィスでのシリアルの提供は「社員の健康や働き方に配慮している」という企業姿勢を見せる上でまさに効果的な制度の1つだろう。

小栗さん曰く、始業前にあったら嬉しい社内の福利厚生制度には、ヨガなどのスポーツレッスンや語学レッスンを抑えて実は朝食サービスが最もニーズが高い。その中でもヨガや語学レッスンは特定のユーザー層に限られるが、朝食は人を選ばずに利用されるため、他の制度に比べて社内での高い利用率が期待できる。実際にスポーツジム会員権の社員利用率は企業によって5%程度だが、オフィスケロッグの利用率は約20%以上だったという。公平性の高いプログラムという観点でもオフィスのシリアルは導入しやすいのである。

またシリアルは、朝のちょっとした雑談の場やチームミーティングでも気軽に食べられるために、「朝のコミュニケーションの活性化」が期待できる導入効果の1つであるという。そのほかにもシリアルが持つ下記の利点から企業も導入に動くことが多いそうだ。

  • 廃棄ロスの心配が少ない
  • 熱や電気、ガスを必要としない
  • 食堂がない会社にも導入しやすい
  • 災害時の非常食にもなる

特に廃棄ロス削減は、企業から理解を得やすい点だ。例えば朝食としておにぎりやサンドイッチを提供する企業では、先ほど挙げた公平性の観点から、社員が100人いたとすれば100個近くのおにぎりやサンドイッチを用意する企業もある。しかし全社員がその朝食を摂ることはないのでどうしても廃棄ロスが出てしまう。シリアルはご飯やパンよりも長期間の常温保存が可能で、加えて個人が食べる量を調節できるため、無駄なコストや捨てる手間がかからないところが企業理解を得やすい点になっている。

導入企業の傾向とユーザーの反応は?

現在シリアルを導入する企業の傾向として多いのが、外資系企業だという。外資系のオフィスでは本メディアでも紹介してきたようにフルーツやお菓子が常備されており、小腹が空いた時や気分転換にキッチンスペースにいって軽食を摂れる環境が用意されているところが多い。シリアルにも慣れ親しんでいる社員が多いこともあって受け入れられやすいとのこと。

その他にも、大手企業に比べ中規模企業になるほど、他企業との人材獲得戦略で差別化を図るために朝食提供を行おうとする意識が強く見られるという。実際に社員数数百人規模の勢いのある企業にあるカフェスペースでシリアルも設置、というパターンがいくつかあるそうだ。社食を提供できず、代わりにケータリングを頼むが社員の好みがバラバラで結局契約解除に終わる、という経験をした企業こそ、万人受けするシリアルの提供が奏功する例も多くあると小栗さんは語る。

一方でユーザー側もシリアルを積極的に活用する。単にシリアルとして牛乳をかけて食べるだけでなく、社食のランチやコンビニで買ってきたサラダにオプションとしてかける人も多いという。もう少し何か食べたい、または栄養素が欲しい、となった時にまた買い物に出ることなくシリアルを食べられるのも「オフィス ケロッグ」の良さの1つだ。

社内で実際に試験導入してみて

今回の取材を機に、Worker’s Resort編集部の社内でも2日間にわたり朝食シリアル提供を実践。4種類のシリアルに加え牛乳、カップを用意し始業前まで提供し、25名近くの社員に感想を聞いた。

多く得た感想の1つに朝食を摂れることの良さや大切さが改めてわかったとの声が挙がった。朝食の大切を理解しているし、その有無で頭の動き方に違いがあるのもわかっている。しかし、それでも朝食を摂れなかったため、今回の朝食プログラムは非常に役立ったという声だった。

またこのようにカウンターにシリアルを並べて皆で朝食を摂ることで、朝からみんなで食事ができて楽しいという純粋な意見もあった。多少落ち着きがちな朝のオフィスでも、シリアルは活発なコミュニケーションを生み出すきっかけになる。

ほかにも、自分で自由に食べる量を調節できる点も好印象だと感じる社員が複数人いた。ある社員は朝食を食べると通勤中にお腹が痛くなることがあるため朝食を避けていたが、オフィスにシリアルがあることで通勤後に自分が食べたい量を適量で食べることができたという。また朝から胃が重い、または胃もたれがあるという社員は意外に多く、少量からでも食べられるシリアルは非常に食べやすかったという声も挙がった。

今回の朝食シリアルの試験プログラムを実践してみて、オフィスシリアルに対する社員の反応だけでなく、彼らの朝食に対する意識や意見を聞けたことは非常に興味深く、大きな学びとなった。そして日本で働く人の「朝食離れ」が思ったよりも身近にあることを感じた。シリアルを提供することで得られる働き方の改善効果は思っている以上にあるのかもしれない。

最後に

今回、シリアルを通じて働く人の朝食の摂り方を考えさせられる機会となった。ワーク・ライフの境界線が曖昧になりつつある今日、自宅にいる時間よりもオフィスにいる時間が長いとされる中で、食事を摂れる環境がオフィスで充実しつつある。しかし、その中でも朝食の改善というのは働く人にとって特に大きな意味を持っているように感じる。その上で、簡単に設置が可能で、気軽に食べられるオフィスでのシリアルサービスは、100年以上前にシリアルの原型「グラノーズ」を発明したケロッグの創始者がアメリカ人の朝食を健康面から改革したように、現代の働く私たちの朝食文化をまた大きく変える可能性を秘めている。

ケロッグは今回の朝食シリアルサービスの導入目標として、2020年までに1000事業所という数字を掲げている。今後朝食シリアルがどのように働く人の生活や働き方そのものを変えていくのか、見届けたい。

※ケロッグでは現在、朝食シリアルの試験導入に興味のある企業を募集しています。興味のある方は本メディア問い合わせページよりご連絡ください。

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この記事を書いた人

Kazumasa Ikomaフロンティアコンサルティングにてリサーチャーを務める。アメリカ・サンフランシスコでオフィスマネージャーを務めた経験をもとに、西海岸のオフィスデザインや企業文化、働き方について調査を行い、人が中心となるオフィスのあり方を発信していく。

    

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