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リモートワーカーにおすすめの「オンオフ」切り替えテクニック

リモートワークはオンとオフの切り替えが難しく、無意識の長時間労働に陥りやすい。オンとオフを上手に切り替える方法について、役立つテクニックを紹介する。

リモートワーカーが陥る「無意識の長時間労働」

リモートワークの定着とともに、自宅などの遠隔地でも働きやすい環境整備が進められてきた。オンライン会議システムやビジネスチャットなどのツールによって、離れていてもスムーズな情報共有やチーム作業が可能となっている。その一方で、依然として解消されないのが、リモートワークにおける「無意識の長時間労働」である。

SNS管理ツールを提供するBuffer社が16カ国 2118 人のリモートワーカーを対象に行ったアンケート調査「2022 State Of Remote Work」によると、「リモートワークで苦労していることは?」の問いに対し、「特に問題がない」(31%)との回答が最も多かった一方で、次に多かったのは「仕事から離れることができない」(25%)であった。

自宅でリモートワークをしている場合、就業時間とプライベートな時間をしっかりと切り替えることは簡単ではない。ダラダラと仕事をし続けてしまったり、就業時間外でも仕事のことを考えてしまったりする「無意識の長時間労働」が生じがちだ。本稿ではそんなリモートワーカーへ向け、仕事のオンオフを上手に切り替える方法について、役立つテクニックを紹介する。

リモートワーカーが仕事から上手に離れるには?

リモートワーカーが無意識の長時間労働に陥らないためには、ワーカー自身が仕事から上手に離れる方法を学ぶ必要がある。まずは休憩時間の過ごし方について、そのコツを考えたい。

生産的な仕事を行うためには、しっかりと休む必要がある。十分に休息できない状態が続けば、業務効率が落ちるだけでなく、疲労やストレスが重なりやすく、燃え尽き症候群の原因にもなりかねない。特にリモートワークの場合は、オンオフの切り替えがあいまいになりやすい。休憩をしているつもりでも、頭のなかで仕事のことを考えていれば、本当の意味での休憩にはならない。休憩時間の過ごし方にも工夫が必要だ。

休息のために休憩する

「仕事から離れられない」と感じているワーカーは、頭のなかを完全にオフに切り替えて、休憩時間を食事や休息のためだけに過ごすことをおすすめしたい。十分に休息することは、仕事へのエネルギーを蓄えることでもある。結果として、その後の業務効率が改善されることもあるだろう。

短時間で完結する過ごし方を選ぶ

休憩時間の過ごし方といえば、コーヒーやお茶を飲む、同僚と雑談をする、昼寝や仮眠をとるなどがある。オフィスで働く場合、休憩時間にどのような過ごし方をしていても、比較的容易にオフからオンに戻ることができる。うっかり寝過ごしてしまっても、周囲の音で目が覚めたり、同僚がそっと起こしてくれたりするはずだ。

一方で、リモートワークでは、休憩の過ごし方の自由度が高い一方で、自分で時間を管理する必要がある。例えば、「ソファに横になる」とそのまま長時間寝てしまう可能性があり、「スマホでゲームをする」と時間を忘れて没頭してしまう恐れがある。切り替えをうまく行うためには、このような休憩が長時間になる可能性の高い過ごし方は避けて、「コーヒーやお茶をいれる」「ちょっとした洗い物を片付ける」といった短時間で完結する行動を心がけてみるとよい。

休憩時間をワークスペース以外の場所で過ごす

休憩時間を自分のデスクで過ごしたり、同じ部屋にこもっていたりすると、気分転換もままならない。ワークスペースの机で食事をとっていて、つい仕事の資料を眺めて過ごしてしまったという人も多いのではないだろうか。休憩時間には、昼食を外に買いに行く、ランチに出かけるなど、ワークスペースから離れて過ごしたほうが、オンオフの切り替えが行いやすい。

「オンオフ」切り替えのきっかけとなるアクション

オフィスで働くワーカーは、仕事が終わると「オフィスのビルを出る」「電車に乗る」「家の玄関をくぐる」といった行動がきっかけとなり、自然とプライベートモードに切り替えられる。一方で、リモートワーカーが「仕事から離れられない」と感じるのは、こうした切り替えのきっかけとなる行動がないことが影響していると考えられる。

仕事終わりを認識するアクションを設定する

オンオフを切り替えるアクションを自ら設定すれば、リモートワーカーも切り替えがしやすくなる。アクションの例は以下の通りだ。

・特定の時間に同じ曲が流れるようにセットする
・仕事用のパソコンや資料を目につかない場所に片づける
・終業時間にアロマキャンドルに火をつける
・仕事終わりに翌日のタスクをToDoリストにまとめる

このようなきっかけとなるアクションは、同じ時間に同じ行動を行うことがポイントだ。さらに、視覚や聴覚、嗅覚といった五感を刺激するアクションであれば、仕事の終わりを脳に印象付けることができる。

ワークスペースから離れるタスクをつくる

きっかけとなるアクションを取り入れても、仕事のことが頭から離れない場合には、物理的・心理的にワークスペースから距離をとることをおすすめしたい。具体的には、次のような行動だ。

・ちょっとした散歩に出かける(犬を散歩に連れて行く、近くのコンビニで買い物をするなど)
・習い事や外部の用事を入れておく(語学教室など趣味の教室、子どもを保育園に迎えに行くなど)
・別室で趣味や好きなことに集中する(テレビ鑑賞、パズル、ヨガ、瞑想など)

習い事をあらかじめ予約したり、子どものお迎えを担当したりという、他の人では代わりがきかない用事を入れることで、時間管理が苦手な人も切り替えを行うことができるようになるだろう。

仕事のコミュニケーションツールの設定を見直す

仕事から離れたオフの時間を過ごしていたはずなのに、仕事上のメールが届いた瞬間に仕事モードに戻ってしまったという経験はないだろうか。オフをしっかりと過ごすためにも、仕事で使用するコミュニケーションツールの設定を見直しておきたい。具体的な方法をいくつか紹介する。

①署名欄やステータス欄に就業時間・休暇の情報を入れる(メール、Slackなど)
頻繁に使用するコミュニケーションツール、例えばメールの署名欄やSlackのステータス欄などに就業時間あるいは休暇情報を入れておくと、オフの時間帯や日程をさりげなく相手に伝えることができる。

②おやすみモードを設定する(LINE、Slack、LINEWORKS 、Chatworkなど)
スマートフォンやアプリのおやすみモード設定を活用すれば、就業時間外に仕事上のメッセージや着信の通知をオフにすることができる。

③職場の共有カレンダーに予定を入れる(Googleカレンダーなど)
共有のカレンダーアプリに休暇や今後の予定の情報を入れておくと、自分だけでなく共有するメンバーのスケジュールも把握しやすい。

④自動返信設定(メール)
数日から長期におよぶ休暇をとる場合は、自動返信メールを設定しておく。その際、休暇期間だけでなく、次回返信できるタイミングなどの情報も加えておくと相手への配慮となる。

このようにコミュニケーションツールの設定を工夫することで、オフの時間に仕事のメッセージを目にする機会を減らすことができる。また、プライベートで利用するLINEの個人アカウントは交換しないなど、プライベートのアカウントに仕事上の情報が入らないよう、普段からSNSのすみ分けをしておくのもよいだろう。

「オンオフ」の切り替えでオンもオフも充実させよう

リモートワーカーは、オフィスで働くワーカーに比べて、仕事とプライベートの境界があいまいになりやすく、オンオフの切り替えが難しい。しかし、休憩時間の過ごし方、切り替えアクションの設定、コミュニケーションツールの工夫しだいで、切り替えのコツをつかむことができる。オンとオフが上手に切り替えられるようになれば、オフの充実とともにオンのワークライフも充実することだろう。

この記事を書いた人:Kaori Isogawa