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Web会議の創造性を高める!「オンラインホワイトボード」の活用法

対面時と異なり、Web会議ではアイデア出しに課題を感じることもある。そこでおすすめなのが「オンラインホワイトボード」の活用だ。ここでは、注目のサービスと活用法を紹介する。

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Web会議では独創的なアイデアが生まれにくい?

ハイブリッドワークの普及に伴い、会議でも対面とオンラインを併用する企業が増えている。Web会議には、気軽に実施できるというメリットがあるが、対面会議のよさを推す声も根強い。その理由の一つとして、「アイディエーション」の活性化があげられる。

2022年4月に科学誌「Nature」に掲載された論文でも、Web会議より対面のほうがクリエイティブなアイデアが生まれやすいとの研究結果が報告されている。例えば、1490人を対象とした研究で、無作為にペアを組んで対面とWeb会議とで製品のアイデアを出し合ったところ、対面のペアのほうがより多くの独創的なアイデアを生み出したという。その理由として、Web会議では画面上の相手を直視する時間が長くなり、認知の対象が狭くなるからではないかとの見解を論文の著者らは示している。

会議では、特にアイディエーションやブレインストーミングなどの場面で活発な議論が必要となる。確かに、デバイスを通して行うWeb会議では、対面とは異なる制約を受けるが、ちょっとした工夫を取り入れることで会議の活性化を後押しすることもできる。なかでもおすすめなのが、「オンラインホワイトボード」の活用だ。ここでは、オンラインホワイトボードのメリットや主な機能をおさえたうえで、上手な使い方を紹介する。

オンラインホワイトボードのメリット

多くのワーカーがWeb会議に慣れ、画面共有などの機能を使いこなしている。その一方で、オンラインホワイトボードのような補完的なツールをうまく活用できていないケースも見られる。

オンラインホワイトボードとは、会議室などにあるホワイトボードをWeb上に再現したコラボレーションツールだ。IDやパスワードを使ってチームやプロジェクト単位でホワイトボードを共有し、共同作業ができる。それぞれのアプリケーションで細かい機能は異なるが、Web会議でオンラインホワイトボードを使うとどのようなメリットがあるのか、いくつか例をあげてみよう。

①共同でアイデア出しができる
それぞれのデバイスからオンラインホワイトボード上の付箋にアイデアを記入し、付箋を見ながら話し合ったり、並び替えたり、コメントを加えたりすることができる。

②図や表でイメージを伝えられる
音声だけでは伝わりにくいアイデアを、オンラインホワイトボード上に描いた図や表、画像で補足しながら説明できる。

③テンプレートの活用で効率がアップする
会議のテーマに合わせたテンプレートが複数用意されているため、事前準備の手間が減り、スムーズに話し合いをスタートできる。図形やイラストのテンプレートも利用可能。

④参加者の反応を確認できる
チャットや絵文字でのリアクションのほか、投票機能を備えたアプリケーションもある。対面時より周囲を気にせずに反応できるため、率直な意見を集めやすい。

⑤記録の共有が手軽にできる
オンラインホワイトボードで行った作業データがクラウド上に保存される場合、参加者がメモや写真などで記録する必要はなく、共有も簡単に行える。

注目のアプリケーションと主な機能

​​ホワイトボード機能の導入により、Web会議でのアイデア出しやコラボレーションはどのように変化するのだろうか。注目のオンラインホワイトボードと、その主な機能を紹介する。

1. Miro

世界中に3500万人以上のユーザーを持つ「Miro」。無限に広がるボードに付箋を貼ったり、画像やドキュメント、PDFファイルなどを取り込んだりすることができるアプリケーションだ。簡単かつ自由にアイデアを書き込めるため、より活発でスピーディーなブレストが可能となる。

画像はMiroのWebサイトより

データはクラウド上に自動で保存され、会議に参加していなくても、後から確認したり書き込んだりできるのも便利なポイントだ。大勢の前での発言が苦手なメンバーも気軽にアイデアを提示でき、発想の広がりも期待できる。直感的な操作が可能で、導入しやすいツールと言えるだろう。

2. Zoom

Web会議ツールとして広く利用されている「Zoom」にも、ホワイトボード機能が備わっている。会議中に画面下に出てくる「画面の共有」をクリックし、共有画面の候補にある「ホワイトボード」を選択することで利用が可能。言葉では伝わりにくいアイデアを手書きで表現したり、資料の説明箇所をマークしたり、コメントを共有したりといったオンラインホワイトボードとしての基本的な機能を揃えている。

画像はzoomのブログより

また、2022年4月には、新たに「Zoom Whiteboard」機能が追加された。同機能の利用には「Zoom 5.10.3」以降が必要となるが、画面共有機能の一部だった従来のサービスとは異なり、ミーティング時以外でも使用できる。メニューバーに新たに追加された「ホワイトボード」を選択するだけで開始できるという手軽さも魅力だ。

3. Strap​​

クラウド型ワークスペース「Strap」は、株式会社グッドパッチが提供する日本製のオンラインホワイトボード。Web会議で共同編集を行えるほか、無限の広さを持つボードに参加者のアウトプットを集約し、プロジェクトを一元管理できる。図形を選択すると矢印が表示されるスマートアド機能で、フロー図やツリー図の作成も簡単だ。

画像はStrapのWebサイトより

アクセス制限が可能で、非公開のプロジェクトでも権限の範囲を指定することで安心して利用できる。チームの規模などに合わせて、3種類の有料プランから選択可能。公式Webサイト上の複数企業の活用事例も参考にしたい。

4. Lucidspark

Lucidspark」は、世界最大のテックマーケットプレイスG2の「リモートワークに適した製品トップ50」にも選出された、クラウド型コラボレーションワークスペースだ。オンラインホワイトボードには、付箋やフリーハンド描画、カーソル図形や線の色分けなどの機能が備わっており、アイデアをすばやく可視化・共有できる。

画像はLucidsparkのWebサイトより

さらに、小さなグループに分けて作業できるブレイクアウトボードや、チャットでのフィードバック、メンバーへのメンション、絵文字リアクションなど、円滑なコミュニケーションを実現する機能が充実。編集可能なボードを3つに限定したフリープランのほか、有料の個人プラン、チームプラン(3名以上の少人数チーム)、法人プランが用意されている。

5. Microsoft Whiteboard​​

Microsoft Whiteboard」はMicrosoft Teamsとシームレスに連携でき、無料での利用も可能なオンラインホワイトボードツールだ。Teamsミーティング中、「コンテンツの共有」をクリックし、「Microsoft Whiteboard」を選択すれば起動できる。​​​​​​参加者全員が同時に作業でき、付箋や図形を用いた視覚的なコラボレーションが可能となる。

画像はMicrosoft365のブログより

プロジェクト計画の作成やタスクの整理などに役立つ、豊富なテンプレートをラインナップ。手書き文字を読みやすく整える、ペンの色としてレインボーインクやギャラクシーインクを選べるなどのユニークな機能も備えている。MicrosoftアカウントやOffice 365アカウントへのサインインが必要だが、Windows版やiOS版のほか、ほとんどのWebブラウザ(Microsoft Edge、Chrome、Firefox、Safari など)に対応しており、デバイスとの互換性の高さも魅力だ。

オンラインホワイトボードの上手な活用術

代表的なアプリケーションの特徴を見てもわかる通り、オンラインホワイトボードにはアナログホワイトボードの代替以上の可能性がある。なかでも有効な活用術を以下にまとめた。

1. 資料に線引き・手書き・図形を表示しながら解説する

Web会議でオンラインホワイトボードを利用すれば、リアルタイムで資料を提示して解説できる。プリントアウトなどの事前準備を省略できるうえ、解説しながら資料内の強調したいところに線を引いたり、書き出したりすることも可能。情報の適切な共有によって、スムーズなコラボレーションが実現するだろう。

2. 本題と並行して、チャットツールで副題を同時に議論する

Web会議で会話をしながら、ホワイトボードの付箋を使ってリアルタイムにアイデアを書き込み、チャットや投票ツールで意見を共有しつつブレストを進める。本題とは別のタスクが発生した場合も、会議の進行を妨げずにチャットでの意見交換が可能。複数のタスクを同時に処理することでプロジェクトの進行が早まり、業務のさらなる効率化が期待できる。

3. テーマに詳しいスタッフや、決裁権のある上司を招待する

Web会議中に参加メンバー以外の意見が必要になったときは、途中参加も可能。その場合、話し合いの経緯を変更履歴で確認すれば、それまでの流れがわかり、細かい説明を省略できる。プロジェクト外の専門知識を持つスタッフや、決済権を持つ上司が参加する場合もスムーズに会議に合流できるだろう。

4. 関係者が常時出入り自由な空間を設ける

特定のプロジェクト用ではなく、部門をこえたアイデアの共有場所、社員のつながる場所として活用する方法もある。組織外・部署外との関わりは、これまでにない新たな発想やイノベーションにもつながり得る。社内に限らず、社外の組織や顧客とのコミュニケーションの場としての活用も可能。営業力アップやビジネスチャンスの形成も期待できるだろう。

オンラインホワイトボードでコラボレーションの可能性を広げよう

多くのオンラインホワイトボードは、Web会議の補完ツールでありながら、単体としてもアイディエーションやコラボレーションの可能性を高める効果が期待できる。業務の効率化だけではなく、作図や分析に便利な拡張機能を追加することで、活用の幅はさらに広がるに違いない。

様々な機能を使いこなせるようになれば、Web会議の懸念点だった「意思疎通の難しさ」も解決できるかもしれない。日本語対応のツールが増えたことで導入のハードルは下がり、今後は利用する企業がさらに増えると予想される。チームワークの向上や、組織・部門をこえたコラボレーション、イノベーションにもつながり得る、オンラインホワイトボードの可能性に期待したい。

この記事を書いた人:Kaori Isogawa

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