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これからテレワークを導入する企業・ワーカーに役立つ、最低限の6つのルール

[March 04, 2020] BY Kazumasa Ikoma

感染症のリスクを減らし影響を最小化するためにテレワークを導入する企業が増えているが、その対応力に差が見え始めている。GMOは新型肺炎の感染が国内で確認されたことを受け、1月26日には全社員に在宅勤務を通達。2011年に起きた東日本大震災の経験をもとにテレワークが可能な社内体制を整え、年に1回全従業員を対象に在宅勤務の訓練も実施してきたことから、迅速に在宅勤務へ移行することができた。また日本マイクロソフトといった企業も東日本大震災をきっかけにテレワーク環境を整備し、ほぼ全社員が制度を活用できる環境を整えていたことが奏功し、テレワークはBCP(事業継続計画)の観点で高い効果を発揮している。

一方、テレワーク対策が十分にできていない企業にとっては大きな過渡期を迎えている。テレワークには、持ち帰りPCなど必要ツールの提供やセキュリティ対策、ペーパーレス化、また使用許可が与えられる部署・社員の選別や上長承認の有無といったマネージメントにおける交通整理、さらには機密情報の扱い方や社員評価など、ある程度準備された環境が求められる。そのため急なテレワーク対策を求められたところで早急な対応は難しいという企業の本音も聞かれる。ウイルス対策で社員の健康をケアしながら生産性を維持できる企業がまだ限られていることが浮き彫りになっているようだ。

皮肉にも災害時に普及が進む日本の働き方改革。限られた環境の中でもテレワーク対応を進める企業やワーカーにおすすめしたい、6つのルールを紹介する。

1. スケジュールの見える化

他の社員がどこで何をしているか見えにくい問題を減らす

テレワークを導入してまず一番の問題になるのが、他の社員がどこで何の作業をしているかわからないという問題。普段オフィスでは近くのデスクで作業していた、またはよくすれ違っていた同僚や上司・部下と顔を合わさなくなるテレワーク環境は、コミュニケーション問題を生みやすくなる。電話やオンラインでのコミュニケーションが中心となる環境で、それぞれの予定がわかるようにしておくことで「いつ返事が返ってくるか」「いつ電話可能か」の大まかな把握ができ、小さなストレスを積み重ねずに済むことができる。

2. ”使う”コミュニケーションツールを再確認

様々な場所で行われるコミュニケーション、すれ違い問題を解消

電話やメールに加え、最近ではビジネスチャットツールや情報共有ツール、タスク管理ツールなど多くのサービスが存在する。社内で複数のコミュニケーションツールが活用されることも多い中で、「どの会話がどこで行われているか」というコミュニケーションの複雑化が課題になりやすい。プロジェクトやマネージメントにおけるコミュニケーションはそれぞれどのツールで行われるのかを再確認することで、情報共有の漏れや連絡不足を防ぐことができる。

また筆者のまわりの話を聞いてみると、全社導入されていないがチーム単位でひっそりと使いやすいツールを活用しているというケースが実は多い。テレワークが中心となる環境でコミュニケーションの交通整理はチームの連携力を失わないようにする上で大切だ。

3. 返事は原則5分以内

「返事がすぐに返ってこない」ストレスを解消

テレワークで最も起こりやすい問題は、普段オフィスでは顔を合わせて行えていたスムーズな報連相や確認ができないことに潜む。電話は相手が出ない可能性がある、メールでは返事に時間がかかる、またビジネスチャットツールでも直接の会話ほどのコミュニケーション量やレスポンスの速さが期待できないという不安が業務スピードの低下を招き、社員のストレス増加や生産性の低下につながる。「早く返信する」は社会人の基本中の基本ではあるものの、リモートワーク導入の際には「原則◯分以内にレスポンスする」というルールを再定義しておくことでこの問題を軽減することができる。

4. 顧客情報や気密性の高い情報の扱い方を再確認

ワーカーの拡散で高まる情報漏洩リスクを管理

機密情報の管理は最も配慮される領域だろう。普段オフィスで扱っていた情報をどこまで外部に持ち出しても問題ないか考慮する必要がある。社員のテレワーク頻度を大きく左右する要素の1つだ。

海外のAutomatticやGenuitec、GitLabといった完全テレワークの企業では顧客情報を含めすべてリモートで情報管理が行われている。しかし、そのような企業を除きテレワークを導入しているほとんどの企業はやはり機密性の高い情報を扱うエリアをオフィス内に限定している。日本で新たにテレワークを始めた企業の多くもこれに倣い、顧客情報の取り扱いをオフィスに留めている。

またある程度の情報管理をオフィス外でも認め、テレワークへの柔軟性を示す企業ではリモート作業を行う環境の確認を行っている。例えば日本のある大手人材会社では、在宅勤務を希望する社員が複数人で生活する環境にいる場合(家族がいたり、シェアハウスに住んでいたりする場合)鍵のついている部屋と鍵の部分の写真を提出するよう社員に義務付けている。

情報管理の観点から部分的なテレワークと時差通勤で対応を行う企業も多いはず。その場合は次の項目に留意しながら、効果的にテレワークを活用する視点を持っておくといいだろう。

5. オフィスで行う優先業務を決めておく

従業員の生産性を維持・向上

「オフィスでしかできない作業がある。」先述した顧客情報の取り扱いを含め、特定の部署では時差通勤を行いながらもオフィスで作業しなければならない時間がどうしても出てくる。そのような場合は「オフィスで行うべき作業」と「オフィス外が向いている作業」を分けて1日のスケジュールを立てると良い。

今日、働き方はいくつかの種類に分類することができる。例えば先日取り上げたITOKIのオフィスでは、アクティビティ・ベースド・ワーキング (ABW) の始祖であるVeldhoen + Companyのコンサルティングのもと、社員が働く上で行う「10の活動」というものを以下のように定義し分類している。

Veldhoen + Companyが定義する「10の活動」

これをベースに考えた場合、「オフィスで行うべき作業」に該当するものは「コワーク」「2人作業」「アイデア出し」「情報整理」といったところになるだろう。「コワーク」「2人作業」という部分では、隣にいる社員と確認・相談を行いながらスピード感を持って作業を進めることができる。また「アイデア出し」「情報整理」においては、ウェブ会議ではまだカバーしきれない熱感や臨場感のある打ち合わせをオフィスでは行うことができる。どれもオフィスでなければ難しい作業だ。

逆に「電話会議」「対話」「知識共有」はどれも複数人で行う活動だが、熱感や臨場感をそれほど必要としない打ち合わせが多く含まれる。このような作業はテレワークでの代用が可能と考えられる。また「高集中」作業は、ランダムで話しかけられることが多いオフィスではない場所の方が適していることも多いため、テレワークの得意分野となりえる。

このようにオフィスで行う作業とオフィス外で行う作業を分類した上で1日のスケジュールを上手に組むことで、外出時間を減らしつつも効率的な働き方を実践することが可能だ。

6. 週1の1on1ミーティング

テレワークによる人事評価のずれをなくす
マネージメント観点で業務を把握

テレワーカーの孤立化防止、また組織や企業文化への一体感を維持

テレワークになると、上司や部下を含む他の社員と一緒に過ごす時間は少なくなる。これはいくつかの弊害を生む要因になる。

1つは人事評価のずれ。「近くにいない部下をどう評価するか」という表題でテレワークに切り込むメディア記事を多く見かけるようになったが、テレワーク導入後は彼らの成果物やアウトプットベースでの評価に移りやすい。しかしテレワーク導入後も同じ評価指標を継続して活用する企業は多い。その中で従業員の総合的な評価を行うには定期的にオフィスまたはオンラインで1対1でのミーティングを行い、見えない部分もヒアリングでカバーする姿勢が重要になる。また定期的な個別の打ち合わせは業務内容の把握やテレワークに必要なツールが足りているかの確認にも効果的だ。

また社員が組織と離れて過ごす時間が多くなると、孤立化や組織や企業文化への一体感の低下も懸念点になり得る。先日サンフランシスコで行われた働き方カンファレンス『WORKTECH SF19』に登壇したBeyond社のリアン・ハン (Lian Han) 氏は、社員がリモートで作業できる環境でも会社に対して”Belonging”(会社から評価・大切にされていると感じ、自分は大 切なメンバーの1人と自ら認識できる感覚)を感じられるようになるための企業側の施策として「定期的にメンバーが直接集まるミーティングを開き、仕事以外の面も含めてカジュアルに話す機会を設けることが大切だった」と、マネージャーとしての経験をもとに話している。離れた場所で遠隔作業を行い効率的に仕事を進めるメンバーだからこそ、顔を合わせて話し合う機会の重要性も考慮する必要があるのである。

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この記事を書いた人

Kazumasa Ikomaフロンティアコンサルティングにてリサーチャーを務める。アメリカ・サンフランシスコでオフィスマネージャーを務めた経験をもとに、西海岸のオフィスデザインや企業文化、働き方について調査を行い、人が中心となるオフィスのあり方を発信していく。

    
    
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