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週休3日制は拡大する? コロナ禍で模索される新たな働き方

[February 16, 2021] BY Yumi Uedo

週休3日制をめぐる世界の動き

2020年12月、世界有数の食品・日用品メーカーであるユニリーバ(Unilever plc)が、ニュージーランドの全従業員に対し、週休3日・週4日勤務制を2021年12月まで試験導入することを発表した

ユニリーバ・ニュージーランドの発表によると、従業員は勤務日を自分で決めることができ、勤務時間は短縮するものの給与には影響しないとのこと。試験導入の評価によっては、世界中のユニリーバ従業員が、週休3日制の新しい働き方を手に入れる可能性もあるのだ。

ニュージーランドでは2018年にも、資産管理会社のパーペチュアル・ガーディアン(Perpetual Guardian)が週4日勤務の試験導入を行った結果、生産性や従業員のエンゲージメントの向上などが認められ、本格導入されたことが話題となった。2020年5月には同国のアーダーン首相が、コロナ禍での働き方に柔軟性をもたらし国内観光業の再生を図る施策として、週4日勤務の導入を企業に呼び掛けるなど、新しい働き方への変容が検討されている。

週休3日制という新たな働き方の模索は、近年、欧州諸国の大手企業を中心に検討が行われ、一部で導入されてきたが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて再び議論が盛り上がっている。そこで本記事では、日本企業での導入事例と、欧州における週休3日制の最新事情を紹介しながら、これからの週休3日制のあり方を考察する。

日本国内における週休3日制の先行事例

日本で週休3日制のニュースが世間をにぎわせたのは、2015年頃のこと。当時、導入企業として特に注目されたのは、衣料品販売店のユニクロを運営する「株式会社ファーストリテイリング」、宅配事業を手掛ける「佐川急便株式会社」、Yahoo!Japanを運営する「ヤフー株式会社」の3社だった。

2015年に導入を決めたファーストリテイリングでは、地域正社員に限定し、1日10時間✕週4日の勤務制度を導入している。佐川急便も2017年より、一部エリアのセールスドライバーを対象に週休3日制を導入した。いずれもフルタイム勤務と変わらず週40時間の勤務となり、給与は週5日勤務の場合と同額もしくは同程度とする変形労働時間方式だ。

一方、ヤフーでは、育児や介護などの事情を抱える従業員を対象に、2017年から週休3日制を導入している。これは、申請すれば通常の週休2日に加えて1日の休暇が取れるもの。前述の2社とは違い、この制度を利用した休暇は無給となり、ほかの日に労働時間を分散させることもないため、給与は出勤日数に応じて削られる時短労働となる。

また、2019年に日本マイクロソフト株式会社が、8月のすべての金曜日を特別有給休暇とする、週4日勤務・週休3日制のトライアルを行ったことも記憶に新しい。

これらの事例は、従業員のワークライフバランス向上を主な目的として導入されたが、限定的な取り組みが多く、拡大傾向にあるとまでは言えなかった。

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ワークライフバランス

コロナ禍が後押しした週休3日制の試験導入

ところが、コロナ禍の2020年、日本国内でも週休3日制の導入を検討する企業が増えはじめる。例えば、大手電機メーカーの株式会社東芝では、出社が必要とされる製造現場の社員に対して週休3日制の導入を検討し、7月より国内の工場で試験導入している。また、大手衣料品メーカーの株式会社ワコールも、緊急事態宣言下の4月から6月末にかけ、全従業員を対象に週休3日制を導入した

このほかにも、事業規模を問わずさまざまな国内企業が、感染拡大の抑止を目的に週休3日制を導入している。それには、2020年5月、一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)が「新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」を発表し、対策の一つとして週休3日制を取り上げたことも影響したと考えられる。

2020年5月の緊急事態宣言解除後は通常通りの稼働に戻した企業も多いが、一時的にでも導入された週休3日制は、働き方の多様性について自分事として考える機会になったのではないだろうか。また、週休3日制がもたらすさまざまな恩恵や課題においても、一歩進んだ議論が可能になったと推察する。

欧州の最新事情とポスト・コロナを見据えた展望

週休3日制は、コロナ禍以前は生産性やワークライフバランスの向上、ウェルビーイングに効果的と考えられ、特に欧米を中心に注目されてきた。だが、パンデミック以後は、感染症対策としての役割はもちろん、ワークシェアにより雇用を維持する意味合いでも導入の是非が議論されはじめている。

欧州に目を向けると、ドイツでは、国内最大の産業別労働組合である「金属産業労働組合(IGメタル)」が大規模解雇を避けるため、2021年の労使交渉で週休3日制を要求する可能性があるという。

近年、83万人が従事するドイツの自動車製造業では、電気自動車などの「e-モビリティ」の推進による生産現場の改革が進められてきた。その影響で人員削減が続く中、パンデミックが追い打ちをかけ、労働者の状況はさらに厳しくなっている。IGメタルは、大規模解雇から労働者を守るために、ワークシェアとしての週4日勤務を提唱しているのだ。

また、イギリスにおいても、労働時間の短縮を求める議員・活動家の間で積極的な動きが見られる。彼らは、パンデミックで深刻化する失業者問題を解決し、経済とウェルビーイングを推進するため、週あたりの労働時間数を減らしてワークシェアを進めるようリシ・スナック財務大臣に求めている

イギリスでは、コロナ禍の2020年、多くの企業が雇用を維持する目的で一時的な減給と引き換えの週4日労働を実施した。同国のシンクタンク「Autonomy」の研究結果も、週4日労働の導入により50万人の雇用が創出される可能性を示している。

一方、日本国内では、2021年の年初に自民党の猪口邦子一億総活躍推進本部長が「選択的週休3日制」の試案を提示し、議論が本格化している。これは、希望すれば週休3日制を選択できる制度の普及を目指すもので、パンデミックによる経済の落ち込みを防ぎ、多様な働き方のニーズを満たす狙いがあると見られる。

週休3日制による労働時間の短縮は、大気汚染や二酸化炭素排出量を減らし、地球温暖化の抑制につながるとAutonomyも強調している。コロナ禍でいっそう強く求められるようになった新しい働き方と、待ったなしの地球温暖化対策。この2軸によって、今後の数年で週休3日の働き方は大きく広がる可能性を秘めている。

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この記事を書いた人

Yumi Uedo編集者/ライター。従事していた出版社およびWebメディアでは、大手企業・自治体をクライアントに持ち、多数のPR記事の取材・執筆・編集を担当。現在はフリーランスとして企業のコラムページを複数担当するほか、サスティナブルなライフスタイルの発信にも力を入れている。

    
    
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