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働きたい母親に活躍の舞台を THE MOM PROJECTが伝えるママの社会復帰サポートに必要な5つのこと

[April 28, 2020] BY Chinami Ojiri

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近年のMeToo運動やTHE WINGのような女性専用コワーキングスペースの誕生など、働く場において女性の声を届ける動きがグローバルで活発になる一方、女性がぶつかる壁として「ママの産休・育休後の社会復帰」が未だに大きな問題となっている。

全国で24時間スマホで呼べるベビーシッター・家事代行サービスを運営する株式会社キッズラインの『職場復帰・復職に関する調査レポート(2019年調査)』によると、96%のママが職場復帰・復職に不安を感じているという結果となった。その理由には「保育園の送迎や病児の対応」「遅刻早退や欠勤などで職場に迷惑をかけないか」「体力がもつか」「子どもに寂しい思いをさせてしまうのではないか」など多岐にわたる回答が挙がる。

さらに内閣府男女共同参画局は2003年に「社会のあらゆる分野において、2020年までに指導的地位に女性が占める割合を30%に引き上げる」とする目標を掲げていたが、帝国データバンクが2019年に行った「女性登用に対する企業の意識調査」によると、企業の管理職に占める女性比率は僅か平均7.7%程度だった。またイギリスの経済紙「The Economist(エコノミスト)」が、収入や労働力参加率、出産・育児休暇の取得率などのデータを考慮し算出する『女性が働きやすい国ランキング(2018年調査)』で、日本はワースト2位にランキングしており、世界的に見ても女性が働きにくい環境が多く残ることは否めない。

ママの社会復帰を応援するにはどのような動きが必要なのか。今回取り上げるアメリカ・シカゴを拠点とするスタートアップ『THE MOM PROJECT』はまさにこの領域の取り組みで注目を集めている。彼らの取り組みを参考に、日本社会においてママの社会復帰をサポートする為に必要なことを5つにまとめる。

THE MOM PROJECTとは?

THE MOM PROJECTは、産休・育休でしばらく仕事から離れていた女性の社会復帰支援を目的とした求人マッチングサイトである。

イメージ: THE MOM PROJECTウェブサイトより

2015年当時、Pampers社に勤めていた創設者兼CEOであるアリソン・ロビンソン(Allison Robinson)は産休をとっており、心身共に母になる準備が進むその間、自分の中で大切なものの優先順位が変わっていくこと、そして、その想いとキャリアを両立していく事の難しさに気づいたという。アリソンは2015年に息子を出産した後、「家族の時間とキャリアの両立」を普遍的な事実にしたいという想いから、2016年にシカゴを拠点としTHE MOM PROJECTをスタートさせた。

THE MOM PROJECTのサービス内容は非常にシンプルだ。応募者は無料でプロフィールページを作成し、産休・育休後の復職に理解を示す2,000以上の企業の求人情報を見ることができる。また、企業側も無料で求人を掲載し、150,000人を超える応募者の中からより企業のニーズに見合った人材を探すことができる。

イメージ: 応募者向けページ / THE MOM PROJECTウェブサイトより

イメージ: 企業向けページ / THE MOM PROJECTウェブサイトより

THE MOM PROJECTの資金はGrotech VenturesとInitialized Capitalを含む7社以上のベンチャーキャピタルから調達し、その総額は2018年時点で1,100万ドルになった。また、Procter&GambleやBP、Miller Coors、AT&Tなど大手企業を含む2,000以上の企業が参加したことで、THE MOM PROJECTへの期待や注目度の高さが伺える。

社会が見落としていたママのもつ「高学歴なバックグラウンド」と「働くことに積極的な姿勢」

THE MOM PROJECTが注目されることで明らかになったのは、どれほど社会全体がママのもつポテンシャルの高さ、そして彼女達の社会に対する積極的な姿勢を見落としていたか、ということだ。アメリカでは学士号を取得する大卒者の60%以上が女性だが、2004年にCenter for Work-Life Policyが行った調査によると、働く女性の43%は家庭の事情でキャリアを終えている。
THE MOM PROJECTは設立以来、積極的にママのキャリアパスに関するリサーチや、応募者と企業の双方からのフィードバックを続けており、ママがどれほど優秀な人材かを社会に伝えている。

グラフ: THE MOM PROJECTレポート(2019年)より

THE MOM PROJECTの応募者(現在雇用されている人とそうでない人を含む)から検出した結果を見ても、ママが持つバックグランドは十分に魅力的なことが分かる。94%の女性が学士号を取得する大卒者であり、更に40%の女性が修士号、又は博士号を取得している。また、休職、もしくは離職するまでに8〜10年のキャリアを積んでいる。THE MOM PROJECTに登録する72%の女性は既にフルタイム、またはパートタイムで仕事をしており、積極的な社会復帰の姿勢が窺える。

次ページ:日本でも多くいる働きたい母親、社会復帰のサポートに必要な5つのこととは?

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この記事を書いた人

Chinami Ojiriフロンティアコンサルティングで設計デザイン部に勤めた後、渡米。経験と知識を広げる為、現在はNYの美大にてインテリアデザインを学んでいる。

    
    
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