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企業のパーパス・ブランディングから考える、「個人」のパーパスの見つけ方

[February 24, 2021] BY Naoto Tonsho

評価される企業の存在意義。そのとき個人は?

企業経営において、ここ数年で重要性を増している「パーパス(Purpose)」。「目的」や「意図」を意味する英単語だが、ビジネスにおいては企業や組織の「存在理由」、「存在意義」といった使われ方をする。「自分の会社はなぜ存在するのか?」という、まさに存在理由を打ち出すものであり、ミッションやビジョンの上位概念と位置付けることができる。

企業が持続可能な社会を目指すことに価値が見出される現代にあって、その企業ならではのパーパスを示すことは、社会にとって、またその企業で働く人にとっても重要と言える。

そして、パーパスは、企業経営だけでなく個人においても欠かせないものである。なぜなら、個人の存在意義を示すことは、社会に対する自らの立ち位置を示すことにつながるからだ。また、自分なりのパーパスを模索する中で、働き方に変化が生まれることもあるだろう。そこで今回は、企業におけるパーパス・ブランディングをもとに、個人のパーパスの見つけ方について考えてみたい。

世界的企業が掲げる「パーパス」から見えるもの

まずは、企業経営におけるパーパスについて掘り下げて見ていこう。

企業の真の存在意義を明確にし、実現していく「パーパス・マネジメント・コンサルティング」を手掛けるアイディール・リーダーズ株式会社(東京)というコンサルティング会社がある。注目したいのは、同社の役員の一つとして設けられている、「CHO」という聞き慣れない役職だ。

CHOとは「Chief Happiness Officer」のことで、直訳すると「幸せ担当役員」となるだろうか。役職名だけ聞くと掴みどころのない印象を与えるが、Googleをはじめ欧米では2010年頃からこの役職を取り入れる企業が出てきている。アイディール・リーダーズでは、『パーパス・マネジメント 社員の幸せを大切にする経営』の著書もある丹羽真里氏がCHOを担っている。

パーパスとは何かを考えるヒントとして、同社のウェブサイトにある「アイディール・リーダーズの考える『Purpose』とは?」より、以下に一部引用する。

Purpose(パーパス)とは、自分たちの存在意義のことです。「この組織は何のために存在しているか?」という問いに答える、シンプルな表現をPurposeと言います。Purposeがあることにより、組織においては一貫性のある戦略が描かれ、一体感が生まれます。また、Purposeに共感した社員が高いモチベーションでその能力と創造性を発揮することにより、大きな価値が生まれます

明確で手に取りやすいパーパスは、企業の進むべき道を示すだけでなく、社員にとってもモチベーションを高く持つ指針となるという。その結果として、顧客の共感や支持を得られる商品やサービスが生み出され、売上利益につながり、企業の持続的な繁栄がもたらされる。

また、パーパスには、「その組織の価値観」と「社会的な意義」という2つの視点が欠かせない。特に「社会的な意義」は、企業活動が社会にどのような影響を与え、世界が抱える課題をどのように解決できるかを示すものでもあり、重要度は高い。

具体例として、世界的企業が掲げるパーパスを以下にあげる。

Unilever
サステナビリティを暮らしの“あたりまえ”に

Nestle
食の持つ力で、現在そしてこれからの世代のすべての人々の生活の質を高めていきます

Google
世界中の情報を整理し、世界中の人がアクセスできて使えるようにすることです。

SONY
クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす。

Amazon
地球上で最もお客様を大切にする企業であること

企業ごとに内容は異なるが、それぞれのパーパスに共感し、パーパスの先に各企業が提供する商品やサービスを見通すことができるだろう。優れたパーパスは、企業の事業活動においていつでも立ち返り、ブレることなく事業を継続するための重要な指標となるのだ。

企業のパーパス

自分なりの「パーパス」はどうやって見つける?

企業においてパーパスが重要な役割を果たすように、個人もパーパスを軸とすることで、日々の生活にポジティブな変化がもたらされるのではないだろうか。2019年7月24日に行われたイベント「PURPOSE DRIVEN COMPANY 本物を未来に残すパーパス・ブランディング」でも、個人がパーパスを持つ大切さについて言及している。

同イベントには、主催者であり、パーパスを軸としたブランド・コンサルティングを手掛けるエスエムオー株式会社の代表取締役・齊藤三希子氏のほか、ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社の取締役人事総務本部長・島田由香氏、株式会社ガイアックスでブランドマネージャーを務める木村智浩氏の3名が登壇した。

当日の様子を綴ったGaiax blogによると、企業にとってパーパスを持つことがいかに大切かを、ユニリーバの島田氏が自社を例に説明している。ユニリーバでは、ブランドごとにパーパスがあり、強いパーパスを持つブランドはそうでないブランドより成長が46%早いという。ブランドの例としては、「Dove」や「Lipton」があげられた。

一方、ガイアックスには会社としてのパーパスは存在しないとのこと。これについて、同社の木村氏は、自由な風土を持つ企業として、個人のパーパスをもとにしたミッションを会社に浸透させていくことが重要だと説明している。イベントでは各人のパーパスを問う場面もあり、島田氏は「全ての人が笑顔で豊かな世界を作りたい」、木村氏は「1票と同様に1円が重要。お金をより良く使うことで、良い社会を作っていくことを当たり前にしたい」と答えている。

では、自分にとってのパーパスを見つけるためにはどうすればいいのだろう。例えばユニリーバでは、「あなたのパーパスは何?」と問い続けることを大切にしている。言い換えれば「何のために生きているのか?」を問うことで、目の前のタスクにとらわれることなくパーパスを考えられるという。

個人のパーパスの重要性に言及していた木村氏は、自分なりのパーパスを見つけるとき、「あなたの幸せは何ですか?」という問いであれば答えが出やすいと話す。確かに、漠然とした問いよりは、自分の幸せを軸にしたほうが考えやすくなるだろう。木村氏は続けて、「自分の幸せを追求し始めたら、自分らしく社会のために何かをすることに繋がっていく。まずは自分を満たすこと。自分を満たさずに他人を満たすことはできない」と語っている。

まずは自分自身が幸せであること。その視点を持つことで、幸せを実現するために自らの仕事のあり方を見つめ直すようになり、与えられたものをただこなすだけの働き方から抜け出せる。そうする中で、仕事を通じて自分と社会とのつながりを感じ、自社の商品やサービスの提供が社会により良い影響をもたらし得ることを実感できるようになるのではないだろうか。

政府や企業が主導する「働き方改革」を、受け身の姿勢で待つのはもったいない。うちなるパーパスを探り、自分主導で働き方を改革して「より良い将来の展望を持てるようにする」(厚生労働省「働き方改革」の目指すものより)ことに、「人生のおもしろさ」を見出してみてはいかがだろう。

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この記事を書いた人

Naoto Tonsho週刊誌の記者としてキャリアをスタート。政治、経済、社会問題まで幅広く取材。2016年頃より企業の広告・PRなど、BtoB関連にも業容を拡大。最近では、企業経営者へのインタビューや統合報告書制作などにも携わる。

    
    
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