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デジタル人材を育む「リスキリング」とは。DX関連講座が豊富なeラーニングサービス7選

[September 06, 2022] BY Kaori Isogawa

DX推進の一方で不足するデジタル人材

​​デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進によって、企業や組織のビジネスモデルはもちろん、ワーカーの働き方にも大きな変化が起きている。なかでも懸念されているのが、DX推進に必要なスキルをもつ人材(以下、DX人材)の不足だ。企業の人材戦略は、デジタル時代の到来により見直しを迫られていると言ってもいい。

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公開した「DX白書2021」をみてみよう。「第3部 デジタル時代の人材」では、独自の調査結果をもとに、デジタル時代の人材確保や人材施策などについて日本企業と米国企業の現状を比較している。そのなかで、デジタル事業に対応する人材の「量」の確保状況について、職種別に尋ねた結果が以下の通りだ。

(画像は「DX白書2021」より)

米国企業ではどの職種においても、「過不足はない」との回答が日本企業より大きく上回っていることがわかる。また、「大幅に不足している」と「やや不足している」を足した割合をみると、日本企業では「プロダクトマネージャー」「ビジネスデザイナー」「データサイエンティスト」が55%を超えているが、米国企業は全職種とも40%前後となっている。

同様に、デジタル事業に対応する人材の「質」の確保について職種別に尋ねた結果、「大
幅に不足している」と「やや不足している」を足した割合は、日本企業は70%前後に集中している一方、米国企業では50~60%の間に集中していた。

(画像は「DX白書2021」より)

このように、日本企業ではデジタル事業に対応する人材が「量」「質」ともに不足しているのが現状だ。その解消へ向けて注目されているのが、既存ワーカーのリスキリングである。本記事では、DX時代の人材戦略ともいえる、デジタル人材を育むための「リスキリング」と、リスキリングに役立つeラーニングサービスを紹介する。

関連記事:DXはなぜ必要か? 企業が直面する「2025年の崖」の正体

DX時代に求められるワーカーの「リスキリング」

​リスキリングとは、仕事で必要とされるスキルの再開発や再教育を意味する。近年では、「現在とは異なる仕事(特にDXに関連した仕事)につくためのスキル習得」の意味合いで使用されることが多い。これからDX人材として活躍したいと考えるワーカーにとって、自身のリスキリングは必要不可欠といえるだろう。

また、リスキリングは企業からも注目されている。企業が真のDXを実現するためには、一部をDX人材に置き替えるだけでは不十分であり、あらゆるプロセスのあらゆるフロントラインにDX人材を配置することが望ましい。しかし、海外と異なり人材が流動的とは言いがたい日本で、企業が外部から優秀なDX人材を引き抜いて採用することは簡単ではない。社内の人材をDX人材として育成していくほうが現実的であり、既存ワーカーのリスキリングが必要となるのである。

現状は、スイスの国際経営開発研究所(IMD)が毎年、公表している「World Digital Competitiveness Ranking(世界デジタル競争力ランキング) 2021」 をみると、日本の総合順位は28位。なかでも労働者のデジタル/テクノロジースキルは、64ヵ国中62位とかなり低い。この順位は2018年時点では48位であったことから、DX人材の育成が他国に比べて遅れをとっていることがうかがえる。

そこで政府は「デジタル田園都市国家構想」の中で、2026年度末までに230万人のデジタル人材を育成することを掲げている。その取り組みの一つとして「人材開発支援助成金」を拡充。DX人材育成に向けたリスキリングを後押しすべく、​​IT技術の知識や技能を習得させる訓練を高率助成の対象に位置づけた。​​厚生労働省は、2024年度にはデジタル分野の訓練受講者を年間6万5000人に増やし、全受講者の約3割にすることを目標としている。​​

関連記事:「デジタル田園都市構想」って何? 令和に変わる「働くこと」の意味

効率的なリスキリングに役立つ「eラーニング」

DXに関連するリスキリングには、「eラーニング」が有効である。eラーニングは、時間や場所を選ばずアクセスできるため、仕事を持つワーカーも受講しやすく、短期間で効率よく知識やスキルを習得することが可能だ。視覚的かつ直感的でわかりやすい、比較的低コストで受講可能といった点もeラーニングの魅力といえる。

経済産業省とIPAが開設した、デジタルスキルに関するポータルサイト「マナビDX(デラックス)」 では、リスキリングを希望するワーカーが自分に合った講座を探すことができる。基礎講座の検索ページでは、Why(DXの背景)、What(DXで活用されるデータ・技術)、How(データ・技術の活用)、Mind(マインド・スタンス)の各項目の選択肢にチェックを入れて検索すると、希望にマッチした学習コンテンツを提示してくれる。自身のリスキリングとして、何から始めたらよいか迷っているワーカーの参考となるだろう。

DX関連の講座が充実したeラーニングサービス7選

DX人材の不足を受け、リスキリング向けのeラーニングサービスが充実してきている。ここでは、DX関連の講座が充実したeラーニングサービスを7つ紹介する。

1. 「データサイエンス・オンライン講座」

総務省統計局では、データサイエンス・オンライン講座を年に複数回、開講している。統計学やデータの見方の基礎を学び、データ活用に役立つスキル習得をめざすオンライン講座だ。ワーカー・学生を問わず誰でも無料で受講することができる。

なかでも「社会人のためのデータサイエンス入門」は、事例等を踏まえてデータ分析の基礎を学ぶことができる入門講座で、2015年の開始以来、延べ約14万4000人が受講している。ほかにも「社会人のためのデータサイエンス演習」「誰でも使える統計オープンデータ」といった、さらなるスキルアップをめざすための講座も開講されている。

2. 「METI DX:基礎から学ぶデジタルサービス研修」

経済産業省では、YouTube上に同省の施策に関する動画を配信しており、DXに関しては「METI DX:基礎から学ぶデジタルサービス研修」という10分程度の学習コンテンツを12本提供している。身近なサービスからブロックチェーンの活用、アジャイル開発に至るまで、デジタル化による業務の効率化や新たな価値の創造といった、DXの基礎を短時間で学ぶことができる。このほか、ビジネスに必要な統計活用法を学ぶ統計活用セミナーなども提供されており、手軽に視聴することができる。

3. 「LinkedInラーニング」

ビジネス向けSNSのLinkedInが展開する「LinkedInラーニング」は、有料のeラーニングプラットフォームだ。豊富な学習コンテンツが魅力で、ビジネス、テクノロジー、クリエイティブなどのカテゴリーでさまざまな学習コースを、7か国語で計1万7000コース以上(日本語は1000コース超)提供している

世界中の約1万3000法人が契約しており、個人での契約も可能。数分間の短編動画から、何十時間もかけて深く学ぶコースまで、リスキリングしたい学習内容に合わせてスケジュールを組むことができる。講座の視聴者数が表示されているので、人気講座を知る手がかりになるだろう。

4. 「Udemy」

Udemyと株式会社ベネッセコーポレーションが提携して運営を行うのが、有料のeラーニングプラットフォーム「Udemy」だ。18万5000以上のオンライン講座が用意され、各講座に提示された料金を支払うことで気軽に視聴ができる仕組みとなっている。データサイエンスやウェブ開発、Python、JavaScriptといったカテゴリー分けがされているほか、受講生によるレビューが公開されており、選択の助けになる。

法人向けの「Udemy Business」では、Udemyの講座の中から、日本の利用者向けに厳選した日本語および英語の約7300講座がサブスクリプション(定額制)で視聴可能。国内企業650社以上が契約を結んでいる。​​

5. 「CodeCamp」

経験豊富な現役のエンジニアから学べる、オンラインのプログラミング学習サービス「CodeCamp」。コードキャンプ株式会社が運営するこの講座は、現役エンジニアによる個別のマンツーマン指導が特徴で、未経験でもスキルに合わせた手厚いレッスンが受けられる。Webマスター、Webデザイン、Javaマスター、Rubyマスターといったコースがあり、スキルアップを重ねることで、未経験からエンジニアをめざすことも可能だ。朝7時から23時40分まで年中無休で開講。法人向けのプログラミング/IT研修も提供しており、300以上の企業が導入している。

6. 「ジッセン!オンライン」

アンドデジタル株式会社が運営する、デジタルマーケティング領域専門のeラーニングサービス「ジッセン!オンライン」。Webサイト運営、SNS、デジタル広告、EC、オムニチャンネル、データ&アナリティクス、CRM(顧客関係管理)、マーケティングなどの専門カテゴリーに分類された約200の講座を公開している。分野ごとにコース設計がされているため、デジタルマーケティングについて学習したいが、何から始めたらよいかわからないという初心者も体系的に学ぶことができる。500社以上の企業が導入中。

7. 「Schoo(スクー)」

株式会社Schooが展開する、「一生、学べる学校」を掲げるオンライン生放送学習コミュニティ「Schoo」。通常のeラーニングとは異なるユニークな双方向のライブ受講が特徴だ。ユーザーのコメントで授業の内容が変化したり、先生の問いかけでユーザーが考えるなど、インタラクティブな学習体験がオンラインでできる。

授業はデジタルリテラシー、ビジネス基礎力、デザイン力、AI時代の人間力などのカテゴリーから探すことができ、生放送授業は無料で視聴が可能。有料会員になると過去の録画8000本以上が見放題になる。法人向けの「Schoo for Business」では階層別、職種別、テーマ別の研修サービスが用意され、DX研修も提供。2500社以上が導入している

リスキリングで新たな価値創造を担う人材に

今回紹介したeラーニングサービスは、DX関連のリスキリングに対し、受講者が習熟度に合わせて無理なく学べる工夫がされている。初心者の場合には、無料のオンライン講座やトライアル講座から始め、どのようなことを学びたいのか、どの程度時間をかけて、どの程度深く学んでいくべきかを見定めていくのもよいだろう。

リスキリングでDXに関する知識やスキルを身につけることは、DX時代に新たな価値を創造する人材となり得ることを意味する。ワーカーにとっては、労働環境や雇用が変化する未来を生き抜く力にもなることだろう。

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この記事を書いた人

Kaori Isogawa ライター/翻訳者。ホームインテリアからオフィスデザインまで、ライフスタイル&ワークスタイルを中心に幅広くコンテンツを作成。外資勤務経験あり。



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