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海外バイオフィリックオフィス事例:Segmentサンフランシスコ本社

[November 12, 2019] BY Kazumasa Ikoma

先日の記事で取り上げたように、オフィスの室内緑化は海外で積極的に進められている。バイオフィリックデザインは着々と現在オフィスに欠かせない要素の1つとなりつつある。

そこで今回はサンフランシスコにあるスタートアップ、Segment社の本社オフィスを最新事例として紹介。同社のオフィスは、北米最大の園芸協会『AmericanHort』が毎年優れた室内緑化プロジェクトに贈るInternational Plantscape Awardsのゴールド賞を昨年の2018年に受賞し、今年増床された部分も同じくゴールド賞を2019年として受賞している。アメリカでも特にこだわりの強い緑化オフィスがどのように作られているのか、その中身を探る。

Segment社とは

Segmentは、サンフランシスコに本社を構える2011年設立のスタートアップ。同社が展開する顧客データ統合ツール(CDI)は、ユーザーの属性・行動履歴を扱うツール(Google Analyticsなど分析を行うものや、メール配信、キャンペーンの効果測定などを行うツールなど)がそれぞれデータ分析を行うところを一元管理して分析し、各ツールにデータ送信することで、時間と工数の節約を行うというもの。世界71ヵ国にいる数千社の導入ユーザーの中にはIBMやLevi’s 、Intuitといったグローバル企業の名も挙がるほど、豊富な導入実績を持つ。

現在の拠点数は、アメリカ国内でサンフランシスコ、ニューヨーク、デンバーの3つ、国外はアイルランド・ダブリンとカナダ・バンクーバーの2つで計5拠点となる。全社員600人のうちサンフランシスコ本社は約400人を抱え、サンフランシスコのシンボルの1つであるフェリービルディング近くにある100 California Streetのオフィスビルに入居。7階から9階の3フロア、そして人員増加に伴い増床した11階のフロアも加えて計4フロアで緑あふれるオフィス環境を提供している。

居抜きのような増床を繰り返しながらオフィスを拡大してきた背景もあり、各フロアはそれぞれ異なる印象を出すように空間設計を行っている、と同社のHead of Global Real Estate and Workplaceを務めるコリン・ハード(Colin Hurd)氏はいう。中間層となる8階、9階は主にエンジニアが作業する空間で、静けさが特徴的。彼らが集中して作業できるようにしている。一方、9階の一部分と11階はその他の部門が集まる階層で陽の光が入りやすい場所ということもあり、会話量が多く活気溢れる空間づくりが施されている。

すべて本物の植物を使ってできたエントランスのグリーンウォール

7階の執務室。11階の増床部分が完成した直後だったため空いていたが、それまではマーケティング部門やクリエイティブ部門が働いていたオープンな空間

8階に並ぶ会議室。エンジニアが多く働くこの階から静けさが目立つ

緑化の理由は人材獲得と社員のウェルネス

ここまで緑に力を入れた理由の1つは、やはり人材獲得のためだという。緑化を通じて居心地が良く集中して作業しやすい空間を提供することで、入社希望者の意欲を高めることが狙いだ。斬新なオフィスが多いサンフランシスコでも緑を導入するか否かは、各社のオフィスチームの決断によって大きく変わる。Segmentの場合、サンフランシスコ本社にいる約400人の社員のうち約半数がエンジニアということもあって、彼らが長時間オフィスで働いても疲労を感じない空間を提供するために緑は欠かせない要素だったと考えたようだ。特にサンフランシスコはニューヨークといった他の都市に比べ街中の緑が少ないことからも、オフィスにある緑の重要性は比較的高くなる。

また社員の健康やウェルネスへの投資という面でも緑は重要。Segmentのカフェテリアは社員に健康食を提供することを心がけているおり、さらに定期的に健康セミナーや個別指導も行うため、その活動も考慮した上でオフィスの緑化は相性が良い取り組みというわけだ。

少し明るさを出してきた9階部分。照明に照らされた緑が印象的

7階の会議室の名前はすべて木の名前から取っているという徹底ぶり

できたばかりの授乳室にも緑は欠かさず用意されている

ちょっとした植物もワンポイントとして空間を明るくする

Segmentオフィスの緑化を担当したAmbius社のローラ・バーンズランバート (Laura Burns-Lambert) 氏は、他にもGREEのサンフランシスコオフィスやPinterestの本社オフィス、またHRツールを展開して急成長を遂げているGustoの本社オフィスも担当しており、数々の受賞歴を持つ室内緑化のプロである。彼女によると、Segmentのオフィスでは日本のわびさびにおける不規則性の美しさからインスピレーションを受け、メタルリングと一体型になった鉢植えを使って植物をそれぞれ高さが異なるように窓際や通路近くで吊るすなど、随所に日本の要素を取り入れたデザインを導入しているという。

またオフィス内で打ち合わせが多く行われる場所や会話が生まれる場所に意図的に多くの植物を導入し、吸音するオフィス家具として植物を活用するほか、より多くの社員に自然とのつながりを感じられるようバイオフィリアを意識したデザインを行っている。

わびさびを意識した高さが異なる植物

活発な会話が多い11階部分はこのように豊かな緑にデスクが囲まれている

それに比べエンジニアが働く8、9階は落ち着いた並びで緑が置かれている

緑だけでなく、水の音も聞こえるようにすることで自然をより豊かに感じられる空間演出を行っている

できたばかりの11階のオープン空間

ITサポートチーム(社員のパソコン等を直すチーム)用に作られた空間。修理を依頼した社員は待ち時間の間も緑に囲まれた部屋でリラックスすることができる

これらの緑はすべて業者によって管理されているという。緑に十分な投資を行った上で、社員の作業効率性やウェルネスに配慮すると、ここまで豊かな環境を室内でも整えることができる。バイオフィリックデザインオフィスの最先端事例の1つとして、読者の参考になれば幸いだ。

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この記事を書いた人

Kazumasa Ikomaフロンティアコンサルティングにてリサーチャーを務める。アメリカ・サンフランシスコでオフィスマネージャーを務めた経験をもとに、西海岸のオフィスデザインや企業文化、働き方について調査を行い、人が中心となるオフィスのあり方を発信していく。

    

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