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コミュニケーション改革に必要なテクノロジーとは?Phone Appliが社内で実践する働き方改革

[March 21, 2019] BY ICCパートナーズ編集チーム

ICCサミット FUKUOKA 2019のセッション「我が社のEX(従業員体験)ー オフィスで生み出すコラボレーション体験とは?」で紹介する企業のオフィスを訪問するシリーズ、第7回は、5年連続Web電話帳シェアNo.1のサービスを展開するPhone Appliです。ぜひご覧ください。

– ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。前回の ICCサミット FUKUOKA 2019は2019年2月18日〜21日 福岡市で開催されました。詳細は公式ページをご覧ください。

2018年2月、神谷町に本社を移したPhone Appliは、移転のプレスリリースで新オフィスのコンセプトについて、このように説明している。

「オフィス名称、『CaMP(Collaboration and Meeting Place)』は、”対面し共創する場所”を意味しており、アウトドアとテクノロジーで働き方を変革するSPBS(株式会社スノーピークビジネスソリューションズ)と、ITを活用したコミュニケーション改革を手掛けるPhone Appliの協業によりテクノロジー、ヘルスケア、スペースが融合した、究極のアウトドアオフィスを展開します」

代表取締役社長の石原洋介さんによると、このコンセプトは働き方改革に端を発するものだそうだ。Phone Appliの展開するサービスの紹介も交えて、そのオフィスにどのようなねらいがあり、どのような効果を生み出しているのかうかがった。

コミュニケーションのストレスを軽減する“Web電話帳”

石原さん「Phone Appliは、コミュニケーション改革企業No.1を目指しています。中核となるのは“Web電話帳“というコミュニケーションポータルを提供するクラウドサービスで、企業向けの働き方改革や、コミュニケーション改革をご支援するビジネスをさせていただいています。

そのなかでも『連絡とれるくん』というクラウドのサービスが主力製品です。オフィスではよく、デスクの電話の前に座席表と内線電話帳などがありますが、その情報をクラウドに集約、名刺の情報などもクラウドで一元管理して、そこからビジネスコミュニケーションのツールを選んでコミュニケーションが始められます。

スマートフォン用のアプリも用意されているので、外出先からも簡単に参照することができます。事業部、グループ会社別の管理や、そのなかでも組織階層を作ることができ、個人の持っているスキルやキーワードを入れたり、その人の業務が今、どういう状況にあるかまでわかるようになっています。

そこから電話、メール、LINE WORKSやSlackなどのビジネスチャット、Webexやzoomなどのビデオ会議までボタンひとつで開始することができます。連絡先管理というより、連絡先を入手したあとの、コミュニケーションポータルサービスです。

スマホにお客様や社員の連絡先などを保存すると、万一紛失したときに大変ですよね。そういった連絡先にまつわる課題や、サービスごとに起動して使う煩雑さをクラウドで解決します」

「連絡とれるくん』は花王様でも3万人程度が利用中で、企業の規模を問わず導入が進んでいる。オフィスのフリーアドレスが進む企業では、また異なるコミュニケーションサービスを提供しているという。

石原さん「エイベックス様では2,000名規模でフリーアドレスを採用されており、誰がどこにいるかわからないという問題を解決するために『居場所わかるくん』というサービスも提供しています。無線LANの三点測位や、ビーコンの仕組みを使っており、他のいろいろな仕組みに対応もできます」

関連記事:エイベックス新社屋で起きている「社内外のコラボレーション」【加藤信介さんインタビュー#2】

Phone Appliの社内でも「居場所わかるくん」は導入されており、その場で石原さんが社員の方の名前のボタンを押すと、その人の所在地がオフィスフロアマップで点滅した。Phone Appliも部門を超えたフリーアドレスで広いワンフロアのため、姿を探す手間が省ける。

石原さん「一箇所のオフィスだけでなく、他の拠点をもつ会社でもわかります。『朝イチであの人と話そう』と考えながら出勤するとき、最寄りの駅から上がってきながら探すこともできます。人が集まる、コミュニケーションすることをテクノロジーで支援する仕組みです」

「CaMP」が生まれた背景

取材時は手前のテントの中でランチを楽しむ社員も

コミュニケーションのストレスを取り除くサービスを開発した背景には、冒頭の、石原さんが感じている現在の働き方改革への疑問がある。自社サービスの導入だけでなく、オフィス環境の改革も両輪で必須と石原さんは考える。

石原さん「多くの企業では、18時になると、働き方改革キャンペーン中なので帰宅してくださいと、総務や人事の人たちが言って回るようなことが多いですよね。残業削減が大きなメッセージになってしまっています。私はそれは違うと思います。

働き方改革の目的は、企業価値の向上です。

企業によってさまざまだと思いますが、私は企業の価値が高い会社とは、いいサービス・企画がどんどん生み出せる会社だと思うのです。売上など短期的な話よりも、継続的にそういうものを生み出せる風土をもった会社だと思います。

そんな会社になるためには、社員の力を最大限に引き出してつないでいく、人と人の共創をうながすことが重要です。みんながもっともパフォーマンスを出せて、健康的に働ける環境を創ろうということで、Phone Appliは最高のオフィス空間と日本一のIT環境を融合させようということにしました」

そこで前職のシスコシステムズ在籍時に、100社以上の移転案件を担当した”オフィス移転王子”の石原さんが経験値を結集して、”対面し共創する場所”という意味を込めたオフィス「CaMP(Collaboration and Meeting Place)」が出来上がった。

オフィスのテクノロジー①:最高の会議体験システム

「連絡とれるくん」「居場所わかるくん」に加えてコミュニケーションへのストレスを軽減するものとして、Phone Appliではどこにいても会議ができる仕組みを導入している。これは石原さんが前職時代に、日本のIP電話やビデオ会議システムを担当するスペシャリストだったことによる。

石原さん「皆さんのいるこの部屋は、最高の会議体験ができるような部屋です。会議室の中だけでなく、社外のお客様や走り回っている営業マンが、出先からスマホで会議をしたり、海外の方と研究を話し合うようなことができることも含めて、最高のビデオ会議空間を作っています。シスコシステムズのビデオ会議システムを使っています。

鮮明な画像と音声に驚かされるビデオ会議システム

話している人の顔を認識して、その人にズームするスピーカートラッキングという仕組みがあり、スマホで見ていても、ああこの人が話しているのだなとわかります。みんなが話していると、その全体の映像になります。

相手がスマホでもPCでも、どこでもできます。昔のテレビ会議は、部屋と部屋をつなぐイメージでしたが、今は個人のスマホなどを通じて、人と人をつなぐイメージです。これを使ってビデオ会議や社内のセミナーも常に中継しています」

オフィスのテクノロジー②:会話の質がわかる1on1ブース

オフィスフロアの中心にあるが、内部の声は外にまったく聞こえない

関連記事:近年ポッド型ワークスペースは昼寝部屋に活用されることも多い(増える「昼寝推奨」企業、アメリカ事例から現状を探る

組織の意思統一実現のために作った人事考課のシステムは、取引先であるセールスフォース社のノウハウを参考に策定。各自が会社と社員がともに成長していくための宣言書V2MOM(Vision,Values,Methods,Obstacles,Measures)を半年に1回作り、全社員に公開する。チームで働くときは、相手のV2MOMを予め確認してコミュニケーションすると効率もいい。

またその一環として、週に1回30分、1on1ミーティングを行うことをルールとしている。

石原さん「ルールというより、カルチャーになっていて、できていないと部下が上司に今週は?と言えるような感じです。この1on1ミーティングは会話量を測定しており、50%以上部下が発言することをルールとしており、部下の話を聞くということを主眼としています」

取締役の岩田 泉さんも、自身の1on1ミーティングの会話量のグラフを紹介しながら説明する。

岩田さん「ミドル層のトレーニングで傾聴の話をするのですが、現場で優秀なマネージャーは部下に対して、ダメ出しなのか自慢なのか、いずれにせよ語りがちです。それを毎週やると、部下のほうが気が重くなってしまいます。

ミーティングモデルをコーチング、ティーチング、雑談など4つに分けて判別する

そこで、村田製作所に発話量を測定するセンサーを連携してもらい、加えて会話の質を測定するようにしました。

仕組みとしては、センサーを部屋に入れて、上司と部下の発話を方向で管理します。そこで部下の人の話をたくさん聞いているか、部下の人の一回あたりの発言量が長く、あいづちだけでなく、コンテンツをちゃんと話してくれているかなどを判別します。もちろん、1on1ミーティングはプライベートの話も結構しますので、録音は一切しておりません。

そして自分のやっている1on1はどういったものかを定期的に測定し、発話内容をグラフ化しています。いろんな人に向かって等しく喋りっぱなしの場合は、ロールプレイング系のトレーニングを受けてもらうようにします。ミドルマネジメントの育成にはそういったことが大切かなと思います」

関連記事:ONE ON ONEやミーティングを可視化し定量的評価につなげる。 Hylable DASをご紹介

ヘルスケア:健康的に働くことを支援

1日8時間座ると、おにぎり1個分のカロリーを消費するチェア

次はオフィス「CaMP」の2つ目のキーワードであるヘルスケアの取り組みについて。Phone Appliは「健康経営の提案」をビジネスの軸のひとつとしているが、これも自分たちでも実践をしている。全社員にアップル・ウォッチを配り、部門横断でグループを作って、健康管理をするようにしているというが……。

石原さん「僕の入っているグループは現在社内で下位のほうの9位です、やばい! 毎日の消費カロリー、強運動、1時間に1回立つスタンドを達成などをクリアするとポイントがついていき、グループで達成を目指します。

チャットでグループを作成すると、グループ名を何にするかという話に始まり、業務で関係のない間柄にもコミュニケーションが生まれます。僕らのグループは今、みんなで健康年齢を2歳上げようとがんばっています」

ヘルスケアだけでなく、コミュニケーション面への好影響も伺い知れる。その他、集中スペースの椅子を、座りながらカロリーを消費するタイプにするなど、細かな部分でも健康づくりのサポートをしている。

関連記事:オフィスワーカーの腰痛や運動不足に向けて「体を動かす」コンセプトで作られた事務椅子

自然をモチーフにしたスペース

3つ目のキーワードはスペース。「究極のアウトドアオフィスを目指す」とあるように、見渡すと、オフィスには緑とキャンプグッズがあふれ、一体何をやっている会社なのか?と、知らない人は思うかもしれない。

石原さん「気持ちよく仕事ができる空間というと、個人で嗜好が分かれるものの、自然を嫌いという人はいません。オフィス名の『CaMP』は、自然の中で人が集まる場所なので、このオフィスも自然をモチーフにして集まれる空間づくりをしました。SPBSとタッグを組みまして、いろいろな演出をしています。

カフェよりも自宅よりも、どこよりも心地よく仕事ができる場所を目指しています。森の香りがして、鳥の声がして、グリーン視認率目指せ25%。普通に見たら森ですね(笑)」

BGMとして、オフィス内には時間帯に合わせた白神山地の森や川の自然音が流れ、かすかないい香りが漂う

関連記事:ワークプレイスと自然の調和、バイオフィリックオフィス5事例

スペースの工夫:なるべく壁を作らず、可動式に

石原さんが続ける。

石原さん「オフィスの役割も昔とはだいぶ変わっていて、パソコンとスマホがあればどこでも仕事できます。お金をかける意義を考えないと、だんだん難しくなってきています。

そこで、我々の考えるオフィスのまずひとつは、みんなが会える場所です。だから会いやすいように、なるべく壁をなくすことにしました」

国内最大級の7面大型サイネージを投影している壁は収納になっている

集中して作業するときのためのパーソナルワークエリア以外は可動式で、ファミレス席ですら動かして、大広間を作ることができる。

椅子も机もすぐ動かすことができる。私物などは壁面にある収納へ

石原さん「その日、自分の力を発揮しやすい場所で、みんなで働けるという選択肢を用意しています。

集中して資料を作りたいなら自宅でリモートでもいいし、みんなでブレストなら、ファミレスエリアでもいい。午後になって集中したければパーソナルワークエリア、1on1のブースや、食事や勉強会をするラウンジもありますし、役員に相談やなにか困りごとがあったらコックピット(役員室)へ」

明るいラウンジスペース

岩田さんは、動かせるオフィスの効果を実感しているという。

岩田さん「グループアドレスだと、フリーアドレスにしても、このあたりが営業、技術とか、なんとなく決まってしまいます。

完全にフリーで席も動かせるようになったら、働き方も変わりました。そのときに応じたプロジェクトチームが組みやすくなり、営業と技術がこのへんで集まろうぜとちょっとレイアウトを変えるなど、部門の壁がなくなりましたね。固定席に座るイメージがなくなってしまいました」

キャンプを思わせる焚き火(オフィス内は火気厳禁)スペースを囲んで話が弾むそう

Phone Appli流働き方改革がもたらしたもの

この他にもV2MOMの「Measures」で拾いきれないこぼれた業務を評価するサンクスカード制度、離れた場所・お客様とも情報共有できるモニター兼電子ホワイトボード、マイクロソフトのOffice 365を活用して業務の無駄を省くなど、ソフト面とハード面の両方で、最良のソリューションを選択しながら働き方改革を進めている。

岩田さんは、エンジニアの働き方改革をさらにスキルアップにつなげたいという。

岩田さん「IT企業だと、作業したあとで工数管理と内容を入力します。でも予定の段階で入れるようにすれば、エンジニアが何をしているかが周囲にわかるようになります。予定を立てて、振り返るスキルをみんなで上げていければと思っています」

石原さんは、「CaMP」移転前との差を熱く語る。

石原さん「動かせない机があるのがいやで、あれがあるからオフィスが狭まっていくのだと思います。すぐ増やしたり減らしたり、動的にしていたい。このオフィスになってから、在宅勤務取得率が落ちているので、働きやすくなったのではと思います。残業時間も減っています」

一見お堅いビジネス街、神谷町の大きなビルの中で、緑にあふれた空間を有し、積極的なコミュニケーション改革・働き方改革を推進するPhone Appli。自らがサンプルとなり、効果を実証している自慢のオフィスは、見学大歓迎だそうである。

【Phone Appli オフィスデータ】

所在地〒105-0001 東京都港区虎ノ門4丁目3番13号 ヒューリック神谷町ビル 8F
オフィスフロア平米数900㎡
設立2008年01月
従業員数127名(2018年09月01日付)
事業内容連絡とれるくん(クラウド電話帳サービス)等クラウドサービスの企画・開発・販売
アプリケーション開発・販売:Cisco Unified Communications Managerはじめ各種IP-PBX対応アプリケーションの開発・運用
各種IP-PBX設計・構築・保守
その他通信設備工事

 

※本記事は ICCサミット FUKUOKA 2019 公式ページより転載しております。

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この記事を書いた人

ICCパートナーズ編集チームICCパートナーズは産業を共に創る経営者・経営幹部のためのコミュニティ型カンファレンス「Industry Co-Creation サミット/ICCサミット」の企画・運営および新規事業創出・アライアンスなどのアドバイザー業務を行っています。



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