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健康経営にも役立つ、効果的なランチタイムの使い方 “Lunch & Learn” とは

[March 10, 2020] BY Chinami Ojiri

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皆さんはランチタイムをどのように過ごして、何を食べているだろうか?また、社内のランチタイムはどのような様子だろうか?

新生銀行が毎年発行している、サラリーマンを中心とした日常生活に関する調査の最新版『2019年サラリーマンのお小遣い調査』によると、ランチタイムを取る人の間で最も多い過ごし方は「インターネットの閲覧」となっている。男女ともに20〜40代までの会社員の過半数が主にスマホでネットをみているというのが現状だ。それに次ぐのが、男性では「昼寝・休憩時間にあてる」、女性では「同僚とおしゃべりをする」。仕事から離れ、気分転換をする人が大多数のようだ。

1日約8時間の労働時間のなかで、唯一まとまった長い休憩となるランチタイム。1人でリフレッシュも悪くはないが、同僚とオフィスにいる環境を活かし、ランチタイムをインプットの機会など有効的に使うのもありだろう。特に最近では充実したカフェテリアスペースをリフレッシュ空間として取り入れる企業も増えていることから、その効果的な使い方を探っているところも多いはずだ。

そこで今回は、ランチタイムを利用した”ランチ・アンド・ラーン (Lunch & Learn)”という取り組みを紹介する。日本ではランチタイムを活用して何かをするということ自体がまだ珍しいが、欧米では健康経営の一貫として、このアプローチが頻繁に採用されている。ランチ・アンド・ラーンのメリットと共に、具体的な導入方法を紹介していきたい。

ランチ・アンド・ラーンとは?

ランチ・アンド・ラーンとは、文字通りランチタイムを利用した勉強会やセミナーを開くイベントのことである。参加者はお昼を食べながら、その日のスピーチや講演を聞き、新たな知識について学んだり、意見交換をしたりする。

ランチ・アンド・ラーンは労働時間ではない昼食時に行われる為、イベントへの参加は一般的に任意である。イベントのスタイルやトピックによって参加者も変化し、テーマによっては普段交流の少ない他部署との交流を広げる良い機会となるのだ。

(画像: bantersnaps on Unsplashより)

例としては、以前から度々紹介しているアメリカ・サンフランシスコのオフィスデザイン事務所、Studio Blitzでも隔週に1度ランチ・アンド・ラーンを開催している。トピックは「テック業界の働き方」など業務に関わる専門的なものがあれば、「上手にチャージできる休日の過ごし方」など仕事とは離れて誰もが参加でき、社員同士の親睦を深めるきっかけとなるものも用意するという。スピーカーや専門家のコーディネートはオフィスマネージャーの仕事の1つとして行われ、社員に良い刺激が与えられる内容が提供されるそうだ。

ランチ・アンド・ラーンによるメリット

・社内コミュニケーション

ランチ・アンド・ラーンは、所謂きちんとセットアップされたミーティングとは異なり、カジュアルな雰囲気でストレスなく学びを得るために行われる。そのため、より活発なコミュニケーションが生まれやすい。

企業や部署の規模が拡大し、社員や部署が増えると、社員同士の関わりが薄くなってしまうと悩む声をよく聞く。そのような場合に、業務以外で社員交流のきっかけを作る施策の1つとして、広くトピックを扱う社内イベントの場を設けることで、社員の仕事以外の側面を知る機会を生み出し、組織課題の解決につなげることができる。家庭の事情などで夜の飲み会に参加できない社員にも昼開催のイベントを提供できるため、より多くの社員の参加を見込むことができる。

NEW STANDARDオフィスの記事では、キッチンスペースを使ったランチ自炊文化や、毎月ビジネスパートナーや家族、友人を招待して行うパーティなどを行っていることを紹介している。この取り組みはランチ・アンド・ラーンと通じるところがあり、「どこでも働ける世界になった今、オフィスを持つ意味や価値、社員がオフィスに来たいと思わせるオフィスのあり方」を見出す方法のひとつと言える。

・インプットの機会提供

先述のStudio Blitzのように、扱うトピックを工夫することで効果的に社員のインプット機会を提供することができる。ランチタイム時間に読書を行い少しでも学びを増やすワーカーは少数派ながらにいるが、そのような意欲的な取り組みを社内で広めることができるのがランチ・アンド・ラーンのメリットの1つだ。

スピーカーは社内の人間が交代制で隙間時間で資料を準備して行うことも可能だが、より質の高いインプットの時間を提供するために会社側が予算を用意して専門家やスピーカーを外部から呼ぶケースも欧米では多い。近年企業が力を入れてつくるランチ・カフェテリアスペースをリフレッシュ目的だけでなく、学びの空間としても利用することで、空間活用性は大きく広がる。

・効率的な時間の活用

ランチ・アンド・ラーンは、お昼休みの限られた時間内でのイベントなので、仕事後や休日など就業時間の枠外で社員を拘束することがない。また基本的には参加を任意にするケースが多いため、社員に業務スケジュールを無理やり調整してもらう必要もない。働き方改革で労働時間削減が進む中でも、効率よく社員のインプットをサポートすることができる。

この点で、ランチ・アンド・ラーンは新たな企業文化づくりとして、比較的簡単に取り入れやすいだろう。また「労働時間外はプライベートや家族との時間を大切にしたい」と考える欧米において、ランチタイムを利用したイベントが人気なのも納得がいく。

・健康経営を実践

ランチ・アンド・ラーンは健康経営における取り組みの一環とすることができるため、企業としても積極的に導入しやすいイベントだ。方法は主に2つあるが、1つは取り上げるトピックに健康経営に関するものを選ぶこと。健康的な食生活や健全なメンタルヘルスについてレクチャーを行ったり、議論したりすることで、社員の健康に対する意識を高めることができる。

2つ目はランチで食べるものを健康的なものにすること。ランチの用意について下で触れているが、ランチ・アンド・ラーンでは主催者がランチを提供するケースが多い。特に社内主催の場合は会社がランチを手配するため、健康的な食事を選択して提供することで、社員の意識を高めるきっかけを直接与えることが可能だ。健康食の無料提供で社員の参加率向上も期待できるため、一定の効果が期待できる。

実際に先日紹介したサンフランシスコのスタートアップ、Segmentは社内のカフェテリアで健康的なランチを提供しながら、ウェルネスに関するセミナーも定期的に開催している。社員の栄養不足や不健康な食生活は、肥満の増加、病気のリスク、健康保険の請求や欠勤の増加、従業員の生産性の低下など、見えないコストとして後々企業に大きなダメージを引き起こすことから、同社のような取り組みをランチ・アンド・ラーンを通じて行う企業は非常に多いのだ。

次ページ:ランチ・アンド・ラーンを始めるには?

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この記事を書いた人

Chinami Ojiriフロンティアコンサルティングで設計デザイン部に勤めた後、渡米。経験と知識を広げる為、現在はNYの美大にてインテリアデザインを学んでいる。

    
    
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