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Salesforceの事例に学ぶ、企業文化が社員の満足度に与える影響

[February 19, 2020] BY Masaki Ohara

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年々激化の一途をたどる人材獲得競争に対して企業が実践する戦略は多岐にわたる。この優秀な人材獲得という課題に対し企業文化の醸成と実践という手法で立ち向かう、サンフランシスコにあるSalesforceの61階建本社ビル『Salesforce Tower』の事例を紹介する。

関連記事:Salesforce Transit Centerが支えるサンフランシスコの働き方

Salesforceの文化を支える言葉”Trailblazer”

2018年にFortuneが発表した”働きがいのある会社Top100”ランキングにおいて堂々の1位を獲得し、働き方の文脈で人々の注目を集めているSalesforce。従業員数が世界で合計で30,000人にも及ぶ大企業の本社は世界で最も人材獲得競争が厳しいサンフランシスコに置かれている。多くの社員を惹きつけるSalesforceの魅力は、巧妙につくられたオフィスと興味深い企業文化にある。

Salesforceのオフィス環境を理解するには、”Trailblazer (トレイルブレイザー)”という言葉がキーワードとなる。直訳すれば先駆者や人々の先頭に立つリーダーという意味になるが、 現CEOかつ創設者でもあるマーク・ベニオフ (Marc Benioff) 氏はこの言葉をSalesforceの根幹においている。ビジネスにおいての成功と人々にとってのより良い世界を作ることは切り離せないものだという考え方のもと、従業員や関係者がTrailbrazerとなり新たな道を切り開いていくことが大切であるとしているのだ。このTrailbrazerの考え方が反映されているポイントをいくつか見ていこう。

サンフランシスコ市内最高の立地で、景色を一望できる開放感あふれたオフィス

市内の中心に位置する洗練されたオフィスは社員を惹きつける魅力の1だ。

Salesforceの本社があるサンフランシスコ市内のSoMa地区はスタートアップを中心に今最も人気が高い地域。先日の記事でアメリカの若手人材が企業選びを行う際に短い時間でストレス少なく通勤できる立地にオフィスがあることを重視する傾向があると伝えたが、Salesforceはまさにその戦略を実践している。同社が2018年1月にオープンしたSalesforce Towerの隣にはほぼ同時期に市内の交通機関を集約するハブ施設もオープンしたが、同社はその命名権を買収し”Slaesforce Transit Center”と名付けて、立地の良さをアピールしている。

サンフランシスコから南へ車を約1時間半ほど走らせたところにあるシリコンバレーエリアに本社を置くGoogleやFacebookもオフィスも今では市内に置くようになったが、Salesforceがこのオフィス立地戦略で一歩抜け出している状況だ。郊外に福利厚生設備を充実させた巨大テクノロジー企業のキャンパス型オフィスが人気を博していたが、それに影響されることなく立地を優先し人材が求める環境を巨大タワーで用意したSalesforceの戦略はまさに開拓者精神に溢れている。

Salesforce本社はその立地のみならず、内装の環境も特徴的。歴史ある企業というよりも、スタートアップらしさを全面に押し出したという本社を訪問した際、筆者が真っ先に感じたのはその開放感と居心地の良さである。

すべてガラス張りとなった外壁は360度どの角度からでもサンフランシスコの街並みを一望できるような開放感あふれる造りとなっている。自然光もたくさん入るため、社員はより自然的な環境に身を置くことができる。

筆者が訪問した際は天気に恵まれなかったが、晴天であればサンフランシスコ一帯をガラス窓から望むことができる

オフィス全体を通してたくさんの植物が設置され、またデスクや椅子といった家具も木で作られたものや木目調のものが植物に合わせて使用されている。本メディアで取り上げてきた室内環境において自然を積極的に導入するというバイオフィリックデザインを実践し、まるで自然の中にいるような感覚と居心地の良さを作り出していた。

関連記事:
海外バイオフィリックオフィス事例: Segmentサンフランシスコ本社
コモレビズが語る、バイオフィリックオフィスで学ぶべき「自然との触れ合い方」

このバイオフィリックデザインをベースにしたデザインにも、Trailblazer精神が大きく関係する。同社は世間一般的にユーザーとの親しみやすさを生みにくいテクノロジー製品を扱っているが故に、そのイメージを払拭しユーザーとの距離感を近づけようと個性豊かなマスコットキャラクターを展開している。AstroやCodey、Einsteinといったキャラクターや彼らの世界観は開拓者のイメージをもとにしたようなデザインになっている。この世界観とオフィスを統一させることで、Trailblazerの文化を社員にも広く伝えているのである。

左からEinstein、Astro、Codey。これらのマスコットキャラクターは同社のウェブサイトや毎年10月にサンフランシスコで開催されるカンファレンス『Dreamforce』でも積極的に紹介されている。(画像はSalesforceウェブサイトより)

植物が多く取り入れられたデザイン。併設されたカフェではドリンクのオーダーが可能

次ページ:Trailblazerと並ぶもう1つの重要な要素、”Ohana”

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この記事を書いた人

Masaki Ohara現在サンフランシスコにある大学に在学しています。心理学の観点からオフィス空間が人々の思考や行動にどのような影響を及ぼすのか関心があり、働く人々にとっての最適な空間のあり方について発信していきたいと思います。

    
    
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